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2008年10月20日 13:30

ネットで高品質のビデオ映像を配信するには――Akamai インタビュー

アカマイ10月9日に発表した、PS3 などに向けた HD コンテンツ配信に関連して、Akamai Technologies 日本担当副社長で、アカマイ代表取締役社長でもある小俣修一氏、および Akamai Technologies メディア製品担当ディレクタの Kris Alexander 氏、同社シニアプロダクトマネージャ のAndrew O'Brien 氏からお話を伺った。

まず、小俣氏が、10月9日発表内容の概括的説明を、続いて Alexander 氏が欧米の状況について説明、その技術的な補足を O'Brien 氏が行った。

発表内容は、ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパン(SCEJ)が同社の「プレイステーション 3」(PS3)と PSP「プレイステーション・ポータブル」向けアニメ作品の配信インフラに、映像コンテンツ向け配信サービス「Akamai Media Delivery」を採用、HD 品質の映像コンテンツのダウンロードを開始した、というもの。

■HD Web の概要――小俣氏

これまで、インターネットでは SD(Standard Definition:標準画質)の動画しか閲覧できなかったが、ようやくインターネット経由でもハイビジョン対応テレビ並みの大画面で HD(High Definition:高解像度)コンテンツを視聴できるようになった、と小俣氏は語る。

ところで、青紫色半導体レーザーの光ディスク規格を、ソニーや松下電器産業(パナソニック)、シャープを中心とするブルーレイディスク(Blu-ray Disc)陣営と、東芝と NEC を中心とする HD DVD 陣営が争っていたが、東芝が撤退を表明したことで、Blu-ray Disc 陣営が規格を勝ち取ったことは、最近話題になった。

これからクリスマス商戦に向けて、相当数の DVD パッケージソフトウェアとそれに対応したプレーヤーが販売されるだろう、と小俣氏は予測する。

これら HD 品質の映像コンテンツをインターネット経由でダウンロードして、視聴できるようにするのが、Akamai のテクノロジーであり、そのサービスが「Akamai Media Delivery」だ。

なぜ、インターネットでの配信が難しかったかというと、容量が巨大だからだ。それをダウンロードするには、新たなテクノロジーが必要だった。

同時に次のステップとして、HD オンライン、ストリーミング、ライブ中継などの形態でハイビジョン品質の映像が視聴できる時代が来る、と言われているが、それについても、Akamai では技術的に解決した。

「Akamai Media Delivery」というのが、今回 SCEJ が採用した映像コンテンツ配信サービスの名称だ。Akamai では「HD Web」という特設ページを用意、コンテンツや技術的要件を掲載している。また、日本語のアカマイ Web ページにもここに誘導する入り口を設けた。

Akamai では HD Web を実現するために、さまざまな技術を開発した。同社はインターネット上の、ユーザーに一番近い場所、 ISP に Akamai サーバーという特別なサーバーが埋め込んでいる。ユーザーが誰であろうと、どこかの ISP と契約しているからだ。

ISP に埋め込まれた分散化されたサーバー群である Akamai サーバーを使って、高品質 HD 映像を配信できるようにした。

イメージ
HD Web ページ


■欧米の HD の現状――Kris Alexander 氏

SCEJ は、「Akamai Media Delivery」サービスを使って、『忘念のザムド』など、アニメーション作品約40タイトルの HD 品質のダウンロードサービスを開始した。

しかし、Akamai では1年前、HD Web に関する技術開発をアナウンス、今年に入って、欧米ではいくつかの企業がこの技術を採用し始めた。日本では、SCEJ が最初の顧客だ。

今回のサービスはダウンロードという形態だが、将来的には HD オンライン(HD Web)で、リアルタイムのライブ中継、ストリーミングビデオの配信などが開始されるだろう。時代はいまや HD だ。

欧米の HD 配信の現状はどうかというと、すでに Akamai はメディア、エンターテインメント業界向けサービスを開始しており、オンラインパブリッシャーのトップ10のうち8社、オンライン広告会社トップ100の75%、メディアとエンターテインメント事業のトップ30社のうち29社で採用されている。

また、オンライン新聞最大手のトップ10のうち8社、広告技術プロバイダのうちのトップ5社でも採用された。

さらに、Akamai の全世界の主要放送局、TV ネットワーク、オンラインパブリッシャー、スポーツリーグ、SNS などを対象とした独自調査によると、米国の主要放送局の75%が HD ビデオ配信を計画していることが判明した。

また、来る24か月以内に80%が HD のビデオ配信をネット上で行う計画を持ち、そのうちの50%が、短い15分程度の HD のビデを流し、35%が長時間の TV かライブ、映画などの配信を計画している。

インターネットで HD ビデオを配信するには、それなりの準備が必要だが、Akamai では、準備に必要なチェックリストも用意した。

まず、HD コンテンツを配信するには、分散化したプラットフォームを管理する技術が必要だ。

第二に、エンドユーザーがより高品質の HD ビデオ配信を受けるには、配信先の企業が、高いスループットを持ったネットワーク会社と提携する必要がある。

第三に、HD ライブラリが扱う大型ファイルを管理、配信、格納する機能が必要だ。

第四に、さまざまなデバイスでコンテンツを再生するには、VC1 や MPEG4 などのビデオスタンダードが必要だ。

第五に、HD コンテンツを表示させるスクリーンに、それにふさわしい解像度がなければならない。

最後に、ビデオが適正にレンダリングされるには、クライアントサイドにも十分な技術がなければならない。

■ミドルマイルのボトルネックをいかにして回避するか――Andrew O'Brien 氏

また、ミドルマイルではボトルネックがよく発生するが、それをインターネット上で継承しないように配信しなくてはいけない。

通常 Web コンテンツは、配信側から ISP へのファーストマイル、ISP とローカル ISP 間のミドルマイル、そして ISP からエンドユーザーへのラストマイル、という順序で配信されるが、企業の投資は、主に経済的理由から、ラストマイルとファーストマイルに行われてきた。

ミドルマイルの投資があまり行われないのは、ビジネスモデル的に利益を生まないからだ。ミドルマイルに投資しても、資金を食うばかりで、利益が上がらない。

そこで、どうしてもこのミドルマイルでボトルネックが発生してしまう。特に HD の映画やビデオなど、大量のファイルを配信する場合、このミドルマイルでボトルネックが生じる

言い換えれば、現状のような構成をインターネットがとっている限りは、ビデオ IP 自体のルート、道、帯域を拡張することはできない。

Akamai はこの問題の解決策として、多くのサーバーをエンドユーザーに一番近い ISP 側に配置した。

そして、“Large File Optimization”(大容量ファイル最適化技術)により、コンテンツを小分けにして、分散する ISP に埋め込まれた Akamai サーバーに配備するのだ。

大きなファイルは小さな断片に小分けされ、インデックスを付けられて、配信される。

たとえばあるユーザーが、いつも最初の20%しか見ない、という場合は、この最初の20%を、ユーザーの近くのエッジサーバーに格納して、それに関連したコンテンツを持ってくれば、結果として、このユーザーに一番重要であると判断されたコンテンツが、ユーザーに一番近いサーバーに格納されることになる。

Akamai の技術の何が新しいかというと、インデックスを付けて配信するだけではなく、一番近いエッジサーバーに格納して、固有の独立したチャンクとして確保できる点だ。

また、今までは検索用のみのインデックスだったのが、格納もできるようになった。この、エッジサーバーに小分けしたファイルの断片を格納する技術は、Akamai はすでに持っていたが、今回、ようやく市場で需要が出てきた、ということだ。

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