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| Webマーケティング |
2008年4月24日 10:00 |
| Webマーケティング・バックナンバー |
Web サイトの顧客満足をコントロールする方法2 〜そのためにコストはいくらまでかけられるのか?〜
著者: 株式会社デジタルフォレスト 執筆:前野有美 プリンター用 記事を転送
▼2008年4月24日 10:00 付の記事
□国内internet.com発の記事
前回の「Web サイトの顧客満足をコントロールする方法1 〜顧客満足を生む顧客接点はどこ?〜」では、Web サイトの顧客満足をコントロールするために、最も顧客満足の向上に貢献する顧客接点を見つけ強化する方法について書いた。しかし、湯水のごとく予算が余っているなら話は別だが、上限の無い顧客の要求に対応するために、どこまでコストをかければ良いかが悩ましいところだ。今回は、投資対効果の考え方について書きたいと思う。
■問い合わせのコストはいくら?
Web サイトが顧客サポートの側面を持っていることは前回書いた通りだが、苦情処理コストは1件2,000円〜3,000円と言われている。問い合わせが3回くれば9,000円。5回くれば1万5,000円。例えば10万円で利益10%の製品を売っていたら赤字になる。ところが、米国の SOCAP(企業消費者問題専門家会議)の調査によれば、苦情相談の適切な対応1件につき228ドルの売上促進効果を生むこともわかっている。つまり、これは日本の企業にも当てはまり、苦情処理には2,000円かかるけれども、それには約25,000円の売上促進効果が期待できると考えられる。
それでは、「顧客満足を上げるための施策に多少のコストがかかったとしても、それ以上のリターンが得られるなら、常に顧客満足を優先させれば良い」という話だが、そう簡単に割り切って良いものだろうか。
■そのサービスは本当に価値があるのか?
Web の世界で勝ち抜くために、顧客満足を向上させるサービスを打ち出して成功した例は枚挙にいとまがない。例えば、アマゾンの「1,500円で送料無料」。利益を考えれば1万円で送料無料が妥当な線だろう。百歩譲って5千円でも送料無料を良しとしよう。そこを、破格の1,500円を打ち出した。今となっては書籍に関しては業界標準になったものの、キッチン用品やアパレルの業界では、今でも「1,500円で送料無料」は、真似しがたいものがある。
アマゾンは書籍の EC ビジネスにおいて「1,500円で送料無料」をはじめとした、様々な顧客志向のプログラムを用意することで、圧倒的な競争優位を築いた。しかし、一般的な企業では顧客満足を高める上で効果的と思われるサービスを思いついたとしても、実際にプログラムを採用する段になると、躊躇してしまうものだ。
何故なら、新しいサービスによって開発コストが増大すれば、短期的に利益が出ても長期的には負担になる可能性がある。新しいサービスは常に他社に追随されるリスクを抱え、追随されれば競争優位を奪われるだけでなく、業界全体のコストが上がる、といった問題にぶつかる。
Web でサービスを展開する前に、是非、以下を検討して欲しい。
・新しいサービス開発にかかるコストは?
・新しいサービスの導入によってどれだけ顧客満足が向上するか?顧客満足が向上する場合、売上げ向上に結びつくか?
・Web 上で展開することの意味は?その運用コストは?
・競合は追随するか?優位性を保てる期間はどれくらいか?
・競合他社が追随した場合、業界全体のコストが上がったとしても、市場は拡大するのか?
・新しいサービスは競合他社や他業界から顧客を獲得するチャンスを生むか?
例えば最近は、人員コストの削減を図ろうとインターネットによるビジネスの無人化を推進した結果、顧客の満足度を著しく低下させる事態が頻繁に起きている。コスト削減にはつながったが、果たして顧客満足の低下によるブランドへの打撃はいかほどのものかということがよく議論に上がる。これは、サービス導入時に、顧客満足に与える影響をきちんと検討しなかったために起きた事象だ。
例えば、人件費が削減できるからこそ可能な、「インターネットなら手数料無料」の成功事例がある。この場合、新規顧客の獲得とリピートの増大が見込める。一見、手数料を無料にすることで損をするように思えるが、競合やネット参入に遅れを取った業界が追いつくまでは独壇場となる。
各々の顧客接点において、顧客満足を上げられるサービスを思いついたら、上記の項目を検討し、それが本当に顧客のためになるか、それによって自社が勝ち抜くことができるかを検討して欲しい。ただし、投資対効果の試算や承認に時間がかかりすぎて商機を逸することがないよう気をつけたい。
■最も顧客満足の低い対応とは?
