米国の eコマースに学ぶ収益構造の改善 昨年のアメリカの eクリスマスは比較的好調であったようだ。さすがに前年比数百%の伸びなどという事態は無くなったが、堅実な商売で収益を上げている事例が増えている。
ここ1〜2年、米国の eコマースの収益構造は良い方向に向かい始めた。一時はマーケティングコスト全体のほとんどを占めていた「顧客獲得コスト」も激減。特にオンライン専業で生き残った企業は、ここを徹底的に切り詰めた。 コンバージョン率(来店者対比購入者比率)は若干向上。SAR(ショッピングバスケットに入れておきながらレジを通らない比率)は低下している。オンライン経験の蓄積が功を奏してきた、ということだろう。他にも理由はあって、明確なターゲットマーケティングや、オンラインを中心としたマーケティングツールの効率性の再検討が成果を上げ始めたことということも指摘できる。 収益構造を改善させている大きな要因の1つが、リピーター相手の商売の内容だ。各種の統計数字を見るかぎり、リピーターシェアは半数を越えている。 劇的なのはリピーターの貢献度だ。新規客に対する顧客獲得コストに対して獲得できた売上があまり増えていないのに比べ、リピーターに対するリテンションコスト(顧客維持費用)対比売上は2倍近い水準に激増。要するにリテンションの効率が上がってきたということなのだ。 リピーター貢献度が増えるということは、今のマーケティング理論では歓迎すべき事項の筆頭である。効率の悪い「新規客獲得コスト」に金をかけずに済むし、「リピーターをよく知る」ということが、一層マーケティングの精度を高める。 もっとも新規客獲得に力を入れないで良いということではない。顧客層が陳腐化するからだ。こんなことを書くと叱られるが、「顧客を新陳代謝させる仕組み」は顧客マネジメントにおける鉄則である。 日本の eコマースの方は、あまり効率性が向上したという話は聞かないが、理由はこの「新陳代謝」が上手くいっていないことも背景にありそうだ。早くに参入した大型専門店はリピーター依存傾向が強く、結果的に売上の伸びが止まり始めている。一方でリテンションコストに金をかけているわけでもないので、1人の客から見込める売上は横ばいないし漸減傾向だ。 中小店の方は、リピーター相手の濃密な商売が相変わらず功を奏している店もあるが、リピーターの客単価は横ばいだ。反面、新規客獲得のパワーは低減しているし、しかもオフライン含めた業態間競争の激化が、市場のパイを狭め始めている。これまた飛躍的成長のシナリオに欠けるのだ。 大型店、中小店いずれも、画期的な市場拡大の方程式が見えてこない。eコマースのマーケティング効率性という点からみれば、まだまだ日米の差は大きい。今年は正念場。これは持論だが、1度リセットして考え直す必要があると思う。 記事提供:M&M研究所
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