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2006年5月23日 09:00

中国聯通が1,000人を動員し農村に通信インフラ

2006〜2010年を対象期間としだ第11次5カ年規画(「十一五」)の最重要課題にも取り上げられた「三農」。いわゆる農業や農村の振興、農民の収入増や生活の質的向上を目指すものだが、その中でも深刻化しているのが情報格差(デジタルデバイド)だ。

四川省――日本の国土面積より大きな省域に人口1億人近くを抱える中国でも有数の大行政区である。その農村人口は全人口の76%を占める6,600万人。中国聯通ではこの6,600万人をターゲットに、2003年にいわゆる「天府農業情報網」計画を立ち上げた。中央政府が「三農」を国策と位置づけたのは2004年とされるから、政策に先んじて計画を始動させたことになる。ちなみに「天府」は四川省の美称。

四川省共産党委員会と省政府の大々的なバックアップを背景に、この計画は自社のすべてのリソースを投入する大規模なものとなっている。それらは主に四川聯通(四川ユニコム)のものではあるが、携帯電話ネットワーク、デジタル・インターネットネットワーク、SMS(ショート・メッセージ・サービス)、ページャーサービスだけでなく、同社の強みである最先端の CDMA 1X ネットワークまでも投入したものだった。

その具体的な内容が中国らしい。省域に1,000カ所もの情報ステーションを設置し、そこに人員を1人ずつ配備する。これだけでも中国聯通は1,000人のスタッフをこの計画に投入していることになる。これとは別にこの計画の中枢となるインターネットサイトを構築し、サイト情報をアップデートできる権利をこのスタッフ1,000人に付与して、情報更新の頻度を確保する。

さらに1,000人のスタッフは、自分で入手した情報やサイト上にある情報を SMS を通じて自身が所属する地域のユーザーに向けて発信することができ、中国聯通の携帯電話ユーザーは、その地域内であればこれらすべての情報を受け取ることになる。情報の発信と受信両方を行うことで、農民にとって大きな課題だった情報収集の難しさという問題を解決し、ほぼ強制的にデジタルデバイドを解消しようとする試みだ。

多少乱暴な気もするが、発信される情報には農産物の価格や需給状況、農業に関する技術、労務、その他一般的な政治・経済ニュースなど実用的なものも含まれている。

この計画では、2005年末までに3億件ものショート・メッセージを発信することになっていた。直接のユーザーは80万人。意外に少ない数字だが、農村部における携帯電話所有者がもともと少ないこと(その中でも中国聯通ユーザーに限られること)、あるいは携帯電話サービスそのものが行き届いている地域が限定されていることを考えると妥当ともいえる。

農村人口6,600万人のごく一部とはいえ、1件の情報がユーザー本人の周囲にも恩恵を与えているとして、中国聯通ではその波及効果を「数百万人」と見込んでいる。また、直接ユーザー数は急速に増えており、同社の統計速報値によれば、年間3〜4倍の勢いで増加している。この「天府農業情報網」計画を雛形として、考え方そのものはすでに四川省以外の地域でも応用されている。2006年末にはその類似サービスの直接ユーザー数は500万に達するもようだ。

この試みが功を奏して、2005年には国に認められるところとなった。国家発展・改革委員会(発改委)は、四川聯通を対象にして「天府農業情報網」計画を国家電子商務プロジェクトの一つに組み込んだ。それにあわせて中央政府から支給された補助金は750万元。日本円にして1億1,000万円強であり、規模としては大きなものとはいえない。それでも、中国の国策である「三農」問題とも絡む通信サービスが国から認められたことは、通信キャリアとしては実益も兼ねた大きな勲章となりそうだ。

(執筆:サーチナ・齋藤浩一)

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