NTT コムウェア、シンクライアント市場の一歩先を見据えた事業展開を目指すNTT コムウェアがノベルと協同で「Linux シンクライアント」を発表したのは昨年5月。あれから現在の状況はどのように進んでいるか。
今回は、同社 OSS 推進部門担当部長の竹川直秀氏と同部門スペシャリストの北山秀安氏に、その事情とこれからの戦略についてお話を伺った。 「顧客ユーザーとともに経験を積むことが、ソリューションの完成度を高めるという信念があった」と竹川氏。今は製品に興味を持ったユーザー250社ほどのうち、希望する企業にトライアルとして、製品を実験的に使ってもらっているという。顧客ユーザーからのフィードバックをもとに製品を改良・カスタマイズし、完成度を上げて世の中に出そうと考えている。 ユーザー250社のなかには NTT グループ企業が多く含まれており、NTT コムウェアは同社シンクライアントソリューションを NTT グループ全体のソリューションに高めたいとしている。 「われわれは NTT グループ企業と協業を検討しており、グループ事業に貢献したいと考えている。まもなく販売開始する」と竹川氏は抱負を語る。 さらに2008年4月より適用される日本版 SOX 法への動きも視野に入れている。同法施行を受けて、各企業ではセキュリティ意識が一層高まってくるが、北山氏は「内部統制の時代を見据えると、シンクライアントは“企業 IT 基盤に PC を統合するプロジェクト”になるであろう」と予測する。 「2005年に個人情報保護法が施行されてからも、個人情報漏洩事件は後を絶たない。セキュリティ的にみると、PC は“暗黒領域”である。システム管理者の管理の行き届かない情報領域になっており、各個人がその領域を管理するには限界がある。この暗黒領域の情報をサーバー側に集約し、ストレージも集約しなければ、内部統制の要請には応えられない」(北山氏) それでは今後、NTT コムウェアはどのような事業戦略を展開していくのだろうか。 「われわれの強みは非メーカーとしてのアプローチがとれることだ」と竹川氏は言う。たとえば、 クライアントに関しては、顧客企業の環境にあわせて徹底的にカスタマイズできる Linux OS を使い、顧客ニーズに応える。 シンクライアントビジネスは今、立ち上がりの段階にあり、既存の使える端末をシンクライアント化し、その端末の寿命がきたら、シンクライアント専用端末に切り替えたいと考える顧客ユーザーは少なくないようだ。 しかしながら、企業がシンクライアントを導入するにあたっては、ただ単に シンクライアントを購入すればいいというものではない。そこに導入を難しくする要因がある。導入には顧客企業の IT 基盤を整備し、セキュリティポリシーを書き換えなければならないなど、大きなハードルが立ちはだかる。 特に多くの日本企業ではトップダウン式に意思決定される組織はすくなく、部署間での調整に時間をとられることもめずらしくない。 そこで、NTT コムウェアではそうした問題にもどう対処していくかを、顧客企業と一緒になって考えていくための徹底的なコンサルティングを行うという。そのために NTT コムウェアがとった策が自社導入だ。 今年3月より1,000ユーザーを収容可能なシステムを構築し、導入実験を各部署において実施している。「実際に導入してみないことには、導入に際しての苦労はわからない。ビジョンの設定、問題解決のためのノウハウを蓄積していくことで、顧客ユーザーに安心を与えることができる」(竹川氏) 「従来、シンクライアントはセキュリティカットで論じられていた。しかし今後多くの企業は、サーバー統合・ストレージ統合をはじめとする IT 基盤の最適化の中でシンクライアントをとらえ始めるようになるだろう。われわれは、その流れを先取りして、シンクライアント事業を“デスクトップ統合ソリューション”として位置づけている。だからこそ Linux デスクトップ使用までのプロセスを踏まえたプラットフォーム移行として、サーバーについても社内実験している」(竹川氏) サーバーソリューションに関して、Linux デスクトップ移行までを見据えたプラットフォームづくりを行っているのが NTT コムウェアの特徴だ。NTT コムウェアがサーバー、ストレージ、クライアントを統合するために、最適だと判断したのが Linux、オープンソースである。 「Linux、オープンソースは、TCO 削減の一手段にしかすぎないが、NTT グループにとってはフラッグシップになりうる可能性があり、われわれは、オープンソースという手段を最大限に利用しようとしている」(竹川氏) 通常、デスクトップのサーバー移行という一大プロジェクトの遂行にあたり、ユーザーストレスや社内 IT 基盤整備を考えると、Linux デスクトップ移行は単独プロジェクトとしては成立しがたい。しかしこのシンクライアントプロジェクトの機会を捉えれば、一挙両得的に同一プラットフォーム上での実現が可能となる。 「世の中的にはシンクライアントプロジェクト、われわれの推進するのは PC の企業 IT 基盤への統合プロジェクトである」(竹川氏) NTT コムウェアは、ユーザー系 SI 事業者として、ユーザーと開発者という二面性を利用し、市場の高まりにあわせて顧客のニーズに応えたソリューションを提供できるよう、市場実験、社内実験を積み重ね、ビジネス体制を整えているところである。 関連記事 最新トップニュース
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