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2006年8月4日 09:00

NEC、将来を見据えたアプローチで、シンクライアント市場を制す

企業の情報漏えい対策として注目を集めたシンクライアント。NEC が提供する「クライアント統合ソリューション」は、記録媒体のハードディスクを抜き取るだけにとどまらない。さらにその先に広がる可能性を見据えているようだ。今回は、NEC マーケティング本部マネージャー(プラットフォームソリューション企画グループ) 平智徳氏にお話を伺った。

NEC は、あえてシンクライアントという言葉を使わずに「クライアント統合ソリューション」と言う。そこに NEC のシンクライアントに対する考え方が反映されている。

クライアント統合ソリューションとは、クライアントの資産であるアプリケーションやデータを、サーバー側に統合・集約し、クライアント環境においてセキュリティ強化、TCO 削減、モビリティ向上を図るものだ。クライアントからネットワーク経由で効率的にアクセスしたり、クライアント資産を効率的に一元管理したりするためのミドルウェアとシンクライアント端末を提供する。また、クライアント環境の現状診断から最適な導入設計、構築導入、導入後のサポートまで、トータルにサービスを提供する。

シンクライアントというと、クライアントという言葉から、どうしても端末だけを対象にしていると捉えられがちだが、実はそうではない。端末の見直しはもちろん、サーバーの統合、ストレージの統合、ネットワークの再設計など、IT プラットフォームの最適なあり方を考えることだという。

NEC が提供するクライアント統合ソリューションには、仮想 PC、ネットブート、画面転送の3方式がある。なかでも、最も市場の注目を浴びているのが、同社独自の仮想 PC 方式だ。

この方式では、クライアント PC 環境をそっくりそのまま仮想化し、サーバー側に集約する。また、利用者の作業内容に応じてサーバーの処理能力を動的に再配分することができる。

さらに、サーバー間でのリソース配分も可能で、あるサーバーにおいて高負荷状態を検知した場合、自動的に別の負荷の低いサーバーに仮想 PC を稼動状態のままで移動させて負荷を平準化する。仮想 PC が移動する際も、エンドユーザーとの間のセッションが切れたり、仮想 PC が停止することはないため、業務に支障をきたすことはない。

「仮想 PC 方式では、1台1台の仮想 PC の構成が異なっていてもよいため、エンドユーザーの自由度を維持したままで、シンクライアント環境に移行したいという顧客のニーズに応えることができる」(平氏)

そうした柔軟性をもつため、特定の部門や業務で使われるよりも、むしろ用途が決められていないオフィスでの PC 環境において引き合いが多いという。

最近のオフィスでは、非常にスペックの高い CPU と大容量のメモリを備えた PC が配置されているが、実際の PC の使われ方を見ると、非効率である場合が多い。使われていないリソースを、高負荷のユーザーに割り当てることで、システム全体のリソースをスリム化できる。

スリム化できるのはなにもリソースだけではない。平氏が試算したところによると、一年間に1台の PC あたり約10万円の運用コストの削減が見込めるという。

ただ、シンクライアント導入にかかる初期費用がネックになることも少なくないという。導入にかかる初期費用は、従来の PC を購入した場合の約1.5倍以下に抑えなければならないと平氏は分析する。

それでは、シンクライアント市場は、先行きが厳しいということなのだろうか。どうやら、そうではないようだ。

「顧客は、シンクライアント導入に向けて、本格的な検討の段階に入っている」と平氏は言う。2005年に起こったブームは冷め、導入を検討している顧客はシンクライアントの方式について勉強し、目利きができる状態になっていると平氏は見ている。実際に、実機を使い、アプリケーションの検証を行っているところも少なくないとのことだ。

「シンクライアントというのは、単純に PC のハードディスクを外せばいいというものではない。情報漏えい対策として、記録媒体のハードディスクを抜き取るというのはひとつの解ではあるが、シンクライアントを導入するのであれば、さらに先まで見据え、プラットフォーム全体を見直す機会にしたほうがいい」と平氏は提案する。

「エンドユーザーは、今まで、自分で自由に好きなことができる環境を長く体験しているため、それを昔のホスト―ダム端末のような画一的な業務環境に戻すことはもはやできない。ユーザーの自由度を維持しながら、集中管理のメリットも追及するアプローチ、それが仮想 PC 方式だ。ユーザーが各個人の PC 環境を維持していながら、実行環境は実はサーバー側で集中統合化するという方式が、顧客から高く評価されている」(平氏)

NEC は、去る5月に、楽天株式会社に仮想 PC 方式のシンクライアントシステムを納入したばかりだ。

「こうした事例が NEC からだけではなく、あちらこちらからでてくるようになると、シンクライアント市場は活性化されていくのではないか」(平氏)

NEC のオリジナルコンセプトである仮想 PC 方式は、NGN(Next Generation Network)時代のユビキタスワーク環境を見据えたソリューションだと平氏は胸を張る。

情報漏えい対策だけのためのシンクライアントではなく、その先にあるものを見据えたアプローチで、シンクライアント市場を制していこうと、NEC は考える。

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