BtoB のプル型マーケティングはマタギに学べ!■ 「問題」がなければ「解決」はできない
「営業をプル型にしたい」最近さまざまな企業の経営者やマネージャーからよく耳にする言葉である。 飛び込み営業で一日数十件を訪問する、あるいは地域ごとに割り振った電話番号リストを渡してテレアポの電話を掛けまくる、こうした営業スタイルはプッシュ型と呼ばれている。顧客に対しても、とにかく数多く訪問することを義務付ける。この結果、片道1時間かけて顧客を訪問し、30分商談するが、大半はゴルフや天気などの話で、ビジネスの話を5分程度して、また1時間掛けて戻ってくる、という非効率を毎日繰り返している。もちろん、これも立派な仕事だし、訪問している本人はしっかり疲れる。しかし、ニーズがない時にどんなに訪問しても案件にはならないし、何よりこれは訪問される側にとっても貴重な時間の無駄なのだ。 今は BtoB(法人営業)の多くが、自社の製品やサービスを「ソリューション」として付加価値を付けて売っている。ソリューションとは文字通り「問題解決」だ。しかし、そもそも問題が存在しない会社を訪問して、何を解決すればよいのだろう? ニーズがない時の訪問は、時に企業のイメージをダウンさせ、営業を消耗させてしまう結果を招く。だからこそ多くの経営者や事業部長が、この無駄を何とかしたい、と真剣に考えはじめたのだ。 ■ BtoB でのプル型とは? では BtoB(法人営業)でプル型への移行とはどんなことを指すのだろう? 例えば、ある村に男が30人いたとする。今までは毎朝30人がそれぞれ肩に鉄砲を担いで思い思いの山に出かけていった。ある時は数人がシカやイノシシを仕留めて戻ってきて、その晩は村中でそれを分け、楽しい夕餉が始まる。またある時は全員が手ぶらで帰ってくる。村人はちょっとがっかりし、「明日があるさ」と陽気につぶやく。そして翌日はまた誰かが獲物を担いで誇らしげに帰ってくるのだ。これが日本で数十年繰り返されてきた「足と汗と勘と度胸」のプッシュ型の営業スタイルだ。 この営業スタイルが成立する要件がふたつある。ひとつは村の周囲の山や川に潤沢に獲物がいること。ふたつめは村の周囲の山に他の村の猟師が入ってこないこと、である。 残念ながら、今はこのふたつの要件が完全に崩れてしまっている。周囲の山には昔ほど潤沢に獲物がいないし、いても昔よりはるかに賢く手強くなっている。しかも村の周囲の山には、近隣の村どころか海を越えて青い目の猟師が見たこともない高性能な鉄砲を持ってやってきている。つまり「環境条件」が大きく変ってしまったのだ。 ■ これがプル型への変革法 私はこのプッシュ型の営業スタイルを、顧客・見込み客データベースとインターネットの力を借りて「プル型」、つまりマタギ型に変えるコンサルティングを行ってきた。「マタギ」とは、日本の山岳地帯で伝統の狩猟法を伝えながら、集団でクマやシカなどの猟をする人々のことで、今でも秋田県や新潟県に実在する。 そのマタギ型の営業スタイルとはこういうことだ。今までのように毎朝村の男全員が鉄砲を担いで山に入ることはもうしない。そのかわり、最も射撃のうまい5人を選び出し、それぞれを決まった場所に配置する。そして残りの男は鉄砲ではなく鍋や太鼓を持って勢子(せこ:獲物を追い込む役目)になってもらう。そして獲物を5人の射撃手の前に追い込むのだ。射撃手はベストポジションで待っているし、獲物が追い込まれてくる方向も事前にわかるから、目の前に現れた獲物を確実に仕留めることができ、無駄がない。 ■ Web&Mail は理想的な追い込み役 鉄砲を構えて待っているベテランの猟師の目の前に獲物を追い込む勢子の中で最も広範囲を担当でき、かつコストが掛からない理想的な勢子は Web&Mail である。例外もあるが BtoB の新規営業では、Web だけでクロージング(受注)までもっていくのは難しい。ある段階から商品知識と経験を持ったプロが出て行かないと、ユーザーは安心して発注することができないからだ。ユーザーが安心するだけの知識や経験を持っている営業、それが村で最も射撃のうまい猟師にたとえられる存在だ。間違ってもこの人たちを勢子にしてはいけない。そして勢子の役割ならば人間よりもデータベースと Web&Mail の方がはるかにうまくそして安くやる。 勢子には射撃の腕も命中率の高い鉄砲もいらない。獲物を追い込むための太鼓や鍋があればいいのだ。だからデータベース上で Web から人間への連携プレイを実現できた企業は、プル型への移行を実現できている。 バラバラに実行されていた展示会、セミナー、ネット広告、PR、メルマガ、営業の名刺データ管理などは言ってみれば勢子なのだ。それらをマーケティングというプラットホームの上で再構築し、鉄砲を構えて待っている猟師、すなわち経験を積んだ営業や販売代理店の営業の前まで追い込む構造を作る。それがプル型への確実で最短の道だと私は考えている。 関連記事 最新トップニュース
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