Technology
テクノロジー
ソフトウェアの進歩とは何か
前回のコラム「文化としての Linux」では、
Linux が文化であり、
そのコミュニティは無秩序ではなく、
むしろ選択肢を広げてより高い可能性を追求するものだ、
ということを語った。
それに関連して、 先日来日していた SFLC の Moglen 氏からも興味深い話を聞いたので、 紹介しよう。
Moglen 氏が深く関わっているのは Stallman 氏に代表される Free Software Foundation(FSF)である。 Linux は Linus が1991年に開発したものだから、 1991年以降の話しかない。 それ以前は Linus もただの学生だったからだ。 Stallman 氏は1980年代からフリーソフトウェアを推奨しており、 文化を語る上では彼らのほうが先行している。
コンピュータのハードウェアはここ15年くらいの間にものすごい進歩を遂げた。 Moglen 氏は当時 IBM に所属していたそうだが、 何十人も人が入るような大きな部屋に大型コンピュータが1台置いてあり、 その CPU や HDD のパワーはものすごく膨大だった。 ところが、現在 Molgen 氏が持っているラップトップ PC よりも劣る、 というのだ(注)。
ハードウェアはこのように目に見えて進歩しているが、 一方ソフトウェアはあまり進歩しているようには見えない。 それどころか先祖がえりしているように見える。
ハードウェアとソフトウェアの開発には、 同程度の質を備えた、同程度の数のエンジニアが関わっているはずだ。
それなのに、 ハードウェアだけ進歩して、 ソフトウェアはほとんど進歩していないのは、 なぜだろうか。
ところが、Molgen 氏が言うには、 ソフトウェアも進歩している、 ただし、ソフトウェアで進歩した部分はオープンソースという開発手法だ、 とのことだ。
Molgen 氏によると、 Stallman 氏は、 ソフトウェアに関してプロプライエトリな考え方が蔓延していたのを、 オープンソースが正しい方向に戻した、と考えているらしい。
これはとても面白い、鋭い意見だ。
ソフトウェアの進歩は、個々の技術を進歩させることではなく、 全体的な考え方をオープンソースと言う正しい方向に持っていくことである。 方向転換を迫るエネルギーは実に膨大であるが、 それが単に技術的に見えてないだけだ。 ソフトウェア開発の仕組みが変わった、 仕組みを進歩させたと言う意味では、大きな成果があった、 これからその成果が目に見えて出てくるはずである、 と Moglen(Stallman) 氏は言っている。
これは Linus 系の人からは、すぐには出てこない発想だ。 さすがは Stallman である。
これまで Stallman 氏は Linus に比べると煙たがられる部分も多かった。 彼は理想主義者であり、 「フリーダム」を強調しすぎたせいか、 それがマイナス要因になって、 敵を多く作りやすく、損をしているようだ。
Stallman 氏は、ソフトウェア開発のインフラ自体を「フリー」な方向に持っていった。 それは時代を変えるほどのパワーであるし、 そのようなある種文化的なものも視野に入れた思想を提唱したのは、 すごいことである。
Linux 文化と言うのが単に Linux プログラムのためのオープンソースと言う狭い意味でなく、 ソフトウェア業界、 ある特殊な技術の分野におけるとても大きなインフラ、 それを Stallman が提唱したとすれば、 彼はやはり傑出している。
その文化と言うのも、 現在はオープンソース、 開発コミュニティの文化として有名になっているけれど、 実際にはコミュニティの手法、オープンで縛られない開発手法、 成果物ですら縛られない手法は、 今後いろいろな産業に応用されていく可能性があるのではないか。
Moglen 氏によると、 OSS(Open Source Software)というのはソフトウェアだけに応用される手法ではないそうだ。 最近 Stallman 氏の周囲では、 OSS の文化がコンピュータプログラム以外の、 アートなどの分野ですでに実現されている手法である、 という考え方が有力だということである。
編集部注:1993年に開発された最初の Intel Pentium は310万個のトランジスタを集積、 クロック速度は 60MHz と 66MHz だった。 2000年に開発された Pentium 4 は、 4,200万個のトランジスタを集積、 クロック速度は 1.4GHz から。
