Webマーケティング 2006年9月20日 09:00

6か月で効果を上げる BtoB のブランド構築

著者: 庭山 一郎
2006年9月20日 09:00 付の記事
□国内internet.com発の記事

■ BtoB での3つのブランドと売上げの関係

Web を活用したマーケティングにおいても、「ブランド」は極めて重要な要素である。しかし、BtoB のデータベースマーケティングという特異なポジションから見れば、ブランドの意味は少し違って見えてくる。

私の会社では、セミナーやイベント集客、そしてオンラインキャンペーンなどの成功を決める要素として「ブランド」を3つに分けて考えている。「企業ブランド」と「製品ブランド」と「ソリューションブランド」である。

これらのブランドを見るときに注意しなければならないのは、「誰から見て」という視点である。BtoB の場合、ターゲット以外から見たブランドはほとんど意識する意味がない。「案件化」にも「売上げ」にも貢献しないからだ。「売上げ」に貢献するのは、あくまでも「ターゲットに好意的に認知された場合」のみである。

■ 各ブランドの特徴とバランス

例えば、IBM のように大手企業の情報システム部門に高いブランド力を持っている企業が、知名度のまだ低いソフトウェア製品に関するセミナーを開催しても参加者を集めることはできる。これはターゲットに対する「企業ブランド」が効いているお陰である。

また、あまり知名度のない企業が、グローバル化を進める製造業を対象に「世界中に分散する生産拠点のリソース情報を統合管理する手法」と銘打って R/3(SAP 社)のセミナーを開催した場合も参加者を集めることはできる。この場合はターゲットに対する「製品ブランド」が効いているのだ。

しかし、BtoB の受注プロセスにはもうひとつあまり知られていない大きな要素が存在する。私の会社で「ソリューションブランド」と呼んでいるものが、「問い合わせ」や「参加申し込み」と非常に大きな因果関係を持っていることが判ってきている。この「ソリューションブランド」が弱いと他のブランドが高くても Web やセミナーへの集客がうまくいかないという現象が起こる。

■ 最も重要なのは「ソリューションブランド」

「ソリューション」とは文字通り「問題解決」という意味である。その会社や製品がどういう問題を解決してくれるのか、どういう問題を解決することが「得意」なのか、というブランドである。

「企業ブランド」が高く、「ソリューションブランド」が低い企業は、「よく名前は聞くがいったい何をしている会社なのだろう」「あの会社は何が得意でどんな時に助けてくれるかわからない」となり、その結果「何を相談していいのかもわからない」から資料請求も問い合わせもないし、セミナーを開催しても人が集まらない、という悪循環に陥ってしまう。

今まで企業ブランドにばかり投資してきた企業は特にこの傾向が強い。多くの場合「ソリューションブランド」にはまったく手付かずである。企業ブランドを担当するのは通常、広報部門である。この部門は新卒や中途の採用や、投資家のための IR までを視野に入れなければならないセクションで、しかも製品ラインやサービスラインがどんどん広がったために、「快適なビジネス環境をサポートする」などという抽象的なメッセージを出し続けざるを得なかった。これは当然である。

その結果、ユーザー以外の人からは「あの会社はいったい何が得意なのか?」「わが社のどんな問題を解決してくれるのか?」がわからなくなってしまっているし、ユーザーから見ても、日頃利用しているサービスや製品のことは知っているが、その企業の最も得意な技は実はよく知らない、というケースが多い。

問題を解決するのが「ソリューション」であり、「製品やサービス」はあくまでこの問題を解決するためのツール(道具)である。だから「ソリューションブランド」が低いまま放置しておくと製品への問い合わせも向上しない。

■ 6か月後の効果を目指して

では「企業ブランド」も「製品ブランド」もあるが、「ソリューションブランド」が低い企業はどうしたらいいのだろうか?

答えは簡単だ。今まで「企業ブランド」や「製品ブランド」に分散させていたリソースを「ソリューションブランド」に集中すればよい。メッセージやチャネルを変えるのだ。不足しているものが見つかったのだから、それを補えばいいだけの話である。

効果測定のバロメーターはセミナーの集客や Web からの資料請求だろう。さらにそれらを追跡して営業案件になったパーセントを定点観測(ベンチマーク)してもよいし、四半期ごとに受注への貢献度の推移を見てもよいだろう。

この「ソリューションブランド」を効率良く上げることはデータベースマーケティングの最も得意とするところである。ターゲットを特定して、「何が得意技か」「それがどんな場面で役に立っているか」「どんな企業がどういう理由で採用しているか」などを広報誌、メルマガ、Web、ダイレクトメールなどのチャネルで、ダイレクトかつ継続的にメッセージを送り、「ソリューションブランド」を強化していく仕組みを作ることができる。

ただし、こうした仕組みを作ってもそれが効果を上げるまでに早くて6か月、あるいは1年掛かる。だからできるだけ早く周囲を説得して仕組み作りをスタートしなければならない。

特に「企業ブランド」や「製品ブランド」がすでにある程度構築できている企業の場合、「ソリューションブランド」を構築するのは他のブランドを梃子(レバレッジ)に使うことができるだけに、決して難しくないし時間も掛からないのだから。

記事提供:シンフォニーマーケティング株式会社 マーケティングキャンパス




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