TCL 集団総裁:グリーン上で「国際化失敗説」を一蹴経営破綻したドイツの名門シュナイダー・エレクトロニクスの資産を820万ユーロ(約10億円)で買収した2002年以来、中国籍のグローバル企業として TCL 集団(本社・広東省)の名は世界的に知られるようになった。とくに欧州では、シュナイダー買収「事件」後ただちにオランダの老舗フィリップスと資本関係を結んだこともあって、TCL の名は広く知れ渡っている。
その TCL は2005年、中国国内を含む全世界でカラーテレビを2,200万台も販売した(むろん世界一の販売台数だ)。その結果、海外での売上げ高が初めてグループ全体の売上げの50%を上回り、表面的にはグローバル企業の名に恥じない数字となった。 ところが2005年の TCL の業績は惨憺たるものだった。第3四半期(7〜9月)までのグループ全体の売上げ高は前年同期比41.6%増の365億3,000万元(約5,300億円)となったにも関わらず、家電大手の仏トムソンや通信機器大手の仏アルカテルとの合弁事業が所期の成果をもたらさなかったために、TCL としては前例のない11億3,900万元(約166億円)の大赤字に陥ったのである。第4四半期こそ赤字は回避できたもようだが、積極的に打って出た海外事業戦略が経営の足を引っ張った格好だ。そのため内外の業界関係者の間では、国際化路線失敗説や TCL 危機説がまことしやかに囁かれることとなった。 そんな TCL 集団を率いる李東生・董事長兼総裁が全人代閉幕直後の3月15日、海南島の亜龍湾ゴルフコースのグリーン上に姿を現した。実は李東生氏は TCL 総裁であると同時に、国会議員に相当する全人代代表のひとりでもある。さしずめ民族資本家代表といったところだが、このたびの人代ではそんな自身の立場にふさわしく、「政府は企業の『走出去』を奨励しているが、それをサポートする政策はまだまだ不十分だ。税制面のインセンティブを用意するなど、グローバル企業育成のための具体的な措置をもっと採るべきだ」と政府に迫ったりもした。 全人代閉幕と同時にかれが海南島に向かったのは自ら主催する「TCL クラシック」でオープニングショットを打つためだったが、その日の午後、夫人とともにメディアの取材を受けた彼はこう語って、いわゆる「国際化失敗説」を一蹴した。 「たしかに2005年は TCL の歴史上もっとも困難な1年だったが、苦境はなんとか乗り切ることができた。しかしこの苦難は、TCL が真のグローバル企業に成長するための代償だった。今年は陣容を整えて昨年の損失を取り戻し、なんとしてもグローバル化を成功させるつもりだ」 李東生のゴルフは「攻め」のゴルフだ。強気一辺倒の彼のプレーは、ときには海外の一流プロゴルファーを唸らせることもあるという。そういえば、彼が TCL を中国有数の大企業集団に育て上げた経営手法も、やはり「攻め」が基本スタイルだった。 ということは、巨額の代償を払い終えた TCL の今後の業績には「攻め」の成果が現れてくるのだろうか。民族資本家代表は自信満々だが、はたしてそううまくいくのだろうか。いずれにしても、今後しばらく李東生の打つボールの行方に眼をこらしたい。 (執筆:サーチナ・齋藤浩一) 関連記事 最新トップニュース
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