「村村通」で農村部の通信インフラ整備が急ピッチ、政府主導で「すべての村に電話を引こう!」通信インフラの整備を進める情報産業部は2004年1月から、すべての農村への電話の普及を目指す「村村通」プロジェクトを開始。計画は順調に進み、2005年5月現在、全国の村落における電話開通率は91.8%となっている。中国では都市間の経済格差が大きいことが問題になっているが、通信に関してもデジタルデバイド(情報格差)の深刻化が問題となっている。村々に電話網を引くこのプロジェクトは、「小康社会(衣食住に事欠くことなく、まずまずの暮らしを維持できる社会)」の実現を目指す中国政府にとって早急に解決しなければならない問題だ。
情報産業部の2005年4月の統計によると、全国の電話加入数は、固定電話が3億2,946万件、移動電話が3億5,371万件の合計6億8,317万件で、両社の合計による電話普及率は50%を超えている。しかし、地域間格差が大きく、沿海の東部地域では固定電話の家庭普及率が100戸につき77台であるのに対し、中部地域では50台、西部地域では40台となっており、通信設備が全く存在していない地域もある。 陝西(せんせい)省・横山県にある王有村は、山に囲まれた典型的な山村だ。携帯電話を持つ村民も少なくないが地理的条件により電波状況が悪く、数十分かけて山を登らないと携帯電話が通じないという状況だ。移動電話3億件の加入数を数えるこの時、信じられない話だが、この村に固定電話が開通したのは2004年5月のこと。電話をかけるために遠出する必要がなくなったと村民には好評で、利用者が絶えないという。 この電話、外見や使用方法は一般の固定電話と変わらないが、実は電話線ではなく、北京の通信設備メーカーが自主開発した「SCDMA 農村無線接続システム」を採用している。中国が知的財産権を有する第3世代(3G)携帯電話規格の TD-SCDMA ネットワークにも接続可能で、一定範囲を移動しながらの通話も可能となる。 このシステムの最大の特徴は、経済的であることだ。情報産業部によると、都市部で固定電話を設置する時の平均コストが1,200元(約1万5,000円)であるのに比べ、農村部では1.3万元(約16.25万円)程度が必要になる場合もある。一方、このシステムでは、1台あたり800元(約1万円)で設置することが可能だ。そのため、2005年2月には情報産業部から村村通プロジェクト初の指定方式に認定され、プロジェクトのコスト削減につながるとして注目されている。 また、情報産業部は6月2日、一部の地域に衛星通信システムを採用する計画を明らかにした。コストが高くつくため、採用は高山や砂漠地帯など、電話線の引き込みが特別に困難な地域に限られる。情報産業部は中国の六大通信キャリアと連携して海外の衛星通信企業との具体的な導入方法に関する協議を進めている。 衛星通信システムに関しては、設備投資は高額だが、通話料金を高く設定して資金を回収することができないという制約があり、情報産業部では、通信キャリア各社に対する補助金制度を設ける。さらに、利用者は年間契約を結ぶことで通話料金を下げることにしている。 村村通プロジェクトは、中国の六大通信キャリアと呼ばれる、中国電信(チャイナテレコム)、中国網通(チャイナネットコム)、中国移動(チャイナモバイル)、中国聯通(チャイナユニコム)、中国衛通(チャイナサットコム)、中国鉄通(チャイナレールコム)が分担してインフラ整備を行っている。 1996年には53.3%だった農村部の電話普及率は、2003年には89.2%となっていたが、情報産業部は2005年5月、プロジェクトの実施により2.6ポイント上昇して91.8%に達したことを明らかにした。中国には行政上の村落が約69万あるが、そのうち62万8,000の村で電話が開通している。情報産業部では、5月18日に開催した全国村村通プロジェクト作業会で、「2005年内に、農村部の固定電話普及率を95%にまで引き上げる」との見通しを明らかにしている。 また、株式会社サーチナが上海新秦信息諮詢有限公司(上海サーチナ)などを通じて2004年5月に行った主要耐久消費財の購入動向に関する意識調査によると、携帯電話に追随するように、固定電話の消費需要が高いことが明らかになっている。調査時前半年間に買い替えた耐久消費財でトップの携帯電話(29%)に続き固定電話(18%)が第2位。また、買い替え予定の製品も、携帯電話(24%)とパソコン(17%)に続いて固定電話(12%)が第3位になっている。村村通プロジェクトによるものとみてよい。 情報産業部では、2010年を目処に村村通プロジェクトを実現させ、2020年までに各家庭にインターネット接続を含む電話を開通させる「家家通」プロジェクトを完了させることにしている。内陸部の通信インフラ整備は、小康社会の実現を占う鍵でもある。オリンピックや万博で沸く沿海部と、西部大開発で振興を図る内陸部の調和のとれた発展の舵取りに今、注目が集まっている。 (執筆:サーチナ・齋藤浩一) 関連記事 最新トップニュース
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