Marketing
マーケティング
「デジタル・ビッグバン」で吹き飛ばされない唯一の方法
「とりあえず上の人から『SNS を利用しろ』とか『サイトの登録数を伸ばせ』という指示がしょっちゅうな私としては、ドキリとした内容でした」。前回のコラム「生活者が企業のマーケティング活動に参加し始めた!」を読まれた、生活者密着型の某大手 BtoC 企業のマーケティング担当の方から頂いた感想である。
「Bank of America は、MIT Media Lab で Future Banking Blog というものをはじめました。その主幹が行動経済学の Dan Ariely であることに驚きます。また、Wells Fargo が Wachovia の合併後、融和策として顧客宛に Blog で情報発信を行っています。銀行のようなマーケティングからもっとも縁遠いと思われている企業ですら、生活者の行動について、興味を持ち始めています」Web2.0 に強い某銀行 IT 戦略担当の方から頂いた貴重な情報である。
業種・業態に関わらず、「生活者との関係性をどのように捉えているか」の違いが明確になってきた。
前回は、「マーケティングの主導権はもはや企業にではなく、生活者にある。このことを正しく認識している企業は、生活者との絆をつくり、「対話」によって大きな成果を生み出している。一方、従来の企業中心の発想から抜けきれない企業は、生活者との関係性を悪化させてしまうことになる」ということを述べた。
今回は、このような動きが活発化してきた背景について述べたい。
■情報過多から、デジタル・ビッグバンへ
表1は、総務省が発表した情報流通に関わるデータである。この10年で「選択可能情報量」はなんと410倍に増えているが、「消費可能情報量」は15倍に増えているにすぎない。
生活者は、「情報過多」から「情報洪水」さらには「デジタル・ビッグバン」と言えるような「選択可能情報量」のすさまじい急成長についていけなくなっている。こうした状況の当然の結果として、生活者は信頼できる情報や自分が望んでいる情報のみを自ら選別するようになっている。
従来は、企業がどのメディアを選択してどの情報を生活者に届けるかということを考えて実施すれば良かったが、現在は、メディアや情報を選択するのは生活者の方なのである。
■消費者は信用できる情報しか受け入れない
表2は、宣伝会議が実施した調査で、商品を購入する際の一番頼りにしている情報源について聞いているものだが、テレビなどのマスメディアや広告よりも、インターネットの情報や知人・友人のクチコミが重視されていることがわかる。
街中にあふれるフリーペーパーに満載されている飲食店情報より、実際に足を運んで食べたグルメの友達から「あそこの○○が美味しいんだよねぇ」などと聞いた話の方がはるかに役立つと考えている人がほとんどだ。
「情報大爆発」が進む中で企業からの情報が生活者に届きにくくなっており、一方的な情報は敬遠されつつある。生活者は「信頼と同好」に基づく確かな情報源を求めている。そして、そのための仕組みが必要とされているのである。
■生活者パワーは価値創造の段階へ
表3は、インターネットの発達による生活者パワーの増大を表したものである。生活者が自ら「情報」を伝達、獲得、発信、交流するという段階から、「価値」(商品やサービス)を創造するという新たな段階に進んでいる。
従来のマーケティングにおいては、企業がメディアや販売ルートを選択して、「情報」や「価値」を生活者に対して一方的に提供してきた。これからは、企業自体がメディアを持つとともに、生活者も自らのメディアを持ち、「情報」のみではなく、「価値」を企業とともに創造するマーケティングの時代に大きくシフトしていく。
生活者は変わった。また生活者の口に戸はたてられない。企業が好むと好まざるにかかわらず、その企業の話題、商品サービスの話題は、当たり前のようにネット上を駆け巡っており、企業がコントロールすることはできない。そしてそれらは企業発の情報よりもはるかに信用できる情報として、優先的に人々の頭の中にインプットされていく。
この急激な生活者へのパワーシフトにより企業は抜本的な変革を余儀なくされている。また、このような潮流を前向きに受けとめ、生活者の力を積極的にマーケティングに活かそうとする企業の動きも活発化してきた。
昨年から「コミュニケーション・デザイン」や「クロスメディア」といった言葉を聞く機会が増えてきた。これも必然の流れである。しかしながら、この本質的なパワーシフトを踏まえて議論しなければ、企業中心の発想から抜けきることはできないし、新たな価値を創造することもできないだろう。
■「CHANGE」は「CHANCE」!
