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2009年7月7日 13:30

Amazon EC2 体験記〜今日本でできること/できないこと(前編)

仮想サーバー(VPS:Virtual private server)が注目されている。ミック総研は2月に関連サービスを含んだ「サーバー仮想化ソリューション市場」の予測を発表した。

2007年度が780億円であるのに対し、2013年度には3,920億円にまで拡大すると見込む。実に年成長率は30%を超える。

サーバー仮想化ソリューション市場
サーバー仮想化ソリューション市場
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VPS では、物理的に1台ないし複数台のサーバーに専用サーバーの環境を複数用意することができる。この技術を利用して、多くのホスティング会社で、論理サーバーを提供するサービス(VPS サービス)を開始している。

利用者にとってのメリットは、なんと言っても「価格」だ。月額で1,000円を割るサービスも出てきている。「webkeeper」のローエンドサービスなら、12か月契約で6.95ドル/月だ。しかも初期費用もかからない。

また、ハードウェア障害などは複数の顧客におよぶ。このためデータセンター側で自発的に対処してくれるので、保守コストの抑制も期待できる。

仮想化技術自体は特に目新しいものではない。Mac 上で Windows を、Windows 上で Linux を立ち上げることは、随分前からエンジニアの内では、よく行われていた。仮想化サーバーを実現するためのソフトウェアとしては、Virtuozzo や VMware、Xen などが長年利用されている。

ここ1〜2年で、一般企業や個人にサービスとして注目されるようになった背景は、

・サーバーマシンのコストパフォーマンスの向上に伴い、仮想化サーバーに供するサーバー資源が確保しやすくなった。
・前述の仮想化サーバーソフトウエアの信頼性が高まり、利用するために必要な可用性を維持できるようになってきた。

といったことがあげられる。サーバーをより複雑な利用形態とするのであるから、システム管理者にとっては、信頼性・可用性のリスクをが気になるところだ。IDC ジャパンの調査では、「サーバー仮想化技術の課題として、導入予定があるユーザー企業の54.0%が『論理サーバー(仮想マシン)の高可用性、信頼性の確保ができない』を挙げている。しかし、すでに導入実績があるユーザー企業では『論理サーバーの高可用性、信頼性の確保ができなかった』とする回答は19.6%で、 実際には大きな問題になっていないことが分かった」としている。

このような技術的な進歩を背景として、ネット通販で驚異的な成長を続ける Amazon が提供する Amazon AWS(Amazon Web Services)が火をつけた。このサービスによって、Amazon は Google や Microsoft と同様に「クラウド・コンピューティング」サービスを提供する企業としても注目されることになった。

このサービス群のなか、EC2(Elastic Compute Cloud)は、AWS の中で仮想サーバーのホスティングサービスという位置付けだ。Amazon EC2 は2006年8月にベータバージョンが公開され、2008年10月に正式なサービスとしてリリースされた。

運用可能時間99.95%を保証したことで、ビジネス利用を検討する企業の心理的なハードルはぐっと下がり、採用が一気に促進されたと思われる。米国では Nasdaq、The New York Times、Twitter など、有名企業・サービスにも多く採用されている。日本では「けんてーごっこ」(学び ing)や社内 SNS の「SKIP」(TIS)などで実績があるものの、緒に就いたばかりだ。

インフラ環境を Amazon EC2 で構築するメリットは、その多くがサーバー仮想化のメリットと共通するが、コストに焦点を絞っていくつかあげてみた。メリットはベンチマーク(何と比較するか)によって大きく変わってくる。ここでは企業の選定にあたって競合となる(であろう)国内の占有ホスティング・ハウジングサービスとの比較を前提としている。

◆Amazon EC2 を導入することで得られるメリット

1.初期コストの低減
初期費用は無料

2.課金単位の柔軟性
・費用は、利用時間(利用するサービスごとに変動)と転送データ量で決まる。最小のスペック(Small Instance)では、0.10ドル/時間。月額だと72ドル。

このような料金体系なので、1時間だけサービスを追加して、その後元に戻すといった運用も可能だ。占有ホスティングでは、2週間前に申し込みが必要で、利用後少なくとも1か月は解約できないだろう。使い勝手は格段に向上するはずだ。前述の VPS サービスでもこのような運用はできない。

なお、年間契約すると33%程度のディスカウントもうけられる。

・転送データ量は、データ流入側が0.1ドル/GB、データ送出側が0.17ドル/GB
・その他固定 IP やキャッシュサービス、監視サービスなどで別途費用がかかる、オプションサービスがある。

3.可用性コストの低減
・EC2 で保証している99.95%を達成するためには、結構コストがかかる。主観だが、占有ホスティング・ハウジングサービスでは、数倍〜十倍程度の費用がかかるのではないだろうか?

4.スケーラビリティーの柔軟性
・システムの発展に応じてスケールアウト、スケールアップが可能。ロードバランシングをサポートしているなど、他の VPS サービスと比べても EC2 の拡張性は高い。

上記のようなメリットに期待して、筆者は Amazon EC2 を利用してみた。その経緯を次稿にて報告する。

【当コラム執筆は、Looops Communications 副社長 福田浩至と、同社 岡村直人が担当しています】


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