海爾(ハイアール)幹部が語る企業カルチャー急成長を遂げたことで知られる中国の家電大手「海爾(ハイアール)集団」の母体は弱小の一国営企業で、かつては借金で従業員の賃金を賄うようなこともあった。しかしそんな弱小メーカーはわずか21年間のうちに、世界トップ500入りも夢ではない年間売上げ高1,039億元(約1兆4,900億円)の大企業にまで成長した。この間、売上げ高は平均年率63%で伸びてきたことになる。
輸出も順調に推移しており、2005年のハイアールブランド製品の輸出額は前年比40%増となる28億ドルに達した。2006年の「中国電子情報企業トップ100(電子信息百強企業)」では首位の座を聯想(レノボ)に明け渡したとはいえ、中国の産業界における存在感はいささかも揺らいではいない。 そんなハイアールの成長力の源泉はいったいどこにあるのだろうか。このたび北京で行われた上記「トップ100」の表彰式で、その答えを見つけることができた。ハイアールの武克松・董事局副主席が表彰式の場で、同社の理念の一端を語ったのである。 「企業ブランドを創出するには、ブランド精神が必要だ。ブランド精神とは何か。企業の魂にほかならない。ではハイアールの魂とは何かと問われれば、『顧客ニーズに応える』の一言に尽きるだろう。ハイアールはこの21年の間、まずは海外からの技術導入を図り、次いで国産化率を高めて製品輸出を拡大し、海外生産に乗り出してきたが、それもこれも『顧客ニーズに応える』ためだ。我々がこれまで導入技術の咀嚼(そしゃく)とイノベーションのために莫大な資金を投下してきたのも、すべてそのためだったといっていいだろう」 武克松氏はまた、ハイアールの企業カルチャーを表す言葉として「人単合一」を挙げた。「人」は人材、「単」は中国語で顧客からのオーダー(注文)を意味する「訂単(ディンタン)」のこと。つまり「人単合一」とは、「人材」と実際の「オーダー」を結合させることにほかならない。 ハイアールの人材は市場からオーダーを直接吸い上げる能力をもっていなければならない、しかし同時に、真に有用な人材はオーダーを獲得することで育つ、ということであるという。こうした企業カルチャーが浸透しているからこそ、最短スピードで「顧客ニーズに応える」ことができるし、さらに新たなニーズを自ら作り出すこともできるというわけだ。 中国国内でハイアールは、「走出去」の尖兵とみなされているが、同社の「走出去」は現在も進化している。その現れが、全世界の10カ所に設置された拠点だ。 しかし10か所すべてが必ずしも理想的な基地として機能しているわけではない、という声も聞かれる。たしかに、10か所のうちには研究センターもあればデザインセンターもある、また製造拠点があればマーケティングセンターもあるという状況で、そこに統一的戦略を読み取るのは難しい。それでもハイアールは、これらの海外拠点をベースに真の「全球化(グローバル化)」を目指すという。 はたしてハイアールは、世界の「顧客ニーズに応える」ために「人単合一」を実現できるのだろうか。ハイアールの成長神話がただの神話で終わるかどうか、その企業カルチャーの真価が問われるのは、むしろこれからだ。 (執筆:サーチナ・齋藤浩一) 関連記事 最新トップニュース
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