5年来の大寒波にみまわれる中国スピーカー業界中国のスピーカー業界が苦境に立たされている。中国電子音響工業協会は、2005年の中国スピーカー産業について、「供給過多とコア技術の欠如が市場の発展を阻んでいる」と総括。中国大陸内の販売が振るわないうえ、輸出品の利益率も低下する一方だ。英スピーカー大手の MISTRAL や Be One が相次いで中国市場から撤退したこともその裏づけとなろう。中国のスピーカー業界はここ5年で最も寒い冬を迎えている。
要因の一つとして考えられるのは、スピーカー市場を支えてきたホームシアターの売れ行きが冴えないことだ。ホームシアター製品の販売は2004年頃から冷え込み、2005年はさらに前年比30%減少した。総生産台数でみても初めて500万台を割り込むなど、回復の兆しがみえない状況が続いている。一方、車載スピーカーや MP3、MP4の売り上げは順調に伸び、特に車載スピーカーの売上高は前年比20%増の50億元に達した。 スピーカーの売れ行きに大きな影響をもたらす製品の一つは DVD プレーヤーだ。中国は言わずと知れた DVD プレーヤーの生産大国で、世界で流通する DVD プレーヤーの約80%が中国製だといわれる。しかし、高額な特許料の支払いが企業の経営を圧迫し、生産コストは増加する一方。その結果、2005年における DVD プレーヤーの輸出台数は10%も落ち込み、輸出品の平均価格は30ドルも低下。涙ほどの利益しか上げられない企業もあれば、赤字経営に陥るメーカーも出てきた。中国国内市場をみても、登場から約10年が過ぎたことで一般家庭への普及はすでに一段落したと思われ、低価格化と相俟って厳しい状況が続いている。 2006年は DVD プレーヤーの生産台数が1億台を越える可能性もあるが、それでも輸出品を取り巻く環境は短期的には変わらないだろう。供給過多やコア技術の欠如といった問題が根本的に解決されなければ、状況が好転する可能性は低いと言わざるを得ない。 スピーカーはハイテク技術を駆使する製品だが、生産工程は決して複雑ではない。そのため、技術力や資本力が高くなくても参入できるという状況が生まれ、中国では数千社に上るといわれるほどの小企業が乱立してしまった。組み立てや専用部品を扱う企業だけでも2,000社あるというから、全体的な規模は計り知れない。 メーカーが爆発的に増えたこともあり、生産能力という点でみれば中国は比較的早い時期に世界一になっていた。しかしコア技術の欠如という問題が深刻であるにも関わらず、これまで特に改善が図られることはなかった。それが結果として巨額の特許使用料を支払う義務を負うことにつながり、他国の技術特許に支配されるという今の苦境を生んだのである。 差別化意識が低いのはスピーカー業界に限ったことではないが、今後はコア技術の開発及び知的財産権を有する技術の活用を通じたブランディングがいっそう求められる。そうでなければ、単純な価格競争という悪循環から逃れることはできない。各企業がどのような企業戦略を打ち出してブランディングを強化していくかに、中国スピーカー産業の将来がかかっている。 (執筆:サーチナ・齋藤浩一) 関連記事 最新トップニュース
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