Webテクノロジー2004年9月10日 00:00
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真のエンタープライズ OS として―Linux 適用の現状と課題(1)

この記事のURLhttp://japan.internet.com/webtech/20040910/6.html
著者:OSDL ジャパン ラボディレクタ 高澤真治
国内internet.com発の記事
いよいよ Linux がエンタープライズ(基幹系システム)へ適用されるのでは、 という期待が膨らんでいる。 カーネル2.6のリリースによって、 さらにその期待が現実味を帯び、 エンタープライズ Linux の将来は明るい。

そこで、現時点で、実際にエンタープライズシステムを構築する場合、 OSS/Linux がどこまで適応できているか、できていないか、 または誤解されていないかを整理したい。

(1)まずは、一般的に、 OSS/Linux 採用のメリットと認められているコストについて。

「OSS/Linux は無料(無償)」というフレーズは非常に魅力的だが、 多くの方が誤解しているのではないか。

確かに、ソフトウェア単体で、無償で入手することは可能でも、 エンタープライズシステムで利用する場合の条件を十分に備えていることを検証し、 OSS/Linux を採用するかどうかを慎重に検討することが大切である。

プロプライエタリのソフトウェア製品は、 OSS/Linux よりも高価である代わりに、 ベンダーによるソフトウェアの検証が価格に織り込まれていることを理解されたい。

また、「Linux は無償」は、 導入コストであることは言うまでもなく、 つまり、 ハードウェアや運用管理費用など含めたシステムの TCO(Total Cost of Ownership)を十分に頭に入れなければならない。

(2)サポートコストを含めた TCO について。

OSS/Linux の採用を決定する場合、 導入後、誰が、 どのようにサポートサービスを受けるかという、 人件費についての落とし穴にも注意を要する。

Linux ディストリビューション、SI 企業、コンサルタント、 ハードベンダーなどから受けるサポートサービスは、現状と大差がないかどうか。 何か、差があるとしたら、それは、 初めて目にする、従来経験したことのないものかもしれない。

新規に導入した小規模システムの場合には、 あまり目立たない費用でも、 大規模なエンタープライズシステムで、 さらに、運用期間が掛け算されるような場合は、 より慎重に吟味が必要となる。

単純に、端末に Linux を導入する場合でも、 個人1台と企業内数千台では事情が異なり、 Linux 単体は安価だったとしても、 現状の IS 部門に新たなサポートサービス担当者が必須となる。

(3)ベンダーロックインからの解放について。

前回、 OSS/Linux を採用することで、 特定のベンダーにとらわれることのないソリューションを用いることができるという、従来になかったメリットについて紹介した。

これは、システムのすべてを、 特定ベンダーに委ねて調達するという囲いからユーザーを解放してくれる。 ユーザー側に選択肢があるということは、魅力的ではないだろうか。

ただし、アプリケーション層に近づくにつれて、 現状の OSS/Linux の品揃えが十分でないことからも、 適材適所に商用製品を利用する必要があり、 Linux にしたからといって、 直ちにベンダーから開放されるというわけではない。 OSS/Linux の新しい選択肢が加わり、改めて、システム構築時に、 「インテグレーション」という視点での検討を慎重に行う必要が出てくる。

(4)アプリケーションの充実について。

現状、まだまだ……という感が否めない。 とりわけ、 既存の業務アプリケーションを Linux 上で稼動させること(ポーティング)は始まったばかりで、 多くのISV(独立系ソフトウェアベンダー)が、 これから手がけようとしている。

これは、市場の牽引が重要な役割を果たし、 よく使われるアプリケーションから移植が進められると考えるべきである。

たとえば、データベースは、 業務基盤として Linux 上で稼動することをユーザーが期待しているので、 この市場ニーズが牽引役となり、 データベースとその周辺アプリケーションを利用した Linux の事例が少なからず出てきているのもうなずけることで、 ISV もさらなる移植・検証作業や開発作業をすすめていくと期待される。

(5)大きな問題である人材について。

Linux エンジニアの育成も大切な課題で、 現在30歳の前後5歳はいわゆる「Windows 世代」で、 開発やサポートなどを Windows で経験された方が多く、 Linux へ移行するにはしばらくの時間を要する。

Unix から Linux への移行に比べて、 Windows からの移行は若干ハードルが高い。

しかし、現在多くの大学では Linux をベースとして環境が整いつつあり、 これからの状況は改善が期待できる。 さらに、企業も人材の育成に本腰をいれるべく、体制を確立する動きも注目できる。

記事提供: OSDL ジャパン

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