各工程の「ボトルネック」を解消し、IT の命題である「スピード」を追求しながら、最大限のパフォーマンスを上げる SCM は、今やどの産業においても最重要なテーマとなりつつある。そして、ここにきてインターネット広告も、ようやくマス広告を「速く」「安く」した単純なモデルから、ネットビジネスのバリューチェーンにおける「ボトルネック」の解消という領域に直面しつつある。まさにそれは SEM によってもたらされた。言い換えれば自動入札システムによってもたらされるはずである。
■SEM におけるボトルネック
では SEM における現状の「ボトルネック」とは何か? SEM の登場により、最も消費に近いターゲットを、リアルタイムにキャッチする仕組みは整った。SEM に出稿することは、お店の陳列棚に商品を並べるようなものである。自動入札システムの登場により、その柔軟性は更に上がるはずである。しかし、それではまだトヨタの「カンバン方式」で言えば、二次工程は整ったが一次工程との連動がとれていないようなものである。在庫管理から発注までの情報が分散してしまっているのである。
■自動入札システムの課題
SEM における ROI の追求はこれまで、キーワードの「順位」や「CPC」などを中心に展開されてきた。だが自動入札システムの登場により、偏在している情報を統合するプラットフォームが整う。提供する財にもよるが、これからは「スピード」の追求、つまり「リアルタイムの情報を広告として配信する」というゴールイメージに向かって、生産管理から在庫管理、そして広告配信までの工程をいかにシステムとして整えていけるか、ということが競争優位を左右する可能性がある。まさにデルコンピューターが行ってきた「スピード」による差別化だ。
ただ、SEM でのポイントは、全体を設計しながらボトルネックを解消していくことだけではなく、それに加え「社会という複雑な生態系をとりこむ、柔軟で冗長性のあるシステム」をいかに設計するかということだ。また、それが現実になれば「SCM と CRM の統合」という新たなテーマも生まれるだろう。私たちは SEM をどのように活用し、どのように発展させていくべきなのか。課題は山積みだが、これまでトヨタやデルが残してくれた SCM の視点から再度捉え直していきたい。