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2006年12月21日 09:00 |
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x86 マシンでもついに VM か――長年の夢が現実に――
著者: 平野正信 プリンター用 記事を転送
▼2006年12月21日 09:00 付の記事
□国内internet.com発の記事
Novell と Microsoft との提携のポイントは仮想化、
つまりバーチャルマシン(VM)だ。
この提携は、Microsoft がもはやオープンソース Linux を無視することはできないと考えた結果の対応策であり、今後のオープンソース Linux 業界に多大な影響を与えるだろう。
■5年振りの衝撃
モードが変わったのだ。きわめて新しい流れができつつある。
Oracle による Red Hat サポートの発表にも驚いたが、それから1、2週間たたないうちに、
Novell と Microsoft とが提携するという、さらに大きな動きがあった。
Red Hat が1999年に Nasdaq に上場して以来7年間の間に起きた一番の大事件は、
2002年5月の Red Hat のエンタープライズ戦略の発表であろう。
なにしろ、それまでホビースト向けも、
企業向けも区別のなかった1万円以下の Linux パッケージが、
いきなり20倍以上の値段に跳ねあがり、
それまでのホビースト向け商品は、
すべて無償のダウンロードに変わってしまったからだ。
それを提供するのが Fedora プロジェクトという耳慣れない名前
(欧米人には Red Hat と同様、
赤い帽子のイメージが湧くらしい)となり、
多くの人は面食らったものだ。
しかし、エンタープライズ化は定着し、
それ以降の5年間は着々とさまざまな改善が進んだものの、
ある種の無風状態だったといえるだろう。
ところが、ここに来て2つの大きな出来事が立て続けに起こった。
留意すべきは、これは偶然ではないということだ。
つまり、これから何か大きな変化が起きようとしているのだ。
いや、むしろこのまま何も起こらないほうが不自然だ。
■新しい流れ
この2つの出来事は、
伝統的な IT 業界での成功者である Oracle と Microsoft が、あるいは Novell が、立て続けにオープンソース Linux に対しての大きな戦略を発表した、ということだ。
今後、Oracle や Microsoft、Novell と同様の伝統的な IT 企業が、
オープンソース Linux に対する新しい取り組みをどんどん出していく可能性がある。
Dell、HP、IBM などのハードベンダーの動きも活発化するはずだ。
この新しい流れのきっかけは、やはりエンタープライズマーケットだ。
それもハイエンドである。
Red Hat が Enterprise Linux なるものを2002年にリリースしてから約5年経過し、
エンタープライズ分野の Linux は、
Red Hat は中小規模、Novell SUSE は大規模と、
実質的に Red Hat と Novell の2極化がはっきりしてきた。
この状況で、オープンソース Linux 業界が質的に変化しつつある。
伝統的な IT 業界も、
エンタープライズ Linux との取り組みをさらに真剣に考え始めた。
そして、それに対する新たな試みを顕在化させ始めたのだ。
Oracle は、Red Hat サポートの発表で、
エンタープライズ Linux のサポートを行うのは自分たちの方が適しており、
顧客もそれを望んでいる、と宣言した。一方、Microsoft はどうだろうか。
Microsoft は Windows NT 以降、長年エンタープライズビジネスに挑戦してきており、SAP などでは過半数のシェアを獲得するまでに成長した。
そして、さらなるテーマのひとつがデータセンターだ。
Linux と連携してでも、データセンターマーケットを真剣に狙う、
というのが、今回の Novellとの提携で、Microsoft が示した意思表示だ。
ここでポイントとなるのが仮想化技術、すなわち、バーチャルマシンだ。
■仮想化の歩み
仮想化とエンタープライズは、実は密接に関連している。
仮想化にはさまざまな意味があるが、
そもそもデータセンターレベルでの仮想化では、
IBM のメインフレーム用 OS である VM 370 がリードしてきた。
VM 370 は 1970年代からの技術で、
初めて VM というコンセプトをビジネスとして成功させたものだ。
以来 VM は IBM の主導で、特にメインフレームで定着した。
VM は、ハードウェアのリソースを仮想化し、
ひとつのハードウェアで複数の OS を稼動させる技術だが、
VM 環境は、
実はメインフレームのように、
リソースが十分なプラットフォームでしか実現できなかった。
ひとつのマシンで、
あたかも複数のマシンがあるかのような動きをするわけであるから、
パフォーマンスの問題が大きなネックになるだろうということは容易に想像できるだろう。
したがって、高速でない、あるいは、
メモリやハードディスクなどの容量が少ない環境では、
運用レベルでの実現が難しかった。
VMは一種、IBM の専売特許の感があったが、IBM の場合、
Unix 系の OS であっても、
P5 プロセサを搭載したpおよびiシリーズのダイナミック LPAR(Logical Partitioning)機能で仮想化を実現している。
