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2009年7月4日
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Webテクノロジー2009年1月8日 13:30

AR=拡張現実による会場案内を携帯電話上で実現―「ルーヴル-DNP ミュージアムラボ」第5回展

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ルーヴル美術館と大日本印刷(DNP)は、美術作品の新しい鑑賞方法を提案する共同プロジェクト「ルーヴル-DNP ミュージアムラボ」に2006年から取り組んでいる。

第5回展となる今回は、ルーヴル美術館のオランダ絵画コレクションの中から、サミュエル・ファン・ホーホストラーテンの《部屋履き》を取り上げている。

《部屋履き》
サミュエル・ファン・ホーホストラーテン(ドルトレヒト、1627 - 1678年)
《室内の情景》、もしくは《部屋履き》
1654‐1662年の間
油彩、カンヴァス
縦1.03m、横0.70m
パリ、ルーヴル美術館蔵
R.F. 3722
(C)2008 Musee du Louvre/Georges Poncet
来館者は、映像や IT 技術を活用した鑑賞システムによって、ファン・ホーホストラーテンが生涯を通じて探求した視覚へのこだわりや空間表現技法、画家がどのような視覚効果を期待したのかを知ることで、展示作品への理解をより深めることができる。

今回は、大日本印刷株式会社 第1トータルソリューション本部 第3 TS 企画開発室の久永一郎氏に案内していただき、展示を鑑賞・体験させていただいた。

来館者は受付で、ガイダンス端末を受け取り、希望の言語(日仏英の3か国語から選択)による音声ガイドの案内に従って観覧する。

ガイダンス端末は、スマートフォンによる音声ガイダンスのほか、実写映像に CG を重ね合わせ現実感のある映像による AR(Augmented Reality:拡張現実感)ルートガイドを提供するスマートフォン(2009年年明けから提供予定)、そして12歳前後を対象に開発した AR ルートガイドを提供する小型モバイルパソコンの3種類の中から選ぶことができる。

携帯電話での AR ガイダンス
携帯電話での AR ルートガイド
*クリックして拡大
小型モバイルパソコンでの AR ルートガイド
小型モバイルパソコンでの AR ルートガイド
*クリックして拡大
この小型モバイルパソコンによる AR ルートガイドは、来館者がパソコンに接続した小型カメラで撮影している実際の施設内の映像上に、ルーヴル美術館の初代館長ドミニク=ヴィヴァン・ドノンのキャラクターがアニメーションで登場し観覧ルートを案内するというもの。

実物の作品《部屋履き》を鑑賞する展示室では、作品に対する印象や自分なりの解釈を、タッチスクリーン上に表示された言葉の中から選ぶことができる。液晶にはフォースフィードバックが実装されており、画面上の言葉に触れると、小さな振動によるフィードバックがある。

選ばれた言葉は、選択された頻度に応じてグラフィック処理され、展示室外の情報スペース壁面にリアルタイムで投影される。

17世紀のオランダを紹介するシアターでは、映像番組の音声の多言語化を実現。骨伝導スピーカーと音声ガイダンス、無線 LAN の組み合わせによって、映像番組の高音質な臨場感を維持したまま、副言語音声も同時に提供する。

「絵の中に入る」と題された展示は、《部屋履き》に描かれた空間を現実の寸法まで拡大し、舞台の書き割りのように、「景」と「景」の位置関係のみで立体感を表現。2台のプロジェクターと赤外線センサーにより、あたかも絵の中に入ったかのようなスペースの中を自由に移動しながら作品の空間構成を体感できる。

「画家の技術を体験する」という展示では、テーブルに組み込まれたディスプレイに映し出された《部屋履き》の画像をタッチパネルで操作することで、遠近法の視点や光と影など、作品に立体感を与えている要素を来館者が自分で変化させながら、絵画における空間表現技法を理解できる。

「作品の意味を考える」の展示では、65インチ液晶スクリーン上に表示した《部屋履き》の画像から、象徴的な意味が含まれているといわれるいくつかのモチーフを、来館者が指でなぞりながら探し出すと、そのモチーフの秘められた意味を解説する。

「画家と出会う」では、ファン・ホーホストラーテンの生涯を映像で紹介するとともに、その芸術の創造性を明示。映像に登場する代表作の画像をじっくりと閲覧できるコーナーと、彼の視覚実験の中でもユニークなものとして知られる「遠近箱」の模型を再現し、その錯視効果が体験できるコーナーを併設している。

また、再現した「遠近箱」の模型に組み込んだ超小型の映像システムを利用し、遠近箱の中に描かれた絵の上にキャラクターの CG がオーバーラップして現れるコンテンツを提供する。


大型液晶ディスプレイを使った「作品が制作された時代、さらにルーヴルのコレクションの中で≪部屋履き≫を位置づける」は、マサチューセッツ工科大学メディアラボ副所長石井裕教授と、ルーヴル美術館、DNP の3者によって開発された作品情報システムのプロトタイプ。

画面上に表示された作品の中から気になる作品画像を選んでいくと、同じタイプの視覚的特徴を持つ作品がグループで示されるので、作品どうしの関係性を認識しながら、鑑賞のポイントを学ぶことができる。

大日本印刷株式会社 第1トータルソリューション本部 第3 TS 企画開発室 久永一郎氏
大日本印刷株式会社
第1トータルソリューション本部
第3 TS 企画開発室
久永一郎氏
DNP とルーヴル美術館は協力して、ルーヴル美術館の新館や新展示のための実験を続けており、ルーヴル美術館の学芸員の着想と DNP の提案から、さまざまな試みを行っている。

今回の展示のような「体感する」鑑賞体験は、現代的なアプローチで名画を楽しむという提案ともとらえることができる。

特に今回の AR を使った会場のルート案内などは、順路がわかりにくい美術館・博物館では、非常に便利なものとなっている。

AR は、さまざまな分野での応用が検討されているが、「店頭商品の一部は登録会員にのみ価格を表示する」など、即ビジネスに結びつくようなアイディアも示してくれた。

「ファン・ホーホストラーテン≪部屋履き≫問い直された観る人の立場」(主催ルーヴル美術館、大日本印刷)は、DNP 五反田ビル 1F の「ルーヴル-DNP ミュージアムラボ」で2008年12月6日〜2009年5月16日の期間で開催中。観覧は無料で、観覧には予約が必要。

会場の様子
会場の様子

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