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2008年10月28日 17:50

ネットコミュニティを進化させるソーシャルグラフについて考える

「所詮、最後は人間関係だ…」

昔、上司に人脈の大切さを切々と説教されたことがある。もちろん、専門的な業務遂行能力が必要なスキルであることは言うまでもないが、人間関係も大切だ。

ネット上のコミュニティは、実社会とは異質な人間関係が定義される。SNS では「友達」という関係で定義されることが多い。「友達」同士は相互に「友達」関係にあるので、「友達」の「友達」を辿り、人脈ネットワークを構築してゆくことが SNS の醍醐味だ。その人脈ネットワークを可視化する仕組みとしてソーシャルグラフが注目されている。

ソーシャルグラフについては、Brad Fitzpatrick 氏が昨年掲載したページが一番のリファレンス記事になっている。参考にされたい。

ソーシャルグラフが注目されている理由は、単にネットコミュニティ上での人間関係を分かりやすく表示することだけではない。ネットコミュニティには必ず存在する利用者の人間関係を含めた属性の定義を共通化して、様々なサービスに横断的なグラフを構築できる業界環境が整いつつあることと相まって、新しいサービスを生み出すと期待されている。

サービス間で ID の共通化をすすめる OpenID、個人属性の XML 表現の規格統一を図る FOAF(Friend of a Friend)、SNS サービスの API 共通化を推奨する Opensocial など、ネットコミュニティそれぞれが持つ利用者のプロフィールを共有化するプロジェクトが着々と進行している。

このようなサービス連携が可能になると、さまざまなコミュニティを横断した広範なソーシャルグラフが実現できると期待される。

単にコミュニティが連携するということだけではなく、メンバープロフィールの質の進化が注目されている。ここで定義されるプロフィールとは、単に性別や出身地、勤務先、血液型などの属性(狭義のプロフィール)や前述の友達(関係者)リストを指すのではなく「コミュニティ内での行動履歴と生み出したコンテンツの内容」までもが含まれる。

たとえば、facebook にログインすると、友人に新しい友人ができたとか、どんなアプリケーションを何時利用したとか、(入力さえしていれば)今の気分まで教えてくれる。

これらがすべてプロフィールの属性となりうる。友人に自分の行動履歴も晒させていること自体は、あまりいい気分はしないが、能動的な行動を起こさずとも、友人の近況がわかることは有り難い。

企業活動においても、上司、同僚、部下の活動内容がスケジュールをいちいち確認しなくても、教えてもらえると便利だ。直近の行動がつぶさに把握できれば、電話するタイミングや、言いにくい話を切り出すタイミング等の間合いすら量れるかもしれない。

また、どのようなコミュニティに参加して発言しているか、だれとより多くメッセージを交換し合っているか、日記の内容はどのようなものかなどを解析することで、その人の専門性や関心事、人間関係の濃淡などを把握できる。

このことは専門性の把握にも、人間関係の理解にも一助となる。仕事にも役立つはずだ。

企業を横断するプロフィール共有も名刺を渡す行為の発展形として成立し得る。カーディーラーの営業マンや保険の外交員などが、自らの趣味やプロフィールを顧客に紹介して、親しみを持ってもらおうとする試みがあるが、より広い範囲でプロフィール公開が広がるのではないだろうか。

一般的になれば、転職の際にこの情報を持ち運んで、職務経歴書や紹介文代わりに使われるようになる可能性もある。とはいえ、機微な個人情報である。開示する情報を微細に設定できることや、開示先の確認・変更が常にできるような機能が前提になる。

昨今、高校生を中心に「プロフ」サービスが利用されていることを考えるに、あと数年のうちに名刺交換の代わりに、企業コミュニティに連動したプロフページのアクセス方法を教えることが常識になっているかもしれない。

【当コラム執筆は、Looops Communications 取締役副社長の福田浩至が担当しています】


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