Webマーケティング2007年8月7日 09:00
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第五十七回 「コントロール&コラボレーション Enterprise 2.0の機運」

この記事のURLhttp://japan.internet.com/wmnews/20070807/6.html
著者:斉藤 徹・大迫 正治
国内internet.com発の記事
SNS や Blog、Wiki などのユーザー参加型サービスは、広くコンシューマ一般を対象とした分野においてある程度の成功を収めた。その後、Web サービスは対象ユーザーやテーマ、テクノロジーをより細かくセグメント化し、特化型コミュニティを構築することで、新たな地平を切り拓いている。

企業内にユーザー参加型の仕組み、Web 2.0の仕組みを取り入れることは、そうした試みの一つであると言える。Enterprise 2.0と呼ばれるこの潮流は、企業内システムの Web 化とマッシュアップによる情報集約の仕組みを核として、ナレッジマネジメント、プロジェクトマネジメント、コミュニケーション円滑化など多くの分野において、「個」が持つパワーを最大限に引き出し、実践的な集合知を作るというものだ。

本コラムでは今後数回に亘り、この Enterprise 2.0と呼ばれる潮流にスポットを当て、企業の具体的な取り組みに着目しながら、企業が集合知を活用するための方策について考えてゆく。

Enterprise 2.0の勃興期において、従来のグループウェアやナレッジマネジメントソフトウェアを代替するために提案されたものとして、企業内 Blog と企業内 SNS が挙げられる。これらは「個」による情報発信を可能にし、Enterprise 2.0の本格的な導入へと続く橋頭堡として、Web 2.0に敏感な企業の関心を惹き付けたという点で有意義だった。しかし、雑多な情報を整理して必要なものを選び出す仕組みや、公私混同を回避する仕組み、そしてピラミッド型組織の実態に耐用できる仕組みが必ずしも十分とは言えなかった。

企業の世界には、消費者の世界と異なって、「ガバナンス」「統制」「コントロール」「指揮系統」といった管理的要素がある。個々の社員が発信した情報をどのように集合知として活かすか、という問題とは別に、階層構造のあるピラミッド型組織に特有の、権限分配や情報アクセス制御の問題が常に存在するのである。まだ、巨大な組織ほど、その社員が持つ集合知の潜在的な力は大きいが、同時に上場企業は日本版 SOX 法の一連の規制に対応することを求められ、より一層の内部統制の強化を要請される。

Enterprise 2.0と呼ばれる取り組みの中には、ユーザー参加の仕組み、コラボレーションの仕組みにスポットを当てるあまり、従来の組織体系と矛盾するシステムを提案してしまうことも珍しくない。

例えば、オープンな企業風土は社員同士の化学反応を起こし、イノベーションの源泉となるが、多くの企業には、高度に戦略的な経営情報や、人事情報、競争力の源泉となる知的財産情報など、不用意に共有されるべきではない情報も存在しているだろう。また、一人ひとりが同じ立場で参加するフラットなコンシューマの世界とは異なり、企業の社員は役職に応じて質的に異なる情報にアクセスすることが普通だ。また、コミュニケーションを例に挙げても、ひっきりなしに社員の雑多な意見が PC 画面を埋め尽くすようであれば、業務に支障をきたすことも明らかだろう。

こうした状況の中で Enterprise 2.0が目指すべきものは、コントロール(統制)とコラボレーション(協働)の両立である。次回からは、フォークソノミーを利用した文書管理や、透明性の高いタスク管理、外部の集合知を企業において活用する方法、ビジネス人脈の資産化など、個別のテーマについて Enterprise 2.0のあり方を考察してみたい。

【当コラム執筆は、Looops Communications 代表である斉藤徹と、同社企画部長の大迫正治が担当しています】



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