LPAR のセールストークは、一般には、
「x86 サーバーを2台買いますか、それとも p シリーズ1台にしますか」とか、
「x86 サーバーを複数台買って、それぞれに Windows と Linux を走らせますか、
それとも LPAR で、一括管理しますか」、というようなものである。
Intel 系サーバーを複数台購入してばらばらで運用するより、
1台を LPAR で仮想化し、複数台あるかのように運用したほうが、管理がしやすい。
コストも、トータルでは低く抑えることができる、
柔軟性がある、などの利点を強調できる。
そして共有のインフラを使って、
ビジネスアプリケーションや SOA(Service Oriented Architecture)を相互運用性(インターオペラビリティ)という観点で活用できる。
コストパフォーマンスを考えると、
大規模システムでは x シリーズを何台もばらばらに運用するより、
p シリーズのほうがお得だ、というのが売りである。
■Xen に好都合なハードウェアが出始めた
問題は、Intel 系のハードウェアでは大規模なVMの運用は難しいとされてきたことだ。Intel 系の VM 機能をリードしてきた VMware は、
1台の CPU を仮想化する機能を長い間実践してきたが、
当初は、PC/AT 互換機で、もっぱら開発環境として使用されていた。
ホスト OS は安定している。
その環境でプログラムやアプリケーションの開発を行い、
そのテストの環境をターゲット OS として仮想化する。
そのような2つの環境を1台のマシンで実現する。
問題が出て、ターゲット OS 環境がフリーズしても、
前の時点までさかのぼることが簡単にできるようになっているので、
そこからまたやり直せばよい。
ホスト OS には影響はない。
だから、ターゲット OS 環境で思う存分試すことができる。
そういう使い方が一般的だったし、それ以外の用途では多少無理があった。
ところが Intel 系のハードウェアがどんどんパフォーマンスを上げ、
メモリや I/O などのリソースも使えるようになり、
ブレードサーバーまで登場してきた。
VMWare が持っていた仮想化の機能により、
メインフレームの VM と同じように、
複数の OS、複数のアプリケーションを同時に運用し、管理するということが、
実際に実現可能なレベルにまで近づいた。
しかし歴史的に VMWare は小規模な環境から徐々に大規模への対応を余儀なくされてきた。
仮想化は、当然、1台の CPU を分割して使う訳であるから、
同時に処理を行うとなると、パフォーマンスは単純に半分以下となる。
Intel 系で VM が難しいと感じる理由のひとつがそこにあった。
ところが、Intel が Core マイクロアーキテクチャを発表し、
Duo プロセサを登場させると一段と VM への期待が膨らんだ。
1台に見えても、
CPU が2つあるのと同じようなことだからだ。
Xen はそのような状況で登場したのである。
VM は、技術的にはハードウェアに非常に依存しており、
Xen も Intel 系の p6 マイクロアーキテクチャ以上でないと動作しない。
完全仮想化を実現するためには VT(Virtualization Technology)対応(AMD の場合は AMD-V 対応)のアーキテクチャ、
すなわち Duo プロセサでないと動作しない。
従来の CPU ではまともに動作させるのはたいへんなのだ。
Xen はオープンソースのソフトウェアとして登場したということも話題として新鮮だった。
もちろん、Intel が2005年1月に VT を発表し、
仮想化技術に対する強い決意を示したのも心強い。
AMD も同年2月に 64bit への対応計画を発表、
CPUベンダーがこぞって仮想化への取り組みを表明した。
Xen が本命視される理由は他にもある。
AMD と同時期に IBM が rHype(Research Hypervisor)のソースコードを公開したのだ。
rHype は IBM の仮想化技術の一端を示すもので、
Intel 系の Xeon やそれ以外の CPU、
すなわち Power プロセッサや Cell などにも対応している。
VMWare や Microsoft の Virtual Server と競合する技術とも目される。
ところが Xen プロジェクトのリーダーである Ian Pratt はこれを歓迎した。
rHype がオープンソースとして公開されたことにより、
Xen の Power プロセッサへの対応が加速されるかもしれない、
とのコメントを発表して、
歓迎の意思を表明したのだ。
つまり rHype と Xen がオープンソースプロジェクトとして協調する姿勢がはっきりした。
ただ、IBM は Intel 系のサーバーでは VMWare と提携していることもあり、
rHype の製品化は考えていなかったという。
しかし Xen を加速する方向に働いたのは間違いないだろう。
2005年の4月にリリースされた SUSE Linux に Novell が Linux ディストリビュータとして、初めて Xen を同梱した。
続いて Sun Microsystems が、Solaris に Xen を搭載することにより、
Linux との共存を図ろうとしているとの動きが表面化した。
2005年の半ばのことである。
Xen の流れが加速していることは、
Xen プロジェクトに参加する技術者数と、
