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2005年6月15日 10:00

BenQ が Siemens の携帯電話部門を買収した真意、華人ブランドを手に目指す世界ブランド

台湾最大手の携帯電話メーカー BenQ(明基電通)は6月7日、赤字が続いていた独 Siemens 社の携帯電話事業部門(6,000人の従業員を含む)を買収したと発表した。李焜耀・CEO(最高経営責任者)は、「2年以内の黒字化を目指す」と意気込むが、Siemens の携帯電話事業部門の赤字額は5億ユーロ(約6.13億ドル)に達しているという現実がある。

賽迪顧問(CCID コンサルティング)のアナリストは、今回の買収について、「両社がともに勝利した形」と分析。「Siemens にとっては、企業の『重荷』となっていた携帯電話業務を売却したことで財務上の負担が軽減。また、BenQ の最終的な目標はブランドの国際化であることから、Siemens ブランドの買収は、その第一歩となるだろう」との見方を示している。

しかし、買収が伝えられた6月7日、BenQ の株価は33.5台湾ドルから32.5台湾ドルに下落。6月8日には32.1台湾ドル、6月13日の終値は30.95台湾ドルとなり、下落を続けている。また、BenQ の携帯電話事業部門は2005年第1四半期(1-3月)に赤字を出していることから、いくら Siemens という世界的企業の一部門を買収したといっても、楽観はできない状況だ。

Siemens が自らの携帯電話事業部門の売却を決定したことについては、業界関係者の多くは「正しい選択」とみている。この半年間、Siemens の動向に関する憶測は絶えず、売却先として名があがった企業は7・8社あったとも言われる。しかし、売却先が BenQ に決定したとの情報に驚いた業界関係者は多い。ブランドの方向性や販売戦略における両社の差異が果たして融合できるのかと疑問視する見方が大半だ。

BenQ が携帯電話事業で豊富な経験を有するといっても、優勢にあるのはあくまで ODM(自社設計製品の相手先ブランドでの供給)加工だ。BenQ ブランドの携帯電話端末は発売から1年しか経っておらず、世界における知名度は低い。Siemens の携帯電話販売台数は5,000万台を超える一方、BenQ のそれは1,500万台にとどまっている。しかも、その多くは ODM 加工によるものだ。そのため、新体制では、生産に関しては Siemens 陣営を中心に進められるものとみられる。

Siemens は技術重視でデザイン軽視、かたや BenQ は高付加価値性に欠けるという特徴があり、この長所短所をうまく融合することができれば、ユーザーのニーズに見合う製品の開発につながる可能性もある。Siemens はローエンドモデル、BenQ はハイエンドモデルを重視しており、李・CEO は「Siemens はローエンドモデルに傾注し過ぎた」とも述べている。

また、注目されるのは6,000人の Siemens 側従業員の処遇だ。李・CEO は6月13日、「2007年以降にリストラ策を実行する可能性がある」と述べたばかりだ。しかも、「ドイツ側従業員は、Siemens の携帯電話部門は多くの危機に瀕しており、相応の措置をとらなければ最終的には共倒れになるということを意識すべきだ」と強調している。

ドイツにある開発チームのレベルの高さなどを重視し、新体制の本部はドイツのミュンヘンに置くことに決定している。李・CEO は、ドイツに設立する新会社の名称は「BenQ-SIEMENS」ではなく、「BenQ」にするとの方針を明らかにしている。また、アジア本部は台湾に置かれるという。なお、買収には、明基電通の株主及び関連する管理部門の承認が必要なため、完全な買収作業完了は9月になる見込み。

「聯想と IBM、TCL とアルカテルなど、参考になる事例はあったが、特に買収に関する研究を重ねたわけではない」と言う李・CEO。「過去にとらわれずに、最適なモデルを追及して突き進んでいくのみ。Siemens の確かな技術と、BenQ という華人ブランドをもってすれば、早い時期に世界的ブランドへと成長することができる」と自信を隠さない。今後の舵取りに注目が集まる。

(執筆:サーチナ・齋藤浩一)

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