Webテクノロジー 2008年1月17日 14:50

スパコンでブラックホールの内部構造を解明へ

著者: japan.internet.com 編集部
2008年1月17日 14:50 付の記事
□国内internet.com発の記事

高エネルギー加速器研究機構(KEK)と理化学研究所を中心とする研究チームは16日、素粒子の究極理論とされる超弦理論に基づき、ブラックホール内部の状態をスーパーコンピュータによってシミュレーションすることに、世界で初めて成功したことを明らかにした。この計算には、主に KEK のスパコン「日立 SR11000モデル K1」が用いられたという。

ブラックホールは、質量が極度に集中している天体で、重力があまりにも強いために周囲の時間と空間が歪み、光やすべての物質はブラックホールの内部に閉じ込められてしまう。

これに対して、1974年、英国の物理学者である Stephen Hawking 博士は、ブラックホールが光などを放出しながら少しずつ小さくなるという、いわゆるホーキング輻射の存在を理論的に示し、ブラックホールが持つエネルギーとの関係が導き出された。

しかし、この温度とエネルギーとの関係をブラックホールの内部構造から説明する試みはこれまで成功していなかった。また、ブラックホールの中心付近では、時空の歪みの大きさがアインシュタインの一般相対性理論の適用限界を超えてしまうため、その内部構造の解明は困難であった。

今回、KEK の西村淳准教授が率いる研究チームは、素粒子の究極理論とされる超弦理論の計算機シミュレーションに成功した。

素粒子の究極理論とされる「超弦理論」においては、すべての素粒子を極めて小さな「弦」の様々な振動のしかたとして表すが、その中には重力を媒介する粒子も含まれ、一般相対性理論を素粒子のスケールまで自然に拡張することができる。

このことから超弦理論を用いればブラックホールの内部構造を解明できると期待されていたが、弦の間に働く相互作用が強いため具体的な計算は難しく、超弦理論の予測を実証できるかどうかについて世界の理論物理学者の注目が集まっていた。

今回の研究成果により、Hawking 博士によって理論的に示されているブラックホールの性質が、超弦理論によって説明可能であることが実証されたことになる。

なお、この研究成果は、米国の科学誌「Physical Review Letters」オンライン版に1月15日に掲載されている。



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