記事提供:OSDL(Open Source Development Labs)米国・日本
それに関連して、 先日来日していた SFLC の Moglen 氏からも興味深い話を聞いたので、 紹介しよう。
Moglen 氏が深く関わっているのは Stallman 氏に代表される Free Software Foundation(FSF)である。 Linux は Linus が1991年に開発したものだから、 1991年以降の話しかない。 それ以前は Linus もただの学生だったからだ。 Stallman 氏は1980年代からフリーソフトウェアを推奨しており、 文化を語る上では彼らのほうが先行している。
コンピュータのハードウェアはここ15年くらいの間にものすごい進歩を遂げた。 Moglen 氏は当時 IBM に所属していたそうだが、 何十人も人が入るような大きな部屋に大型コンピュータが1台置いてあり、 その CPU や HDD のパワーはものすごく膨大だった。 ところが、現在 Molgen 氏が持っているラップトップ PC よりも劣る、 というのだ(注)。
ハードウェアはこのように目に見えて進歩しているが、 一方ソフトウェアはあまり進歩しているようには見えない。 それどころか先祖がえりしているように見える。
ハードウェアとソフトウェアの開発には、 同程度の質を備えた、同程度の数のエンジニアが関わっているはずだ。
それなのに、 ハードウェアだけ進歩して、 ソフトウェアはほとんど進歩していないのは、 なぜだろうか。
ところが、Molgen 氏が言うには、 ソフトウェアも進歩している、 ただし、ソフトウェアで進歩した部分はオープンソースという開発手法だ、 とのことだ。
Molgen 氏によると、 Stallman 氏は、 ソフトウェアに関してプロプライエトリな考え方が蔓延していたのを、 オープンソースが正しい方向に戻した、と考えているらしい。
これはとても面白い、鋭い意見だ。
ソフトウェアの進歩は、個々の技術を進歩させることではなく、 全体的な考え方をオープンソースと言う正しい方向に持っていくことである。 方向転換を迫るエネルギーは実に膨大であるが、 それが単に技術的に見えてないだけだ。 ソフトウェア開発の仕組みが変わった、 仕組みを進歩させたと言う意味では、大きな成果があった、 これからその成果が目に見えて出てくるはずである、 と Moglen(Stallman) 氏は言っている。
これは Linus 系の人からは、すぐには出てこない発想だ。 さすがは Stallman である。
これまで Stallman 氏は Linus に比べると煙たがられる部分も多かった。 彼は理想主義者であり、 「フリーダム」を強調しすぎたせいか、 それがマイナス要因になって、 敵を多く作りやすく、損をしているようだ。
Stallman 氏は、ソフトウェア開発のインフラ自体を「フリー」な方向に持っていった。 それは時代を変えるほどのパワーであるし、 そのようなある種文化的なものも視野に入れた思想を提唱したのは、 すごいことである。
Linux 文化と言うのが単に Linux プログラムのためのオープンソースと言う狭い意味でなく、 ソフトウェア業界、 ある特殊な技術の分野におけるとても大きなインフラ、 それを Stallman が提唱したとすれば、 彼はやはり傑出している。
その文化と言うのも、 現在はオープンソース、 開発コミュニティの文化として有名になっているけれど、 実際にはコミュニティの手法、オープンで縛られない開発手法、 成果物ですら縛られない手法は、 今後いろいろな産業に応用されていく可能性があるのではないか。
Moglen 氏によると、 OSS(Open Source Software)というのはソフトウェアだけに応用される手法ではないそうだ。 最近 Stallman 氏の周囲では、 OSS の文化がコンピュータプログラム以外の、 アートなどの分野ですでに実現されている手法である、 という考え方が有力だということである。
編集部注:1993年に開発された最初の Intel Pentium は310万個のトランジスタを集積、 クロック速度は 60MHz と 66MHz だった。 2000年に開発された Pentium 4 は、 4,200万個のトランジスタを集積、 クロック速度は 1.4GHz から。
記事提供:OSDL(Open Source Development Labs)米国・日本
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