昨年の一年を表わす漢字は「変」。オバマ新大統領のスローガンも「CHANGE」だった。
「サブプライム問題」から「100年に1度の金融危機」、そして「世界同時不況」と事態はより深刻になっているが、「CHANGE」は経済の分野に留まらない。社会、国、企業、個人など全世界のあらゆるところで「CHANGE」が始まっている。
「マネーゲーム」から「持続可能な社会」へ
「米国覇権主義」から「ONE WORLD」へ
「競争」から「共生」へ
「短期的」から「長期的」へ
「表面的」から「本質的」へ
「企業中心」から「生活者中心」へ
「効率」から「対話」へ
迫りくる「CHANGE」の波に打つ手はないのだろうか?そんなことは無い。
「CHANGE」のGは、Cに変えると「CHANCE」になる。
我々日本人は、世界でもっとも Blog 好きな民族であり、また世界最高水準の評価能力および改善能力を持つ生活者に恵まれている。この優位性は極めて大きい。我々にとってはまさに地の利であり、「CHANCE」到来である。
生活者との対話によるイノベーションの時代へ。
「ピンチはチャンス」などと良く言うが、「CHANCE」は自分で掴んで活かさなければ、通り過ぎてしまう。この「CHANGE」を千載一偶の「CHANCE」として積極的に捉え、活かすには具体的にどうしたら良いのだろうか。みんなが元気に、仲良く、幸せに生きられる「ハッピーな社会」を目指して、その一助となるような気持ちで、このコラムを書いていきたい。
執筆:株式会社ワールド・カフェ 代表取締役 笠原 造
監修:株式会社ループス・コミュニケーションズ 代表取締役 斉藤 徹
「Bank of America は、MIT Media Lab で Future Banking Blog というものをはじめました。その主幹が行動経済学の Dan Ariely であることに驚きます。また、Wells Fargo が Wachovia の合併後、融和策として顧客宛に Blog で情報発信を行っています。銀行のようなマーケティングからもっとも縁遠いと思われている企業ですら、生活者の行動について、興味を持ち始めています」Web2.0 に強い某銀行 IT 戦略担当の方から頂いた貴重な情報である。
業種・業態に関わらず、「生活者との関係性をどのように捉えているか」の違いが明確になってきた。
前回は、「マーケティングの主導権はもはや企業にではなく、生活者にある。このことを正しく認識している企業は、生活者との絆をつくり、「対話」によって大きな成果を生み出している。一方、従来の企業中心の発想から抜けきれない企業は、生活者との関係性を悪化させてしまうことになる」ということを述べた。
今回は、このような動きが活発化してきた背景について述べたい。
■情報過多から、デジタル・ビッグバンへ
表1は、総務省が発表した情報流通に関わるデータである。この10年で「選択可能情報量」はなんと410倍に増えているが、「消費可能情報量」は15倍に増えているにすぎない。
生活者は、「情報過多」から「情報洪水」さらには「デジタル・ビッグバン」と言えるような「選択可能情報量」のすさまじい急成長についていけなくなっている。こうした状況の当然の結果として、生活者は信頼できる情報や自分が望んでいる情報のみを自ら選別するようになっている。
従来は、企業がどのメディアを選択してどの情報を生活者に届けるかということを考えて実施すれば良かったが、現在は、メディアや情報を選択するのは生活者の方なのである。
■消費者は信用できる情報しか受け入れない
表2は、宣伝会議が実施した調査で、商品を購入する際の一番頼りにしている情報源について聞いているものだが、テレビなどのマスメディアや広告よりも、インターネットの情報や知人・友人のクチコミが重視されていることがわかる。