それぞれの所属企業に、IBM ばかりか、Novell や HP、
そして Sun Microsystems といった名前が多く並んでいるのを見ても明らかだ。
そして Xen プロジェクトから Xen を商用化し、
ビジネスとして会社組織にするという動きが誕生した。
Xen Source 社である。
同社は、2006年8月に Xen Enterprise 1.0 という商用製品の出荷を開始した。
ところで Microsoft であるが、
2005年の4月に米国で開催された Microsoft Management Summit 2005において注目すべき仮想化の動きがあったことは、
当時はあまり話題とならなかった。
そのサミットにおいて、
Steve Ballmer CEO が基調講演で行った Virtual Server のデモの中で、
Windows と Linux の共存する様子が映し出されたにもかかわらずである。
そして、そこで TCO の削減と相互運用の実現に向けて仮想化技術を推進する、
と表明しているのだ。
ほぼ同じメッセージが、今回の Novell との提携の、
実に1年半も前に出されているのである。
これが実は本気であったということを証明したのが今回の提携だったとも言える。
Mirosoft は Virtual Server 上での仮想化については、
2006年5月に最新のロードマップを発表している。
これは Windows サーバーの次期バージョンである Longhorn サーバー向けのロードマップとなっているが、
仮想化技術と、
仮想化技術が導入された場合のバックエンドネットワークを管理する技術の、
2つの製品のロードマップとなっている。
それぞれの製品名は、
Windows Server Virtualization と System Center Virtual Machine Manager(開発コード名:Carmine)である。
2つの注目すべき技術は必ずしも、Xen との関連がはっきりしない。
特に、バックエンドネットワークの管理技術は、
Novell の持つ技術とはまったくの別物である。
しかし、Novell との提携で、
この2つの機能が奇しくも重点的に語られているのは、
何を意味するのであろうか。
Microsoft は2006年7月に Xen Source に対するサポートは表明したものの、
今回の Novell との提携までは、
Xen で Windows がきちんと動くことを保証していなかった。
ユーザーは、Linux と Windows が Xen で共存できるということがわかっていても、
相互運用性や大規模な共存を保証するためには Microsoft からの正式なサポート表明が必要だった。
それがない限り、特に Windows 上でのトラブルがあったときの不安を解消することはできない。
したがって実際には採用を躊躇してしまう。
しかし今回の提携で、
Microsoft と Novell は共同で開発ラボを設置することを発表している。
つまり、
確実に Windows を Xen で動作させる Microsoft の姿勢が明確になっている。
仮想化が実現した場合のバックエンドの管理機能については、
来年(2007年)以降に順次発表されることになっている。
■x86 上の Xen が Linux と Windows を VM に
メインフレームの VM/370、UNIX p シリーズ、
i シリーズの LPAR で実現されてきた VM だが、
x86 では Xen でそれが同等のイメージとなりうる。
Xen の対象 OS としては Linux と Windows に注目が集まっているのは言うまでもないが、
それは Intel 系プラットフォームであっても、
ハイエンドの基幹システムやデータセンターが実際に運用可能になることを意味している。
このことは一般には喜ばしい話に違いないだろうが、
IBM の思いは複雑のようだ。zシリーズ、
p シリーズに加え、x シリーズのハイエンドが、
仮想化という部分で競合するかもしれないからだ。
それぞれの環境での利点、向き不向きはあるものの、
今まで以上に x シリーズのハイエンド化が進むのは間違いなく、
そうなると、Intel 系で勝負している競合他社の勢いも増す。
z シリーズは国内の人気機種ではあるが、
今後は x シリーズの大規模構成が Xen を搭載してぶつかってくるケースがあると思われる。
■新たな敵、新たな戦い
2006年後半に顕在化した Xen による仮想化の流れ、
エンタープライズ業務向け Linux サポートの品質向上の要求などから、
Linux オープンソース業界には、
Oracle や Microsoft、そして復活をかけた Sun Microsystems などの伝統的なプレイヤーが新しい戦略をひっさげて殴りこみをかけてきた、というのは言い過ぎだろうか。
Novell はもともとエンタープライズで勝負してきた伝統的な企業であり、
Microsoft レベルの企業との敵対、あるいは協調関係の処理には、
ある意味では慣れている。
今回の Microsoft との提携がそれを象徴している。
しかし、Red Hat は、
これまで相手にしたことのない上位の敵を相手に、
真っ向から、高レベルの戦いに必然的に巻き込まれていくことになる。
NYSE 上場発表は、新たな競合に対するけん制だったのだろうか?
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