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2008年9月6日
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Webマーケティング2008年5月27日 17:50

電子メールシェイプアップ計画

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随分前のことだが、私のもとにこんなメールが届いた。

「今度の土曜日、ひま?」

またいつものスパムメールかと思いきや、送り主は部下のエンジニアA君ではないか…。

「飲みのお誘いか?」と思いつつ、それにしても男性の部下からここまで親しげに、しかも土曜日のお誘いとは…と不審な気持ちを抱きながら、人一倍部下思いの私は早速返信をしたためた。

「土曜日は残念ながら大切なお客様とミーティングがあるので、また今度行きましょう」

私ぐらいの年齢になると、「おや?」というような程度の不審ぐらいでは動じなくなっているので、取り立てて真意を問いただすまでもないかと気にもせずにいたのだが、よもやこんな顛末になるとは、私自身想像もしなかった。

1時間後のことだ。モニターを前にしたA君が突然「あっ!」と小さな叫び声を上げたと思いきや、見る見る顔面が蒼白に。

しばらく画面を見つめていたA君、意を決したようにゆっくりと立ち上がると、後悔と謝罪と恥ずかしさが交錯したような複雑な表情を携えたまま、私のもとに歩んで来るではないか。何事か?と思いながら見つめている私に深々と一礼するA君。

「申し訳ありません。アドレスを間違えて送信してしまいました」

真っ赤になって謝罪するA君に、私は怒りよりも同調を覚えたほどだ。どうやら福本さん(仮名)という女性社員にあてたデートのお誘メールを送信する際に、「fukumoto」と「fukuda」を間違えて to アドレスを設定した誤送信であったそうである。

デートの誘いを上司、しかも役員に送ってしまったのである。本人にしてみれば、取り返しのつかない失敗をしてしまった後悔の念にさぞや苛まれ、居たたまれないことこの上ないといった心境であったろう。私にしてもごく稀にするうっかりミスである。

いずれにしろ、これで私の心に小さくわだかまっていた不審も解け、またその後当分の間は、今まで以上にA君が勤勉に働いてくれたことも手伝い、私にとってはよい結果をもたらした間違いメールではあった。

しかしながら、これが社外へのメールであったら笑い話では済まされない。私的利用も問題となっている昨今、なによりも社内の機密情報を流出させるリスクは深刻と言っていいだろう。

「職場から不都合な内容または機密データを含む電子メールを間違った宛先に送信したことがある」と回答した社員は、なんと全体の50%にのぼったというデータもある。
(出典:英 Sophos 調査資料)

もちろん、社内メールの過度な私的利用や機密情報の漏えいを防止するためのメール監視体制も進んでいる。米国企業の3分の1近く(32%)が、社外向けの電子メールを読んだり分析したりするスタッフを雇っており、従業員数が2万人以上の企業では、この数字が39%となっている。
(出典:「2007 Outbound E-Mail and Content Security in Today's Enterprise」)

監視結果を理由に解雇するケースも日常化しているようだ。同時に、メールの利用規則を規定する動きも普及してきた。

しかしながら、ルールをつくり、監視をしたところでミスは発生する。私的利用、情報漏えいといった発信者としての課題とともに、大量な迷惑メールなど受信者としての課題も深刻である。

私の場合を調べてみた。ウイークデイには電子メールが500件/日くらい届く。内訳はもちろん日によって異なるが、おおよそ以下の通りである。

・ダイレクトメール及び迷惑メール等:200件
・システム/サービスからの通知・案内:100件
・私宛のメール:50件
・CC にアドレスが設定される場合やメーリングリストから転送されるメール:150件

この量だと、全てのメールを集中して読むことは、結構な時間を要する。大切でなさそうなメールや添付ファイルは、ついつい流し読みになったり、読まないで削除する。また、添付ファイルなどを見るためにアプリケーションを起動するのも面倒だ。

