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2009年7月4日
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Webマーケティング2008年8月19日 10:00

タグにまつわる「ゆらぎ」と「ムラ」の問題を考える

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最近、フォークソノミーという言葉をあまり耳にしなくなった。言葉は、流行りすたりはあるものの、コンテンツにタグ(名札)をつけて分類する手法は、さまざまな web サービスで利用されている。

ソーシャル・ブックマークサービスにおいて、タグを登録できないサービスは、まず存在しない。YouTube やニコニコ動画などの動画コンテンツを扱うサイトでは、タグはコンテンツを検索するためには、必須である。

フォークソノミーとは、利用者の判断でコンテンツをタグにより分類することを指す。検索エンジンのロボットがアルゴリズムに基づきコンテンツをインデックス化するトップダウンのアプローチに対して、ボトムアップで分類体系を構築するアプローチである。

つまり、分類結果自体がコミュニティにおけるメンバーの集合知の一つでもある。

分類体系は、時とともに、共有するメンバーとともに変化する。公官庁の統廃合から、音楽ジャンル、車のカテゴリーなど、分類区分はどんどん移り変わってゆく。

また、コンテンツを閲覧する人の状況によっても「求める分類体系」は常に変化していく。予め構造やデータ形式などを規定せず、自由に単語を何件でも登録・変更できる「タグ」は、ダイナミックに変化し続けるコンテンツの分類には、かなり便利である。しかしながら、皆が自由勝手にタグをつけると、以下のような不都合が生じる。

問題点1:ことばの「ゆらぎ」

「ボーリング」と「ボウリング」、「コンピューター」と「コンピュータ」、「いえ」と「家」など、日本語はひとつの単語を平仮名、カタカナ、漢字、英語で表現するができる。これらをタグとして登録した場合、後処理をしない限り、すべて別の単語として扱われる。

同様に類似語の問題もある。「野球」と「ベースボール」、「サッカー」と「フットボール」など、同じ意味の単語も別の単語として扱われる。

これらの事情により、本来同一に扱いたいコンテンツが、ばらばらに分類されることになる。この課題については、利用者の自由意思に任せることで、恣意的でない分類体系に収れんされるので放置することが正しいとする「神の見えざる手」的な意見もある。これが「web2.0 的!」といった見解も耳にする。

問題点2:コンテンツ作成者の「ムラ」

コンテンツ作成者のコンディションによって「ムラ」が出るケースが想定される。タグを付けに気乗りしなかったり、そのときの雰囲気によって、タグを沢山つけたり、つけなかったりすることが考えられる。

また、コンテンツを作成した目的によってもタグのつけ方がかわってくる。ソーシャル・ブックマークの稿で想定したケースでは、「自身の情報整理」「他人への紹介」「自己アピール」の3種類があったが、ことタグをつけるということを考えると、さらに多くのバリエーションが考えられる。

大勢の利用者がいるコミュニティサイトでは「神の見えざる手」も効力を発揮しそうだが、限定的なメンバー利用が前提である会社組織の場合は、ルールを定義することで、「ゆらぎ」と「ムラ」を最小限に抑える(あるいは発散傾向に歯止めをかける)工夫が必要と考える。

企業組織で利用する場合、効果があるのであれば、ローカルルールを設けることも、抵抗が少ないのではないだろうか?以下に、運用ルールの一例を紹介しよう。

・タグ辞書を用意する
この単語と、この単語は「このように記述」しようといったルール集を用意する。

ちなみに当社では、基本ルール(長音符「音引き」で終わるカタカナは長音符つきとする。会社名は「株式会社」をかならずつける等)と個別単語ルール(「SNS」、「ソーシャルネットワーク」、「SocialNetwork」は「SNS」と記述する等)を wiki で作成している。

・正規化担当者をアサインする
定期的に「ゆらぎ」により発生したタグを修正する作業を実施する担当者を確定する。(ルールが明確化され、サービス環境、開発環境などの事情が許せばタグを補正更新するプログラムを用意することも考えられる)

・公式タグを用意する
会社組織として、つけてもらいたい単語(公式タグ)を用意しておく。この単語をタグとして利用することで、ゆらぎ問題の発生を抑制する。また、会社組織にとって重要な単語をタグに持つコンテンツが増加することになる。

・タグの変更を全員に許可する
たとえ自らが作成したコンテンツでなくても、タグを変更してよいこととする。タグのクオリティーを平準化させるにはより多くの人が登録・見直しをするころが現実的である。

・感想タグを推奨する
「かなり参考になる」、「開発者必読」、「力作」といった、読み手がどのようなシーンで役に立つコンテンツなのかがわかるようなタグを用意する。次の閲覧者がアクセスする際の参考になる。

認知工学には「メンタルモデル」という概念がある。最近はトップが経営ビジョンを社員に浸透させるためのマネージメント手法として使われることが多くなっているが、元来は「言葉から連想し、心の中で築き上げたイメージ」のことをいう。

たとえば、「自動車」という言葉から、ある人は「タイヤの4つある白いセダン」を、ある人は「真っ赤なツードアのスポーツカー」を心に描く。これが「自動車」に対する彼らのメンタルモデルである。

タグをつける行為は、登録する人が対象コンテンツのメンタルモデルを描くことにほかならない。登録する人は、コンテンツの属性であると思う単語をタグとして貼り付けてゆく。

これを全員参加で見直していく作業は、個人がつくったメンタルモデルを微調整しながら、組織全体の共通認識(コモンナレッジ)に昇華させてゆくサイクルを確立する手段のひとつともいえる。


【当コラム執筆は、Looops Communications 取締役副社長の福田浩至が担当しています】


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