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ネットの商売の原点を見直す 最近某社が EC 事業からの撤退を表明した。まあこれは利用者の基礎ニーズがあまりに少なかったという「失敗の必然」なのだが、敗因はもう1つありそうだ。なにしろ、事業開始をぶちあげていた当時「店は夜は閉まるが、ネットなら24時間稼いでくれる」と関係者が語っていたのだ。
まあそれはそうだけど、ネットのオキテは「消費者主導」なのだから、「24時間稼げる」という自社の論理から発想してもまず無理だ。 どうもネットの商売の原点がぼやけてきた気がする。既に10年近い歴史の中で、確かに紆余曲折があったが、結局「人はなぜネットで買い物をするのか?」ということなのだ。 ネットの商売が始まったころ強調されたのは、確かに「24時間いつでも買い物ができる」「家にいながらにして海外の店でも買い物できる」といったこと。これではあまりに能がないということで次に価格メリットが強調され始めた。good price をチョイスできる、価格比較が可能、低価格商品の調達が容易、といったことである。 その後次第に「付加価値路線」が重視されていく。「深い情報」「リッチなコンテンツ」「卓越したサービス」といったものだ。さらに、ネットの商売とは実店舗や実営業のプレッシャーやストレスから解放されるものだ、という視点が定着。ネットビジネスは別名「プレッシャーフリーコマース」と名付けられる。結果的にネットの店は実店舗やカタログに比べてもはるかに顧客満足のレベルが高い、といった評価が定着する。ことに日本の中小オンラインショップはその典型であった。 これはこれで結構なことなのだが、原点とは何だろう?アメリカの様々な調査結果を見ると、第1位はいつも決まっている。Convenience だ。便利だから利用する。これが基本である。中身はといえば「好きな時間に利用可能」「省時間」「チェックアウトに時間を取られない」「並ばずに買える」「店員の押し付け販売から解放される」といったものだ。 この視点から日本の店を見直すとそんなに卓越した利便性は提供していない。「付加価値路線」にこだわるあまり、原点が見失われている店が増えている。店内での滞留時間を高めるのも確かに重要だが、「とっとと用事を済ませ、さっさと帰る」ことを重視する人には無駄なデザイン、コンテンツが多い。 かつてのショップの成功要件は「ぺたぺたした(sticky)な店づくり」と言われたものだ。だが今ではこの「ぺたぺた」を嫌がる人が増えている。かって好評を博した粘着質なメルマガも、今となっては、「うんざり」という評価に転じてしまう。 ネットでの消費者は性急で移り気だ。ネットの商売の原点「利便性」を見直すことが、実店舗含めた「業態間競争激化時代」の生き残り策となるだろう。 記事提供:M&M研究所
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