しっかりメールを読むようにするには、

・件数を少なくする。
・1件あたりの文字数を少なくする。
・添付ファイルは極力使わない。
といった情報量のシェイプアップ対策が必要である。

電子メールは、

・社内外を問わず仕事でコミュニケーションが必要なほとんどの人に送信できる。
・確認したいときに確認できるので、相手の時間を妨げない。
・交信の記録が残る。
・基本的に無料で送信できる。
・Web メールや携帯メールに転送設定することでリアルタイムにメールを確認するインフラも充実している。

など、失いがたいメリットもあるが、結局のところ電子メールで行っている業務を別の方法で実現しなければ、問題発生件数の削減ができない。これをエンタープライズ2.0の取り組みの一つとしてどうやって処理し得るかを考察してみよう。

まず、以下のような Web2.0的な機能を活用するにあたり、ML(メーリングリスト)をたてる代わりに組織、プロジェクト、テーマ単位のグループを編成し、それぞれ公開、開示制限を設定する。

ここで重要なのは、グループメンバーは誰でも議論に参加できるが、メンバー以外は一切情報を見ることができない設定とすることで、ミスによる情報漏えいを最小限に抑えることができる点にある。ここでは、掲示板、ファイル管理、報告書などの Web2.0機能を例に見てみよう。

適用事例として:

■掲示板

<経営会議グループ設定事例>
●内容:経営会議用の報告資料を毎週各部門長から予測・実績を管理部長がとりまとめ、報告書を作成。

●プロセス:
(1)管理部長は今週の報告書掲示板を作成して、雛形を掲載する。
(2)各部門長は雛形をダウンロードして、担当部門の情報を更新する。更新したファイルとコメントを掲示板に投稿する。
(3)管理部長は各部門の投稿したファイルをダウンロード、全社の資料に統合して完成。

※管理部長が各部門長からメールを受け取って編集といった従来のプロセスを一新し、メールを一切使わずに資料をまとめることができる。誰の資料が遅れているかも一目瞭然。資料を集めるフォローなどの労力も節約できる。これは、一般のコミュニティサイトの掲示板でよくある、コメントに添付ファイルを投稿できる機能を利用した例である。

■ファイル管理

<企画グループ設定事例>
●内容:ファイルサーバにアップしたプレゼン資料をテーマに関係者で議論しながらプレゼン資料を完成させる。

●プロセス:
(1)管理者:デモコンテンツを作成するために、たたき台となるプレゼンテーションファイルをグループフォルダーにアップロードする。
(2)関係メンバーがプレゼンテーションファイルをダウンロード。内容を確認して、コメントを投稿する。
(3)管理者は、関係メンバーの投稿を確認しながら内容を修正。議論の結果を反映させ、別ファイルとして再度アップロード。

■報告書

<営業グループ設定事例>
●内容:営業マンの報告書の内容をテーマに関係者で議論する。

●プロセス:
(1)報告者は、営業報告書を作成して掲載する。
(2)上司、関係メンバーは、報告書の内容について、質問、指摘をコメント投稿する。
(3)報告者は、質問への回答や指摘事項についての対応などを返信する。同時に、次回のアクションプランを整理しなおす。

※顧客への営業活動についての指摘から始まり、ターゲット整理まで営業グループ内での合意形成にも役立つ。

上記の例では、掲示板の「お題」はファイルそのもの、報告書そのものであり、これらをテーマにコメント投稿がなされている。いわば「オブジェクト指向型」の掲示板を立てることができる。

これまで、(投稿回数×ML 参加者分)のメールが発信されていたが、それが削減できることになる。もちろん、メディアの特性がことなるので有用性についての比較は単純ではないが、このやりとりで「グループ内で練って、まとまった情報を全社の掲示板等に公開する」といった一連の活動が完結できることになる。

しかも、メンバー各人が何に関心があるのかも把握でき、また、投稿結果は、一覧性をもって確認できるので議論の経緯もよくわかる。

ちなみに、弊社ではすでにエンタープライズ2.0を導入し、運用しているが、メールに依存する文化から抜けきれていない環境で、現在のところ私が受信するメールのうち社内メンバーが発信者のケースは70%程度である。数か月後には、社内メールが劇的に減少した結果を報告することになると予想する。

【当コラム執筆は、Looops Communications 取締役副社長の福田浩至が担当しています】


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