さて、ここからは Web から離れた話で大変恐縮だが、とても大事なことなのでお話しておきたい。最も顧客満足の低い対応とはどのようなものだろうか?それは、「約束を守らない」ことだ。積極的に約束を守らない会社や人は少ないと思うが、約束を守れない会社や人はけっこう多い。
約束の不履行がなぜ起きるかを検証すると、一つには、「相手を喜ばせようという気持ちが強いために、つい、できない約束・無理な約束をしてしまう」という、人との衝突を怖れる心理がそうさせてしまうことが多い。もう一つは、複雑なプロセスや非効率なプロセスが予定を狂わせ、結果として約束が守れなくなるというパターンだ。
一般に、自分で直接手を下さず、誰かに指示を出すと、それだけで1.3倍の手間がかかると言われている。更に、顧客と約束を取り付ける人は実行の責任者では無いことが多い。一つの部署から別の部署へ責任が転嫁されるたびに、責任の所在はあいまいになり、顧客の期待を裏切る結果となってしまう。
ある案件でクレーム内容を分析したことがあるのだが、顧客は、技術的トラブルや事故そのものには、案外、寛容な態度を示した。むしろ顧客が一番怒りを覚えたのは、実際にトラブルや事故が起きたときの復旧の目処について、事前に伝えられていた約束期日が破られた時だった。
さて、このような顧客を怒らせてしまう最悪の事態は、どのようにして回避することができるだろうか?前回のコラムを例に取って考えてみよう。このケースでは、2〜3日で到着するはずの商品が8日後に到着して顧客を怒らせてしまった。
まず、できない約束はしないことだ。そして、最悪のケースを想定して時間は多めに取っておくこと。問題なく商品が到着すれば3日、しかし、最悪の場合は8日かかるのであれば、顧客には「商品の到着には8日かかる」と伝えておかなければならない。8日と伝えておいて5日で届けば顧客の満足度は高くなるか維持できる。しかし、3日と伝えておいて5日かかれば、顧客満足度は一気に下がる。そして激怒した顧客は、間違いなく、あちこちで悪口を言いふらすだろう。
こういうケースは実際、非常に多い。インターネットでは顧客の顔が見えない分、つい対応がおざなりになってしまいがちだ。悪気なく普通に書いたつもりでも、受け手から悪印象に捉えられてしまうこともある。文面だけでは誤解が生じやすい。だから、書き手は、相手に失礼が無いか、わかりにくくないか、誤解を与える表現になっていないか、その相手を目の前にしているときと変わらぬ気持ちで文章を作ることに心を砕いて欲しい。その気持ちは必ず顧客に伝わる。
ちなみに、トラブルが起きて、修復に何日かかるかわからない時は、適当に「1週間、もしかしたら1ヶ月」と言うのではなく、「わからない」と言うべきだ。その理由がわからない時も「わからない」と伝える。“正しい答えが出るまで顧客はどうすれば良いか”、それを伝えることが大事だ。顧客を、どうして良いかわからない、不安な状態に置くのは良くない。まして、嘘の約束をして失望させるのはもっとよくない。短期的に楽な道を取るのではなく、長期的な Win-Win を目指そう。顧客満足のためなら、自信を持って、顧客に「ノー」と言って良いのだ。
Web に限らずビジネス全般に言えることだが、顧客満足をコントロールすることで、顧客ロイヤルティ、価格プレミアム、成約率の向上を図ることができる。是非、基本に立ち返って、御社の Web ビジネスを見直して欲しい。そこには新たな可能性が待っているかもしれない。
(株式会社デジタルフォレスト コンサルティング部 部長 前野有美)
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