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300ドルで84件のロゴデザインを Get!crowdSPRING を使ってみた。(後編)ロゴデザイン募集期間中に「crowdSPRING」から、筆者所属会社ホームページに遷移したセッションがあった国を白地図にマップしてみた。【図1】
色の濃いほうがセッション数が多い国として表現している。米国が圧倒的に多いが、インドネシアやフィリピンなどの東南アジア地域、グルジアやポルトガルなどの南ヨーロッパのアクセスが相当数あった。 またエジプト、ナイジェリアなどのアフリカ大陸からも少数だが確認できた。そのほかにも、UAE、ブルガリア、クロアチアなどからのアクセスもあった。まさに全世界の Creative との接点を実感できる。 アウトプットのバリエーションの豊富さはもちろんのこと、掲示板やメッセージ機能を利用したコミュニケーションも結構楽しい。後編では、プロジェクトの進行過程とともに、この全世界に散らばった Creative の特徴などについても紹介したい。 なお、本稿の内容背景については、前編を参照されたい。 ■2009/4/18 23:52-5/2 23:52(募集開始から応募終了まで) ・申し込み直後 crowdSPRING では、募集案件のことを[project]と称する。その後、buyer に対して、Step1-3を行動するようアドバイスされる。 ●Step 1:Make the first move. 「初めてのエントリーは、project を開始してから2、3日は必要です。その間、ほかの project に応募されているデザインなどをチェックして好みの creative をみつけたら、Private Message をおくって、project に招待してみてください。」 【図2】は、crowdSPRING から、筆者所属会社ホームページに遷移したセッション数とロゴ応募数の推移である。募集要件の詳細説明のなかに、募集企業の現在のロゴを紹介するため、上記ホームページへのリンクを記述しておいた。 ご覧のとおり、募集開始直後の4/18から該当するセッションがあった。一方応募エントリーは、予告どおり皆無の状況が続いた。結局、最初の応募は project 開始から一週間経過した4/25だった。 当初、まったくエントリーがなかったため、応募の仕方に問題があるかと考え、crowdSPRING のヘルプデスクにメールで相談したところ、1日で返信があった。「1つの project で2つのロゴを求めているため割がよくない」と「どのようなロゴを期待しているのかもう少し詳細に説明しないと creative に理解されていない」可能性があるとの指摘がかえってきた。そのうちに、徐々にエントリーが増えてきた。 ●Step 2:Give feedback early - give feedback often! 「すべてのエントリーに対してフィードバックをすることをお勧めします。buyer がエントリーに対して好みであるかそうでないか意見を返すことで、creative はより要望に近いデザインを提供しようと工夫します」 crowdSPRING では、buyer と creative の公開掲示板を提供している【図3】。応募推移ここで、ピンクが buyer の投稿、それ以外が creative の投稿である。creative の投稿はエントリー追加のタイミングで投稿されることが多く、投稿内容を確認すると creative がどのような意図でデザインを投稿したかが、よくわかる。 実際にデザインを投稿してきた creative は30名で、投稿件数はアップロードのトラブルを含めて99件であるので、creative 1名あたり平均3.3件のエントリーをしてくれていることになる。当然だが、そのクオリティは投稿を繰り返すごとに期待するものに近づいてくる。また、エントリーした creative のプロフィールページを参照すると、 ・過去の応募した project ・過去に投稿したデザイン ・現在の応募状況 などが確認できる。連絡手段は上記掲示板とサービス内のメッセージ機能のみである。 ちなみに、Buyer がフィードバック投稿をしていないと crowdSPRING から熱心に投稿するように催促のメッセージが送られてくる。 ●Step 3:Be sure to score EVERY entry. 「すべてのエントリーに評価をつけてください」 募集期間終了より winner 決定までの期間は7日間。5/2 23:52が期間終了なので、5/9 23:52までに決めればよいと考えていたが、5/8の午前中には、project ページのタイトルが[Award within 1 day]と表示された。 winner 決定期限がよくわからなくなったので「期日の確認とともに期日までに winner を決めなければどうなるのか?」といった質問をヘルプデスクに投げかけたが、返答は無かった。その後、5/9 18:00には[Your decision is past due]にタイトルが変更された。 5/9 19:00ごろ winner を決定したが受け付けられた。【図4】が winner に選択したロゴだ。選んだ creative は[pixelpixer]。プロフィールをみると、何度も winner を獲得している実績が確認できた。winner 決定とともに、今回の総評を求められる。
