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マーケティング2009年2月3日 14:10
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クラウドを味方につければ、怖いものなし?

この記事のURLhttp://japan.internet.com/wmnews/20090203/6.html
著者:ループス・コミュニケーションズ 取締役副社長 福田浩至
国内internet.com発の記事
今回はクラウドソーシングと企業コミュニティの関係について考えてみたい。

クラウドソーシング(crowd sourcing) は、インターネットコミュニティに集う群衆[crowd]に、企業の業務を一部委託(アウトソーシング)する手法をいう。群衆とは少し失礼な言い方ではあるが、はっきり相手もわからず、強制力もなく、当人の自主性を信じて委託する心もとなさを考えると、企業側目線では群衆と言われるのもやむなしだ。

導入目的の一つは、コストダウンだ。アウトソーシングで通常行われている法人企業に委託するより、個人に分散して委託するほうが安くつくことを期待する。もうひとつが、広くアイディアや考え方を吸い上げる仕組みづくりだ。

最近同じく、よく耳にするクラウドコンピューティングのクラウドは雲[cloud]だ。由来はネットワーク図のなかで、インターネットに関連する様々なネットワーク機器をまとめて、さらっと雲形[cloud]の共通記号にて表現することによる。

クラウドコンピューティングは Web サービスを実現するに際して、Web サービス提供者と IT 専門化の分業をより鮮明にする手法だ。進化を続ける IT 技術を基盤とした情報システムを構築するには大変な知識と根気とお金がかかる。

「Web サーバーを追加しないとパフォーマンスがあがらず、利用者が逃げてきますよ」とホスティング業者から脅されることも、「今日は気分が乗らないから休みます」と平然と言ってのける IT 技術者に頼ることもなく、サービスに集中できる魔法の杖になるかもしれない。

額面どおりにうけとれば、Web サービス提供者は IT 技術を知らずしてもサービス運営ができることになる。クラウドコンピューティングの実体論は、Mike Elgan 氏のコラムがわかりやすい。

ちなみにグーグルで検索すると、「crowd sourcing」では266万件、「cloud computing」では4,560万件と「cloud computing」のほうが語られるケースが多いようだ。

クラウドソーシングに話を戻そう。クラウドソーシングに企業コミュニティはどのような連携が取れるだろうか? 世の中に実績のある業務での活用を考えてみよう。

・製品/サービスの企画
たとえば製品のロゴやコピーなどについて、複数の選択肢を用意して、クラウドにアンケート投票をしてもらうケースが考えられる。通常これらは、組織内で声の大きい誰かが主観的に決定することが多いが、決定する根拠が「社長がきめた」といったことになる。

アンケート結果はクラウドの総意ともいえ、説得力を持つ。典型的な例が官庁や地方自治体がイベントや施設の名前などを決定する際によく用いられる。つい最近まで、経済産業省が「ソーシャルビジネス/コミュニティビジネス ロゴの公募」をしていた。

個別企業においても公募するケースがある。その回答を企業コミュニティで社内の関係者に公開する。結果は最終判断の有力な材料とするだけでなく、「クラウドの意見」を呼び水として、社内での議論を活性化させる材料にも利用できる。

「社外の人からわが社の製品・サービスがどのように見られているか」は、正常な社員にとって大きな関心事だ。企業コミュニティの運営者にとっては、盛り上がるネタと期待できる。

・製品/サービスの開発
製品の仕様(ニーズ)が決まったのち、解決手段(シーズ)を有する個人や企業を発掘・選別して委託(アウトソース)する。世界中から様々なジャンルのエキスパート達を見つけだすことができる「innoCcentive」が有名だ。

国内サイトに目を向けると企業間取引(個人企業と称される、個人に近い事業主を含む)が前提であるが、「楽天ビジネス」があげられる。このサイトではアイディアを募るのではなく、業務委託して製品製作の一部を担ってもらう実行チームを開拓できる。

ソフトハウス、名詞印刷、クリエーター、社労士、通訳など様々な実業を依頼できるパートナーを発掘できるサイトだ。企業は、まず要件を明記して募集を開始。それを読んだ参加者から応募がくる。仕事を依頼できそうな相手には、商談を進めたい意向を伝え、そうでない企業には断りをいれる。

見知らぬ委託先候補であるので、慎重に商談を進める。相手も同じで、要件に対応できる能力や過去の実績の説明など、丁寧にアピールしてくれる。このやりとりを企業コミュニティで記録しておくことで、ほかのメンバーが同様な依頼をするときのベンチマークになる。

また、やりとりの過程において、応募企業の社風や個性など結構滲み出てくるものだ。この経験を重ねて行けば、よいパートナー企業を発掘できるとともに、内容の濃い取引先情報を蓄積できる。

・製品の評価
最たる事例はβリリース文化の先駆者マイクロソフトだろう。Windows シリーズの製品リリース前に世界中の好奇心のある人々に使ってもらい、不具合の発見や、仕様に対する不満をどんどん受け付ける。この内容をフィードバックさせて製品のクオリティを高めていった。

クラウドソーシングの成功事例として、必ずあげられるのが DELL の「Ideastream」である。Ideastream では、主として DELL のパソコンを使用しているユーザーが、製品の改善提案をどんどん書き込んでいく。

企業内コミュニティではこれらの意見を集約し、社員が常に顧客の意見を確認できるように掲示する。また、利用者とのコミュニケーションを通じて Q&A のシミュレーションや FAQ 作りに役立てることも可能だ。

販売前から顧客の反応が予測できれば、マーケティング戦略もかなり俊敏な調整が可能になるし、ユーザーサポートに飛び込んでくる問い合わせ内容も予想がつく。同時に社員と利用者のコミュニケーションの場としても貴重だ。

Ideastream でも社員の Blog が掲載されたり、アイディアに対して社員がコメントをつけたりする。利用者が企業に親近感をもってもらう効果や、アイディアを提案するインセンティブにもなっている。もちろん、情報統制がしっかり担保されるとともに、応対する社員が言っていいこと悪いこと、開示してよいこと悪いことの判断基準をしっかりもって対応することが必要だ。

社員とクラウドが直接対話し、その応対内容によって変化するクラウドの心理が理解できれば、ネットで炎上を抑制できる術も学べることだろう。

【当コラム執筆は、Looops Communications 取締役副社長の福田浩至が担当しています】

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