街中にあふれるフリーペーパーに満載されている飲食店情報より、実際に足を運んで食べたグルメの友達から「あそこの○○が美味しいんだよねぇ」などと聞いた話の方がはるかに役立つと考えている人がほとんどだ。
「情報大爆発」が進む中で企業からの情報が生活者に届きにくくなっており、一方的な情報は敬遠されつつある。生活者は「信頼と同好」に基づく確かな情報源を求めている。そして、そのための仕組みが必要とされているのである。
■生活者パワーは価値創造の段階へ
表3は、インターネットの発達による生活者パワーの増大を表したものである。生活者が自ら「情報」を伝達、獲得、発信、交流するという段階から、「価値」(商品やサービス)を創造するという新たな段階に進んでいる。
従来のマーケティングにおいては、企業がメディアや販売ルートを選択して、「情報」や「価値」を生活者に対して一方的に提供してきた。これからは、企業自体がメディアを持つとともに、生活者も自らのメディアを持ち、「情報」のみではなく、「価値」を企業とともに創造するマーケティングの時代に大きくシフトしていく。
生活者は変わった。また生活者の口に戸はたてられない。企業が好むと好まざるにかかわらず、その企業の話題、商品サービスの話題は、当たり前のようにネット上を駆け巡っており、企業がコントロールすることはできない。そしてそれらは企業発の情報よりもはるかに信用できる情報として、優先的に人々の頭の中にインプットされていく。
この急激な生活者へのパワーシフトにより企業は抜本的な変革を余儀なくされている。また、このような潮流を前向きに受けとめ、生活者の力を積極的にマーケティングに活かそうとする企業の動きも活発化してきた。
昨年から「コミュニケーション・デザイン」や「クロスメディア」といった言葉を聞く機会が増えてきた。これも必然の流れである。しかしながら、この本質的なパワーシフトを踏まえて議論しなければ、企業中心の発想から抜けきることはできないし、新たな価値を創造することもできないだろう。
■「CHANGE」は「CHANCE」!
昨年の一年を表わす漢字は「変」。オバマ新大統領のスローガンも「CHANGE」だった。
「サブプライム問題」から「100年に1度の金融危機」、そして「世界同時不況」と事態はより深刻になっているが、「CHANGE」は経済の分野に留まらない。社会、国、企業、個人など全世界のあらゆるところで「CHANGE」が始まっている。
「マネーゲーム」から「持続可能な社会」へ
「米国覇権主義」から「ONE WORLD」へ
「競争」から「共生」へ
「短期的」から「長期的」へ
「表面的」から「本質的」へ
「企業中心」から「生活者中心」へ
「効率」から「対話」へ
迫りくる「CHANGE」の波に打つ手はないのだろうか?そんなことは無い。
「CHANGE」のGは、Cに変えると「CHANCE」になる。
我々日本人は、世界でもっとも Blog 好きな民族であり、また世界最高水準の評価能力および改善能力を持つ生活者に恵まれている。この優位性は極めて大きい。我々にとってはまさに地の利であり、「CHANCE」到来である。
生活者との対話によるイノベーションの時代へ。
「ピンチはチャンス」などと良く言うが、「CHANCE」は自分で掴んで活かさなければ、通り過ぎてしまう。この「CHANGE」を千載一偶の「CHANCE」として積極的に捉え、活かすには具体的にどうしたら良いのだろうか。みんなが元気に、仲良く、幸せに生きられる「ハッピーな社会」を目指して、その一助となるような気持ちで、このコラムを書いていきたい。
執筆:株式会社ワールド・カフェ 代表取締役 笠原 造
監修:株式会社ループス・コミュニケーションズ 代表取締役 斉藤 徹
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