新たな頭痛の種:中国「圧縮 DVD」が映像出版業界に大打撃中国では、今年の1月ごろから「圧縮 DVD」と呼ばれる非合法な DVD が出回りはじめた。これが音響・映像(AV)製品出版業界に大きな打撃を与え始め、新たな問題としてクローズアップされている。
圧縮 DVD とは、1枚に複数本の映画やテレビドラマを収録したディスクを指す。通常の DVD プレーヤーで見ることができ、画質は DVD と比べると劣るものの、VCD よりは良質とされる。VCD は MPEG−1技術でデータを圧縮しており、DVD は MPEG−2を用いる。圧縮 DVD は、1999年1月に基本規格が確定した MPEG−4技術を使用する。1枚のディスクに通常4−5本の映画を収録することができ、ある程度画面や音質が悪くなっても問題ないのであれば、最大8−10本の収録が可能だ。 とすると、80回の連続テレビドラマも6−8枚の DVD に「圧縮」することができる。そしてこれが1枚当たり5−7元という安さで販売されているのだ。例えば中国で大ヒットの「中国式離婚」というドラマの正規版 DVD は226元だが、圧縮 DVD ではディスク2枚に収められ、10−14元で販売されている。 日本でも大ヒットの中国映画「HERO」、その VCD と DVD の版権を獲得して大きな収益をあげたとされる広東偉佳音像公司も、2004年10月以降、この圧縮 DVD の出現により、テレビドラマを収録したディスクの販売が、北京市だけで80%減。全国範囲の販売状況も70−80%下降し、損失は少なくとも200万−300万元前後に上るとみられる。これは広東偉佳音像公司に限ったことではなく、業界全体として同様の被害が相次いでいる。 AV製品出版業者である広東中凱文化は、版権を持つ40回のドラマが、正規版で最低100元するところを、圧縮 DVD 化されて20元前後で販売され、大きな打撃を受けているという。また、広東飛仕音像公司の従業員によると、これまで正規版100セットを出荷していた地域でも、圧縮 DVD に押されて出荷量が4分の1から5分の1に縮小している。 このようにAV製品出版業界に大きな打撃を与える圧縮 DVD がまん延する原因は、実は一般消費者の強い支持にある。安価な1枚のディスクに作品が大量に収録されているため、消費者にとっては罪悪感よりお得感が勝る。このため違法製造の取締りもほとんど効果がない状態だ。いっそ圧縮 DVD の製造技術を産業化するほうが良いとの見方もある。 「中国 IT 白書2004−2005」(サーチナ、2004年10月)も、中国における、こうした非合法な行為に対する意識の低さを指摘している。業者側も半ば諦めているのか、広東中凱文化の従業員は圧縮 DVD の産業化について、「圧縮技術については掌握しているが、これを産業化するとなると、現在の産業チェーンを白紙に戻すことになり、時間がかかってしまう。そして、そうこうするうちに、また新手の非合法ディスクが誕生するに決まっている」と語っている。 (執筆:サーチナ・中村彩) 関連記事 最新トップニュース
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