・winner の評価:「全体的な満足感」、「エントリーのタイミング」、「コミュニケーション」といった項目をそれぞれ100分率で評価する。 ・winner 以外の評価:各ロゴに対して、5段階評価で得点をつける。 これらの評価で、Yahoo! オークションの出展者や落札者の評価と同様な目的・効果を期待しているのだと考えられる。buyer および creative の行動実績を把握できるとともに、参加者に分別ある行動を促し、サイトのクオリティを保つことに役立っている。 winner を選択すると、直後に最終確認のメールがとどく。記載されている URL ページで了解ボタンをクリックすると、creative からアウトプットとして求めたデータ形式すべてのファイルをダウンロードできるようになる。 次に、crowdSPRING から contract がメールにて送付される。内容は project 開始前に確認した contract に buyer と winner の名前と国籍が書き込まれたものだ。これを開いて、初めて winner[pixelpixer]がエジプトの会社であることが判明した。これで一連の project は終了した。 ■crowdSPRING を活用しての感想 croudsourcing の可能性を実感できた体験であった。感心した点や気になった点を箇条書きで列記する。 ●creative について ・アウトプットのバリエーションの豊富さに驚いた。全世界からの応募ということで、奇抜なデザイン提案を受けることができた。 ・エントリーする creative は、非常に前向きに対応してくれる。こちらからの要望に対して、かなり迅速な反応をしてくれる。時差など意識することなく、国内のデザイナーと同様なコミュニケーションが可能であった。 ・応募慣れした creative は、効率性を求め、期日直前にエントリーしてくる傾向がある。 ●crowdSPRING サービスについて ・利用方法を誘導するインターフェイスがよくできている。次に何をすればいいのかを、タイムリーに提示してくれる。 ・日本からのアクセスに限ってのことかもしれないが、レスポンスが遅い。ひどい時は1分くらい応答時間がかかるケースも確認できた。また winner を決定する5/9ごろにシステムのトラブルが発生して、6時間くらい掲示板がつかえなくなった。 ・creative とコミュニケーションを通じてアウトプットの完成度を高めることができる。そのやりとりが公開されることもほかの creative の参考になる。 ・project ごとに25エントリー未満であれば、返金する仕組みがある。buyer にとっては安心であるが、25エントリーをカウントする際に、creative のアップロード失敗などもカウントするのは「セコイ」感じがしてしまう。 ・ロゴ決定前のプロセスが公開されているため、それを前提として project の運営を配慮する必要がある。トップページの[Featured projects]【図5】をみると、これを逆手にとってロゴ決定自体をプロモーションとして利用しているようだ。 ・守秘義務などがある案件ではクローズドプロジェクトで開催すると問題なさそうだ。機会があれば、後日試してみたいと思う。 crowdSPRING は、Buyer にとって「気軽に project をはじめられ、簡単にアウトプットを得られる」ことをアピールしている。まさにその通りのサービスだった。 一方、creative 側へのアピールとしては、[find the projects you like, submit your ideas and get paid when yours is the best]とある。こちらも creative にとっても気軽に参加できるマーケットプレイスに仕上がっている。 しかし、buyer からしても、最後にすべてのエントリーを俯瞰して最終判断するため、後に出てきたデザインが採用される確立がどうしても高くなると予想する。これを見透かしてか、手慣れた creative はなるべく最後に近くなって応募してくる傾向がありそうだ。 最終日に参加してきた creative とは、コミュニケーションをする時間的余裕は一切無かった。彼らがもっと余裕を持って、参加してくれていれば、よりよい project になったと考える。このあたりの改善に期待したい。 【当コラム執筆は、Looops Communications 取締役副社長の福田浩至が担当しています】 関連記事
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