| Webテクノロジー | 2006年8月17日 09:00 |
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富士通のシンクライアント戦略―「ひとつひとつ事例を積み重ね、着実に市場を開拓する」 著者: japan.internet.com 編集部 ▼2006年8月17日 09:00 付の記事 □国内internet.com発の記事 2005年4月、個人情報保護法が施行された年にシンクライアント市場に参入した富士通。 同社のビジネス戦略とは? 今回は、同社パーソナルマーケティング統括部クライアント PC グループ プロジェクト課長 叶忠之氏にお話を伺った。 当時から、情報漏えい対策としてのシンクライアントのニーズが、金融機関や官公庁をはじめとして高まりつつあった。ただ、昨年4月の時点では、果たしてどれくらいの需要があるのか懐疑的だったという。国内大手企業の相次ぐ市場参入を受けて、富士通もハードディスクレスの PC を提供したのだ、と叶氏は当時を振り返る。 同社が提供するシンクライアント製品のラインアップは、省スペースデスクトップ型、B5ノート型、A4ノート型である。 先陣をきって発売された省スペースデスクトップ型は、同社のシンクライアント製品第一号となったもので、PC からハードディスクを抜き出しただけのものだった。そのため、お世辞にも「小型」とは言いがたいものだった。 同じ年の10月に発表された B5ノート型は、モバイルで持ち運びができるものを求める顧客からの高まるニーズに応える製品。そして、6月発表されたばかりの A4ノート型は、盗難防止の観点から、机の引き出しにしまえるものという官公庁をはじめとする顧客のニーズに応えるものだったという。 製品を市場に出したことで、シンクライアントの需要が高まっている、との手ごたえを感じたという。 同社がターゲットにしているのは、官公庁・自治体、金融機関などセキュリティ重視の業務端末を抱えているところだ。特に、金融機関は、セキュリティ対策が徹底しており、ノート型 PC を紛失すると、金融監督庁に届け出なければならないという。その点、ハードディスクがなく、一般の PC とみなされないシンクライアントであれば、紛失しても届出の必要がないそうだ。そのほか、ターゲットとして、個人情報を扱うカード会社などを視野に入れている。 富士通は、昨年下半期に発売した B5ノート型を、同じ時期に株式会社オーエムシーカードに納入した。指紋センサーによる個人認証を用いた高セキュリティの業務端末を、オーエムシーカード全社の営業社員など約300名が使用しているという。 同社がシンクライアント導入の実績として公表できるのは、現時点では非常にすくない。その一因には、市場規模が小さいことがあげられる。昨年は、年間で導入台数が数万くらいの規模だったのではないかと叶氏は見ている。今年は導入台数が10万台、そしてここ数年のうちには、20万台から30万台になると予測する。 これは、今年中に導入台数が20万から30万台に到達すると予測する他社に比べると、慎重な見方だ。その理由として、叶氏は、たとえ今、導入の検討をはじめたとしても、実際の導入までに時間を要するため、市場規模が急成長することはないことをあげる。 シンクライアントというのは、端末だけ入れ替えればよいというものではなく、サーバー、ネットワークなどシステム全体の見直しが必要になる。導入は大掛かりなものになることが多い。具体的には、導入するのが、数十台単位の小規模な環境であれば約3か月、数百台単位では半年、数千台単位になると約1年かかるのだそうだ。 富士通は、先にあげた製品群を、シンクライアントソリューションの一環として提供している。サーバー、ミドルウェア、クライアントの販売から、導入後のサービスに至るまで、トータルにサービスを提供できることが同社の強みだという。 しかしながら、初期投資の費用の問題は、ここでも避けられないようだ。導入にあたっては、サーバーの入れ替えや増強、ネットワークの再設計、そしてシンクライアントシステムに欠かせないミドルウェアの導入などに加え、それらをテストしたり、評価したりすることが必要になり、おのずと費用がかさむのだ。 それでも、長期的に見ると、TCO の削減になるとのことだが、実際にどれほどの経費削減につながるのか顧客が判断する基準が確立していない、と叶氏は指摘する。 国内の多くの企業では、運用管理にかかるコストを正確には算出していないのだという。そのため、シンクライアント導入前と導入後の費用面でのメリットを提示しにくいそうだ。 また、シンクライアントの導入事例、特に大型案件がまだすくないことも、市場の活性化を妨げる要因になっているようだ。 叶氏によると、この半年から一年は、顧客にとっていわゆる「お試し期間」だという。シンクライアント導入を検討している顧客が、自社の様々な部署で部分的にテスト導入し、その効果を検証している段階だそうだ。 「地道だが、ひとつひとつの事例を積み重ねていくしかない」(叶氏) 富士通は、着実な方法で、市場を開拓していこうと考えている。 |
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