Webマーケティング 2008年2月14日 10:00

欲しい人材を採用できる Web サイトの条件 〜採用サイトの KPI〜

著者: 株式会社デジタルフォレスト 執筆:前野有美
2008年2月14日 10:00 付の記事
□国内internet.com発の記事

採用サイトを構築する前に考えなければならないことは、まず、最重要目標達成指標を決めることだ。何故こういうアタリマエを書くのかというと、これを決めることが意外に難しいからだ。

KPI 設定のワークショップで、自社採用サイトの KPI を決めるよう課題を出すと、「会社説明会のエントリー増」とか「実際の採用数」といった回答が挙がる。他に考えられないかを問うと、「採用トップページ離脱率」や「平均閲覧ページ数」など、Web サイトに特化した回答が挙がってくる。

これらの回答も間違いではないが、もし、こういうことにしか発想が及ばない Web マーケターや Web マスターに採用サイトを任せているなら、「人」に関する経営課題はなかなか解決されないだろう。良い人材に入社してもらい、定着してもらう。そのために必要なことを、人事も含め、最初に考え抜かなければならない。

■失敗している採用サイトとは
採用サイトにおける失敗はどのような事態を引き起こすのだろうか。

1.面談時の非効率
面談時に応募者が企業理念や事業内容をよく理解しておらず、会社説明に終始してしまう。その結果、応募者は面談時に初めて自身と会社がどの点でマッチしているかを考えるため、掘り下げた話にまで及ばない。

2.入社後のミスマッチ
Web サイトに謳っている内容と会社の実態との間に乖離があり、採用サイトを通じて入社した人が早期に退職してしまう。

上記の事態は、採用サイトに十分な情報が掲載されていなかったり、誤ったあるいは偏った情報を提供していることによる可能性がある。たかが採用サイトと思うかもしれないが、今や、求職者が事業者 Web サイトを見る確率は86%以上。その責務は重い。

■採用が失敗するとどういうことが起きるのか?
「うまくいかないなら人をすげ替えるだけだ。代わりはいくらでもいる」こう考える企業もあるだろう。数を集めるだけで良いなら簡単だ。しかし、採用サイトの担当者が悩むのは、数を集めればそれで良い、というわけにはいかないからだ。

ところで、採用が失敗するとどういうことが起きるのだろうか。

会社の価値観と合わない社員が入社する→早期退職する→代わりの社員を採用する→また歯車が合わず早期退職する→職場のモラルが下がる(特に上司が変わる場合、部下は真面目に働くのが馬鹿らしくなったり、会社への忠誠心が下がったりする。自身に関連する業務を担当する社員が次々と辞める場合は、自身の努力だけでは仕事のクオリティ維持が難しい上、引き継いだことや教えたことが無駄となりモチベーションが下がる)→組織全体の活力低下や経営者への不信感により、「これまで耐えて頑張ってきた社員」、「できる社員」が辞める→退職の連鎖が止まらなくなる…

こうなると、経営にとって死活問題となる。

さすがにここまでくると、ひとえに採用サイトのせいとはいえない。しかし、採用情報を公開する前に、「企業がどういう人材を欲しいか」ということを、是非、明確にして欲しい。

■まず、「どういう人材が欲しいのか?」を定義しよう
採用サイトの担当者がしなければならないことは、まず、「どういう人材が欲しいか」を知ることなのだが、非常にアタリマエのようでいて、これができていない採用サイトが多い。

多くの採用サイトで、「自由な社風」というキーワードが散見されるが、「自由な社風」の横に、外国の浜辺の写真が掲載されていたとしよう。また、「風通しが良く、言いたいことが言える会社です」も良く見るフレーズだが、このキーワードの横に、上司と部下が私服で酒を飲んでいる写真(研修の飲み風景など)が掲載されているとしよう。

こういう募集をしておきながら、「楽しく自由に仕事ができる職場」を探している応募者が来て、実際に入社すると、「この人材はうちが求める人材ではない」といって退職に追い込むようなミスマッチを起こしがちだ。

こうしたミスマッチが起こる理由は会社によって異なるだろうが、例えば、「言いたいことを言ってそれが通っているのは実績を出している社員だけ」だったり、「『自由』というのは『責任を負う』ということであり、結果を出す限りは自由だが、そうでないなら自由にできない」というのは、よくあることではないだろうか?

会社は利益を出さなければ存続不可能なのだから、応募者の方も、ちょっと考えればわかりそうなものなのだが、誤った誘惑をして会社に引き入れ、不幸な事態を招いてしまう企業側の罪も重い。このような場合は、誤解の無いように採用サイトのメッセージの出し方を変えるか、面談者が応募者の誤解を見抜けるように人事の採用担当者が事前に確認事項を把握しておくべきだ。

会社の価値観を伝えて、応募者が共感してくれなければ、残念ながら縁が無かったことになる。だが、後の不幸を思えば、それで良いのではないだろうか。

さて、御社が応募者と共有すべき「価値観」とは何だろうか?価値観が合っているかどうかは、以下の3点で見極める。

1.自社の理念・ビジョンに共感を持てる人材か
自社の理念やビジョン(私たちはこのビジネスでどうやって勝とうとしているのか)は、経営者の考えだ。

2.自社の行動規範に沿った行動が取れる人材か
行動規範とは、自社の理念やビジョンをいかに達成するかであり、「勝つ」という目標を達成する手段のことだ。

例えば、「私たちがそうしてもらいたいと思うような態度で顧客に接しましょう」といったような、非常に具体的で想像の余地の無いものだ。この例の場合、サービス業に携わったことのない人が、この規範に則って行動するのはなかなか厳しいものがあろう。

3.自社の職務にモチベーションを継続できる人材か
今、そして、1年後、3年後、5年後に、どういうプロセスを踏み、成果を出すことでその人を評価できるだろうか。5年も先のことなんてまだわからない、という声が聞こえてきそうだが、この部分にミスマッチがあると、早期退職者になりかねない。

さて、「欲しい人材を採用できる Web サイト」を構築する上で、最も大事なことを述べたが、御社の採用サイトにおける、最重要目標達成指標は決まっただろうか?これが決まって初めて、Web サイトの構築に着手できる。

次回は今回の内容を踏まえた上で、具体的な採用サイトの構築方法について書きたいと思う。

(株式会社デジタルフォレスト コンサルティング部 部長 前野有美)

記事提供:株式会社デジタルフォレスト




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