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Webマーケティング2006年3月9日 10:00

第五回 「音楽ファンが熱中するコミュニティ事例 その1」

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音楽ファンをコアユーザーとしている SNS は比較的多い。中でも有名なのは MySpace だろう。このコラムでは、数回にわたり MySpace をはじめいくつかの音楽系 SNS を取り上げ、そのエッセンスを紹介したい。


■世界最大の SNS コミュニティ「MySpace」

2004年1月に正式スタートした MySpace は、わずか半年で FriendSter を上回り、世界最大の SNS コミュニティとなった。ニールセン・ネットレイティング社の調査では、MySpace 利用者数は昨年12月で会員数が2,870万。さらに現在は5,400万人に達している。またメディア・メトリックス社の調査によると、情報伝送量で Yahoo、AOL、Microsoft に次ぎ世界第4位となっている。(ちなみに google は6位)

MySpace は招待制ではなく、誰でもプロフィールを登録することで参加できる。さらに閲覧は非会員でも可能なオープン型の SNS だ。そのため、韓国の実名 SNS コミュニティ CyWorld などとは異なり、必ずしも会員数イコール参加者数とは言えないが、今も毎週100万人を超える新規登録がある。現在ではオールマイティの総合コミュニティとして Yahoo をしのぐポータルサイトを目指しているが、急激な成長のドライバーになったのは音楽ファンの取り込みである。


■音楽ファンが熱中する仕組み

このサイトで最もユニークなのは Musicians として登録すると MP3音源を4曲まで公開できるようになる事。つまりコミュニティがユーザーとミュージシャンという需給関係のあるマーケットになっている点である。この仕組みを最も歓迎したのはインディ・シーンで活動するバンドであった。自作曲の公開をはじめ、ライブ情報の提供やファン・コミュニケーションなど、従来メジャー・アーティストにしか許されていなかった活躍シーンが突然ネット上に登場したことの意義は極めて大きい。このインセンティブにより、インディーズとそのファン層がコア・ユーザーとしてこのコミュニティを一気にドライブさせた。

MySpace では、ユーザーが Musicians の提供した曲やビデオを検索し、マイページに挿入できる。(サイト内蔵の FLASH プレイヤーによりダウンロードの必要なくワンクリックで挿入が完了する) 最近ではアルバムの先行視聴を行った R.E.M. などメジャー系の利用も目立っている。宇多田ヒカルや浜崎あゆみをはじめ日本アーティストも数多く登録されており、音楽系のメディアとして広く認知されていることがわかる。

何より大切なことはファンとつながること。街中やライブに限定されていたコミュニケーション環境をネット上に見出したインディーズとそのファンの熱狂が、このサイトを一気にメジャーにしたと言ってよいだろう。Yahoo News "A Way to Connect with My Fans" の記事で、ミュージシャン Billy Corgan がいかに MySpace を活用しているかが紹介されている。MySpace 内にホームページを持つ彼は、3,600人を超えるダイレクトなファン・ネットワークを持ち、日々1時間以上を費やしてファンとの交流を行っている。彼はインタビューで、MySapce が音楽ビジネスに新しいパラダイムをもたらしたと答えている。


■収入源は広告、今後の方向性

SNS コミュニティの基本収入源は多彩である。韓国 SNS はデジタルコンテンツ(アバター、ゲーム等)、LinkedIn などのビジネス・マッチング系 SNS は一部機能の有料化、Mixi は求人系広告と、サイトの特長により異なっているが、MySpace は一般広告を収益基盤としている。アクセスすると出会い系サイトなどの広告が頻繁に露出しており、慣れていないユーザーには違和感を感じさせる。

MySpace は、2005年7月、メディア王マードックが率いる News Corp. に5億8,000万ドルで買収された。マードックは、メディア投資家向けコンファレンスで MySpace の強化にふれ、ビデオに続き、インスタントメッセージングやインターネット電話を提供し、Yahoo や Google、MSN をしのぐポータルサイトに成長させると宣言した。特に強みとなるのは、若年層へのリーチと滞在時間の長さである。逆に Yahoo は Yahoo 360°をオープンし、MySpace への対抗色を鮮明にしている。今後、ポータルの中核サービスとして、SNS コミュニティの覇権争いを予感させる動きと言えよう。


■音楽ファン・コミュニティに学ぶ SNS のツボ(まとめ)

1. インディーズとそのファンに対して、最高のコミュニケーション環境を提供したこと。このインセンティブがドライバーとなり、SNS 立ち上げで最も重要なコア・ユーザーの誘因に成功した。
2. 彼らの交流のために有効なコミュニケーション手段を継続して提供し、多くの音楽ファンが会員登録することになった。
3. 音楽ファンのメジャーメディアとして認知され、メジャー系アーティストも積極的に参加をはじめた。このことは後発 SNS にとって参入障壁となると予想される。
4. 音楽ファンに対して、多角的なコミュニケーションを促進し、総合的なコミュニティ・ポータルとして進化を遂げた。

このコラムでは MySpace の音楽系機能にフォーカスしたが、その他にも注目すべき極めの細かい機能が提供されている。例えば RANK というページに入ると評価を希望するユーザーの写真が出てくる。それを10段階(Cold - Hot)で評価するシステムで、人気上位者には見目麗しい女性や男性が並び、コンタクトを促進させる仕組みになっている。このように音楽以外でもユーザーを飽きさせず長時間滞在させるインセンティブを数多く提供していることがこのサイトの本質的な強みと言える。

【当コラム執筆は、代表である斉藤と CTO である通称 KOSBY が担当しています】



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