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Webマーケティング2006年4月7日 13:50

WAA 代表 Jim Sterne 氏、「Google Analytics」で Web 解析全体の底上げも

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株式会社デジタルフォレストの主催で3月27・28日に開催された、Web マーケティング分析のイベント「Web マーケティング ROI Day」。講師として来日した米国 Web Analytics Association 代表の Jim Sterne 氏に、Web 解析の重要性や同サービスの現状などを伺った。

Jim Sterne 氏はインターネットマーケティング戦略のコンサルタント。Web 解析に関する情報共有と Web 解析業界の成長促進を目的とした非営利団体「Web Analytics Association」(WAA)を2005年に設立、Web 解析の啓蒙活動を行っている。WAA は設立から1年が経過し、会員数は750名、法人会員の数は27。ほとんどが欧米の企業で、アジアからは唯一デジタルフォレストが参加している。

また同氏は、Web 解析に関わるさまざまなリーダーが年に1回集まり、情報交換を行っている「Emetrics サミット」のプロデューサーも勤めるなど、Web マーケティング業界をリードする人物だ。

Web 解析によって、Web ページはプロセスに
Sterne 氏はWeb サイトのこれまでの歴史を「まず米国でパンフレットが貼り付けられたような静的なページが生まれ、次の段階としてインタラクティブな情報に変わり、そこでユーザーは情報を検索したりできるようになった」と振り返る。

そして次の段階が「パーソナル化」。同氏によれば、パーソナル化とは「ある Web サイトを訪問したユーザーが個人情報をそのサイトに対して明らかにした場合、サイトのほうがその個人に対して見せる情報を変えていくということ」。Amazon に代表されるショッピングサイトが顕著な例だ。

そしてパーソナル化したサイトは Web 解析を用いることで最適化を図ることができる。「物を売る場合には、売り手としてはサイトをただのページの積み重ねをして捉えるのではなく、一つのプロセスとして捉えて最適化する必要がある」と同氏。

「サイト全体を、訪問したユーザーが通っていくであろうプロセスとして示していかなければならないが、サイト運営側ではそのプロセスをいかに改善するか、最適化するかを考えていくべきだ」(Sterne 氏)

ユーザーの Web 体験をより快適なものとする――これこそが Web 解析の最終的な目的である。同氏は「例えばある一定のプロセスをユーザーがどのように動いているか、それを考慮してサイトを微調整した上で改善することで、Web 解析の目的を果たすことができる」と語る。

SEM に欠かせない Web 解析
Sterne 氏が Web 解析普及のきっかけと見ているのが、今アメリカで非常に注目を浴びている SEM(Search Engine Marketing)だ。利用者の数も、広告の購買量も増加しており、SEM の成長のペースは誰もが予想し得なかったようなハイペースで伸びているという。

「広告を出す目的というのは、広告を見た人々がそれに反応することだ。何らかの広告に基づいて、ユーザーは Web サイトを訪問するなどの行為を行う。そのため、サイト自身がきちんと機能しないとオンライン広告にかけた費用のすべてが無駄になってしまう」(同氏)

このようなことから SEM を機に Web 解析に乗り出す企業が増えているそうだ。SEM であればレスポンスが直接すぐにわかる。特定のキーワードに基づいて購買行動が行われたか、行われてないか、それがはっきりと見えるからだ。

Sterne 氏はまた、Google の検索連動型広告が成功を収めている理由は二つのタイプの顧客にあるという。そのうちの一つは月に200ドルくらいのキーワードを買って、運用している中小企業だ。「購入したキーワードがどういった意味を持つかわかっていないが、月々200ドルは継続して払い続ける。このような企業が何千にも及ぶ結果、グーグルとしては大きな収入源になる」と Sterne 氏。

もう一つのタイプは何千というキーワードを買って、何百万ドルという多額のお金をつぎ込んでいるが、トラッキングは行っていない企業だ。同氏によれば、そういった大企業がもう一つの顧客層として存在しているという。

こういったことから Web 解析の重要性というものがより理解される必要がある。

また、同氏が SEM について今もっとも興味深いとしていることは、現在の市場の関心事を特定する機能。ユーザーのクリックによって、市場が何に一番関心を持っているかがわかる。言い方を変えればそれは一種のマーケット調査であり、「これまでなかったようなまったく新しいタイプの市場調査の役割を果たしている」(Sterne 氏)。

Google Analytics で全体の底上げも
ところで昨年 Web 解析業界に大きな衝撃を与えたのが、Google の無料 Web 解析ツール「Google Analytics」だ。

これについて同氏は「Google Analytics はかなり賢いツール。Web 解析を使って、一つのキーワードから、ページ訪問、販売にいたるまで一通り分析してみたが、結果としてGoogle(の検索広告)にお金を払えば一定の効果をあげることがわかった」と評価する。

一方で同氏は Web 解析のツールを100点満点で換算、「ログを分析したり、Web サイトについて分析できる基本的な無料ツールは15点から20点」とし、さらに「その上の段階にある、まずまずの機能と価格を持つものが20点から50点」とした上で、Google Analytics を50点と評価した。

「キーワードのテストのために使うなら Google Analytics は十分な機能を提供してくれるし、しかも無料だ。この20点から50点に入るツールを提供する企業には問題だろう」

だが、Google Analytics がすべてを提供してくれるわけではない。「すぐに気がつくのは、実際に自分がやらなければいけないことの半分までしか到達することができないということだ。そうするともっと価格の高い、洗練された賢いツールを探す必要がある」と同氏。

「このツールを使うとすぐにいろいろなレポートが出力されるが、それをさらに分析していくためには、よりプロフェッショナルなサービス能力が必要になってくる。しかし、Google はそういったサービスを提供できるような組織にはなっていない。ユーザーが増えて、Google Analytics では不十分だということが認識されるようになると、もっとインパクトが出てくる」

こういったことは Web 解析業界にとってはプラスになると同氏は見ており、「潮が満ちてくれば、すべてのボートも上昇する」という表現で、Google Analytics によって Web 解析全体の底上げが起こるだろうと指摘した。

「Google が無料で Web 解析ツールを広める活動を行うと、ユーザーの理解が深まり、多くの人々が使うようになってくる。そうなれば業界としても恩恵をこうむることになる」

Sterne 氏が50点以上とするトップツールは、米国では Omniture、Coremetrics、WebTrends、WebSideStory などがあり、日本では Visonalist がある。これらのツールを提供する企業にはむしろ追い風となるだろうというのが同氏の見解だ。

ちなみに、大規模サイト向け Web 解析「Visionalist」を提供するデジタルフォレスト CEO 猪塚氏も「当然 Google Analytics が出た当初はどうなるかと思ったが、売り上げは落ちなかった。リリースからまだ半年程度だが、現在のところプラスもマイナスも影響はない」と語る。

Web 解析の未来は?
Web 解析の今後について Sterne 氏は、「企業が Web 解析をもっと上手に使えるようになってくると、さまざまな意思決定を Web 解析とともに行い、全体のプロセスの最適化を図っていくようになる。その結果、消費者のトレンドを的確に認知することができるようになり、加えて、CRM に関する情報や市場調査の結果といった Web 以外の分析情報をすべて組み合わせていくことで、さらなるマジックが生まれるだろう」と語る。

さらに、米国では Web 解析の企業の吸収合併が進んでいるが、例えばそのような企業が Web コンテンツマーケティング、Eメールマーケティングの会社を買収して、マーケティングを自動化するような会社を新たに作り上げていく動きも見られるだろうという。


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