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2009年11月17日 12:10

社員力を生かすソーシャルメディアポリシー

前稿で紹介したとおり、ソーシャルメディアを活用時のリスクを管理するため、ソーシャルメディアポリシーを策定する企業も少なくない。すでに、ソーシャルメディアを大々的に活用しているマイクロソフトの例をみてみよう。

◆マイクロソフトのソーシャルメディアへの取り組み
マイクロソフトは、自社ホームページで多数のコミュニティを運営している。

最近、製品の情報交換ができる“microsoft answers”がリリースされた。このほかに、Q&A コミュニティの“MSN 相談箱”、システムの運用管理に関する相談“Microsoft Technet”などが運営中だ。これ以外にもオフィシャルブログサイトや Twitter など、様々なソーシャルメディアを活用している。

コミュニティに参加している社員も少なくない。コミュニティサイトの利用規定には「インターネット上のコミュニティサイトにおけるマイクロソフト社員による発言やコメントは、マイクロソフトの正式な見解またはコメントではありません」といったページが用意されている。

MS 社員のコミュニティ参加について
MS 社員のコミュニティ参加について
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だからといって、社員は好き勝手な回答をしているわけではない。実際、“Microsoft Answers”では、社員の丁寧な対応をよく見かける。先週紹介した Social Media Governance から、マイクロソフト社の「ソーシャルメディアポリシー」の一部である「Twitter の利用ガイドライン“Tweeting Guidelines”」(PDF)を閲覧できる。

内容には、

・ユーザーに誤った認識を与えかねないことを自覚して慎重に応対すること
・機密情報を公開しないこと
・個人情報を掲載する場合には、プライバシーポリシーを遵守すること
・専門的な回答をする場合には、メールアドレスや社内での部署を明らかにすること
・製品名や社名について記述する場合は、正式な表現とすること
・アカウントの作成手順を守ること
・回答には、Microsoft's Blogging FAQ を参考にすること
・TinyURL などの URL 省略サービスを利用する際には注意事項を守ること
・リストにある社内規定を遵守すること

などなど、事細かな注意事項が列記されている。

◆ソーシャルメディア・ポリシーをつくるときに、考えなければならないこと
このように、「コメントが会社の正式な見解でない」ことを宣言すれば、ソーシャルメディアをリスクなく活用できるわけではない。また社員だけを管理しても不十分だ。

例えば、入社面接をした応募者が、面接の様子を Tweet するかもしれない。取引先の社員が、親切心をもって専門的な質問に回答することもあるだろう。図のようにソーシャルメディアポリシーは、彼らを含めたステークホルダーとの合意事項でなければならない。

ソーシャルメディアポリシーと企業をとりまくステークホルダーとの関係
ソーシャルメディアポリシーと企業をとりまくステークホルダーとの関係
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また、リスク管理ばかりに関心が向かうと、ソーシャルメディアへの取り組み自体が萎縮する。積極的な取り組みを推奨することを前提とした、ソーシャルメディアポリシーをつくらなければ本末転倒だ。ソーシャルメディアへの参加を推薦しながら、ソーシャルメディア・ガイドラインを策定した米国赤十字社の例を紹介しよう。

◆米国赤十字社のソーシャルメディアへの取り組み
米国赤十字社は、3万4,000人の社員と約70万人のボランティアが従事している。この会社では、常に「ボランティア」「募金」そして「血液」を募集している。まさに、人々が支えあうことで成り立っている企業だ。また、地域ごとの支部が現場活動を指揮するため、組織は支部群の集合体ともいえる。

図は、米国赤十字社のホームページだ。

米国赤十字社のホームページ(トップページ)
米国赤十字社のホームページ(トップページ)
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ページの最下部に、有名な5つのソーシャルメディアサイトのアイコンが並ぶ。Facebook ではグループページを持ち、9万人以上の人がグループに参加し、活動内容の紹介、ボランティア間のコミュニケーションなどに活用されている。募金サイトも運営している。

YouTube では専用チャネルがあり、活動内容を配信している。Flickr では1,700件の写真が掲載され、Twitter の公式および各支部のアカウント数の総計は100件を超える。ブログサイトも充実している。

さらに、全米各支部では個別に HP が存在し、独自にソーシャルウェブを活用している。各支部、各社員、各ボランティアが一貫性なく活用すれば、各方面で混乱することは必至だ。

危惧した本部(NHQ)は“Social Media Handbook for Local Red Cross Units(各支部向けのソーシャルメディアハンドブック)”を作成した。マイクロソフト同様、コミュニティに参加するときの注意事項が紹介されているが、それに加えて以下の特徴が見られる。

・ソーシャルウェブを積極的に活用することを奨励している。
・支部ごとに独自の戦略を立案・実行することを提案している。
・本部(NHQ)に対して実施している内容を報告することを要求している。
(管理・監視するためでなく褒章対象をノミネートするためだそうだ)
・本部は困ったときは、相談にのり、常に支援することを宣言している。
・読者に混乱を与えないようにアカウントのネーミングルールやプロフィールの表記方法を規定している。

これらの運用ルールとは別に、個々のソーシャルメディアごとに、コミュニティが活性化するためのヒントを用意している。

例えば、
・YouTube にアップするビデオは視聴者に向けて、「Ask questions〜質問をなげかける」、「Make statements〜主張する」、「 Call people to action〜行動を呼びかける」、「Give people a chance to get involved in your work〜仕事に参加できるチャンスを与える」といった内容が、相手に伝わりやすいですよ。

・Twitter のアカウントを持っていない人は、個人のアカウントを作成して最低1か月は利用してみてから、支部のアカウント運用を開始しましょう。

など、ソーシャルメディアごとに特性を生かした活用方法を紹介している。

◆まとめ
図に関係するアウトプットとそこに盛り込むべき内容例をまとめてみた。

ソーシャルメディアの活用を配慮して、アウトプットに盛り込むべき内容例
ソーシャルメディアの活用を配慮して、アウトプットに盛り込むべき内容例
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図のとおり、リスクを考慮すると「就業規則」「取引基本契約」など全社的なアウトプットにも影響がおよぶ。経営者のリーダシップも不可欠だ。同時にステークホルダーには、活性化するための戦略も共有させなければ意味がない。

ソーシャルメディア自体は、あくまでツールに過ぎない。「ソーシャルメディアポリシー」は、これらのツールに息を吹き込み、社員をはじめ関係者が積極的に参加できる仕組みでなければならない。

【当コラム執筆は、Looops Communications 副社長 福田浩至 (twitter アカウントはこちら) が担当しています。ご意見、コンタクトなどお気軽に twitter アカウントにどうぞ】


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