■それは有効な切り口か?
最近は、アクセス解析結果だけを分析するのではなく、定性的なアンケートと定量的なアクセス解析を連動させた Web 解析の依頼も増えている。様々な手法を組み合わせることで、素晴らしい結果が得られるという幻想を抱きがちだが、それだけでは有効な分析結果は得られない。打ち手として役立つ結果を得るためには、分析の設計を十分に練りたいところだ。
コンバージョンページやポップアップで、年齢、性別、職業、年収、趣味などのアンケートを実施する Web サイトを見かけたことがあるだろう。企業は、製品購入者への単なる興味からこういったデータを取得しているのではなく、ユーザーにより良いサービスを提供することを目的として実施しているのだが、取得したデータを、必ずしもマーケティングに活用できているわけではない。何故か。分析の結果をどう使うかという「打ち手」の検討が無いままに、「とりあえず、製品購入者がどういうプロファイルか把握したい」という興味から、アンケートが実施されるからだ。
この事実を Web に活かすとするなら、B社の場合、30歳代〜40歳代向けのメッセージをより強く打ち出すか、今後は10歳代〜20歳代向けの広告も強化するといった打ち手が考えられる。しかし、別の切り口で分析したところ、実は、B社の製品はA社の製品に比べて高級かつ高価であるため、10歳代〜20歳代は自分では買えず、親が買った製品を借りているという実態が浮き彫りになったとしよう。
具体的には、売り上げの低下を製品そのもののせいにして、Web 本体の導線やランディングページの Web 解析しか行わなかったり、プロモーション担当者のせいにしてバナーやリスティング広告の分析だけを実施したり、Web 設計者のせいにしてコンバージョンプロセスのみ分析する、といったような事態だ。会社全体の戦略や組織運営体制の課題を見過ごして全体像の正しい把握を欠いた結果、効果的な打ち手を見出せず、「こんなにしっかり分析して頑張っているのに何で効果が現れないのか」と悩み、毎年、同じことで議論するはめになる。