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「Mydoom」感染で中国ウイルス対策の環境不備が顕在化「小郵差変種」「諾維格」。これらの中国語は、メールウイルス「MyDoom」のことを指す。この史上最速で最悪といわれる MyDoom は、当然ながら中国にも莫大な被害をもたらしている。
中国における感染状況は諸外国とは異なる様相を呈していた。世界中に拡散を始めた先月26−27日は、中国ではちょうど「春節(旧正月)」期間。このため、感染被害は企業ユーザーに及ぶことはなく、個人ユーザーレベルにとどまっていた。しかし連休明けの29日、多くのウイルス対策ベンダーが警戒を強めたにもかかわらず、中国においても各企業で多くの被害がもたらされることになった。 中国のウイルス対策ベンダーが発表したデータに基づけば、29日までの世界の感染被害状況で、感染「3日遅れ」の中国は上位にランクされている。これは中国が、米国に次ぐ世界第2位のインターネット人口を擁することも要因の一つとして考えられているが、ネット人口が急増している裏に内在する環境未整備の問題が顕在化したともいえる。 中国では、2003年上半期(1−6月)まででコンピュータウイルスの感染率は60%をゆうに超えるとのデータが出されている。そして、この感染率は、現在も減少するどころか増加傾向にあるともいわれる。 中国のウイルス対策の現状を覗くと、アンチウイルスソフトの利用では国産が圧倒的シェアを誇っている。「中国 IT 白書2003-2004」(2003年10月、株式会社サーチナ編著)の中で、上海新秦信息諮詢有限公司(上海サーチナ)が2003年8月に行ったソフトウエアに関するマーケティング調査によると、アンチウイルスソフトの利用状況では、「金山毒覇」が37%を占めて首位。次いで「瑞星」が30%弱で、この国産ソフトが完全な2強を形成している。 金山毒覇は、中国アプリケーションソフトの最大手ベンダーである金山軟件の主力製品で、瑞星はアンチウイルスソフトやネットワークセキュリティ専門の北京瑞星科技股フェン有限公司が提供するソフトウエア。このほか、この調査では Norton Antivirus が15%程度となった。 また、中国コンピュータウイルス緊急処理センターが行ったアンチ・ウイルスソフトウエアの性能検査でも、中国ソフトは海外ソフトを抑えて最高評価を得ている。専門家はこの状況を、国内ベンダーの研究開発の成果とともに、海外の大手ベンダーが、中国大陸で技術開発を行っていないため、新たに発見されたウイルスの処理など、中国のコンピュータ事情に適合したソフトウエア開発に、その長年蓄積した技術を活かしきれていないと指摘する。 しかし実際には、この国内ソフトの独占市場が大きな仇となっている。今回の「MyDoom」のほか昨年では MSブラストなど中国は世界規模のウイルスによって大きな被害を受けている。中国のコンピュータ事情に特化しただけのソフトでは、これらウイルスに対処しきれない部分が少なからずあるといえる。 最近ではトレンドマイクロやシマンテックなどの世界大手による中国市場の開拓も始まった。これら世界大手が中国で研究開発部門を設立するなど、今後は激しい市場競争が展開されることも予想される。中国では、今回の「MyDoom」感染被害によって、アンチウイルス市場の環境改善が改めて見直され始めている。 (執筆:サーチナ・有田直矢)
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