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2008年1月22日 12:00

第六十九回 「オープン化する SNS〜ソーシャルアプリケーション普及の背景」

前回は、SNS の世界にオープン化の波が押し寄せていることを紹介した。今回は、このオープン化の源流をもう少し紐解いてみよう。

1. SNS オープン化の源流

SNS のオープン化の源流は、MySpace にある。MySpace は世界最大規模のユーザー数を誇る SNS で、当初ユーザーは自分のプロフィールページに自由に YouTube の動画プレイヤーを貼り付けたり、Last.fm の音楽プレイヤーを貼り付けたり、flickr のフォトアルバムを貼り付けたりすることができた。このように、外部のアプリケーションを SNS 内に同居させることで、ユーザーはより幅広く、趣味や興味関心を友人に向けて発信することができた。

しかし、MySpace におけるユーザーの表現にはほとんど制限と呼べるものがなく、アプリケーションの取捨選択だけでなく、レイアウトやデザイン、流れる音楽まで非常に広い裁量をユーザーに与えすぎていた。そのため、多くの熱心なユーザーのプロフィールページでは秩序が失われ、あっちでは音楽がなりひびき、こっちでは動画が自動再生されるという混沌とした状態となっていた。また、アプリケーションを開発する事業者と、MySpace 本体との協力・提携関係も曖昧だったため、MySpace によるアプリケーション開発者の買収や、締め出しといった出来事が頻発していた。

そこで現れたのが、facebook プラットフォームだ。facebook プラットフォームはその名の通り整備されたプラットフォームで、アプリケーション開発者用に充実したドキュメントを整備し、各ユーザーのページは整然としたレイアウトにすっきりとまとめられた。また、広告収入をアプリケーション開発者と facebook 本体で折半するという協力関係も築いた。その後の facebook の快進撃は言うに及ばない。

参考までに、過去一年の MySpace と facebook と Bebo のユーザー数を比較してみよう。MySpace のユーザー数が前年比4.2%増に留まっているのに対して、オープン化を推し進めた facebook は前年比111.7%と、遥かに上回る成長を見せている。Bebo は世界三番手の SNS だ。


2. アプリケーション普及の理由

これほどまでにオープン化を利用した SNS 内アプリケーションが普及した理由は何だろう。それは、社会的なつながりを忠実に表現することができたからだ。

・交流欲求を満たす情報

人は誰でも、多かれ少なかれ、他の人が何をしているのかが気になるものだ。facebook ではこの点、友人の誰がどんなアプリケーションを追加したとか、どんなメッセージや掲示板への書き込みを受け取ったとか、プロフィール情報をどのように変更したとか、そうした情報がつぶさに通知される。

ユーザーは、友人の情報がアップデートされると、「どれどれ」とその友人のページを覗きに行きたくなるだろう。facebook 内のアプリケーションであればすべて、こうした更新情報を配信させることが可能である。

・細かなセグメント向けのアプリケーション

mixi を思い浮かべてほしい。そこでは日記と掲示板がメインの機能として利用されている。しかし、どんなユーザーでも、テキストだけのコミュニケーションよりも、もっと多彩な機能があれば、それを喜んで使うだろう。

例えば音楽好きのユーザーならば、テキストによって音楽を論評するだけでなく、実際の音楽を自分のプロフィールページで配信したり、インターネットラジオを埋め込んだりするほうが、よっぽど興味関心に訴求しているはずだ。

このようなセグメント(対象ユーザー)を絞り込んだアプリケーションに、多くのユーザーが飛びついた。母体数が数千万人規模になると、ニッチな分野を狙ったアプリケーションでも、数十万人を獲得することができることも、追い風となった。

・現実の人間関係に基づくルール

SNS 内に人間関係を持ち込めるといえど、すべての友人が自分にとってフラットに広がるネットワークであるわけではない。ある写真は同級生とだけ共有したいかもしれないし、ある日記は会社の同僚には読んでほしくないかもしれない。また、趣味などのプロフィール情報は公開をいとわなくても、連絡先や学歴・職歴などは、知り合いにしか公開したくない場合もあるだろう。こうした人間関係のルールを反映し、自在に情報の公開/非公開を設定できるようにすることも、ソーシャルアプリケーション普及の鍵であった。

次回は、こうしたソーシャルアプリケーションを利用した、新しいマーケティング手法を考察してみよう。

【当コラム執筆は、Looops Communications 代表である斉藤徹と、同社企画部長の大迫正治が担当しています】


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