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Webマーケティング2009年2月9日 10:00

マーケティングの定義が変わってしまった!

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事業の原点は「商い」だ。では、江戸時代の三河屋さんの「商い」にとって「マーケティング」とはなんだったんだろう?マーケンティングの概念は時代とともに変化する。それを理解するために、小売業を具体例としてみよう。表1は、小売業におけるマーケティングモデルの変遷を表したものである。

表1:小売業におけるマーケティング・モデルの進化
出展元:執筆者作成
*クリックして拡大

元来、商いは、売る人と買う人の顔が見え、信頼関係が構築されている中で行われていた。三河屋さんで「旦那さんが好きそうな良いものが入ったから、買っていきなよ。絶対旨いから旦那さん喜ぶよ〜」、「あら本当、じゃあ頂こうかしら」といった対話の中で行われるものであった。

高度経済成長時代となり、いかに効率的に大量販売するかを競うようになった。ダイエーなどの量販店全盛時代である。「お店」は顔の見えない「販売店」になり、「お得意さん」も十把一絡げの「消費者」になった。「100人1色」の大衆社会だが、モノ不足の時はそれでも良かった。

やがて分衆化社会となりモノが余る時代になると、やみくもな大量販売では顧客満足は得られないようになり、商品、価格、流通、販促の「4P」理論が導入され始めた。こうした中でセブン-イレブン・ジャパンなどのコンビニエンスストアが登場し、POS を導入して品揃えの最適化を進めた。

さらに、消費が成熟化し、一層の価格競争や差別化が必要とされるようになると、仕入れたものを販売するのみではなく、商品データを分析して、企画・生産から販売まで一気通貫で行なう GAP やユニクロのような SPA(製造小売業)や PB(プライベート・ブランド)が登場した。初期の SPA は、「ユニクロのフリース」のように、少品種を大量に販売する「売りさばき型」であったが、第2世代の SPA は ZARA や H&M のように多品種を高速回転させる「売り切り型」となった。

また一方で、会員カードなどによる顧客データの分析により、優良顧客の囲い込みを目指すという CRM(カスタマー・リレーション・マネジメント)も導入された。

このように小売業は、顧客満足の最大化と企業利益の向上を目指して、マーケティング・モデルを進化させてきた。しかしながら、消費の成熟化、選別が一層強まる中、従来の顕在化しているニーズを過去の販売データから分析して商品スペックや機能的価値を提供するだけでは、顧客満足を実現できなくなってきた。

生活者と関係性を構築し、その深層心理や潜在的なウォンツを理解・発見して、生活者と共に価値を創造する「次のステップ」に入ったのだ。

このような生活者と企業の関係変化をうけ、2007年秋、米国マーケティング協会(AMA)は、マーケティングの「定義」を17年ぶりに改訂した。

「マーケティングとは、個人と組織の目的を満たす交換を創造するために、アイディア・製品・サービスについての、コンセプト・価格設定・プロモーション・流通を、計画し実施する過程である」という従来の定義を次のように改訂した。

「マーケティングとは、組織とそのステークホルダー双方にとって有益となるよう、顧客に向けて価値を創造し、コミュニケーションし、届け、顧客との関係性を構築するための、組織機能とそのプロセスである」

一回読んだだけでは何がどう変わったのかがわかりにくいが、今回の改定で注目すべきは、
「アイディア・製品・サービス」が「価値」に、「交換を創造」が「価値を創造」に、「個人」が「顧客」および「ステークホルダー」に代わり、「顧客との関係性を構築」という言葉が新たに登場したことである。

<表2>は、「マーケティングの神様」のフィリップ・コトラー教授が、過去40年間のマーケティングの変遷を振り返ったものである。

表2:過去40年間のマーケティングの変遷
出展元:日経ビジネスマネジメント別冊 2008.12
記事に基づき、執筆者作成

*クリックして拡大

コトラー教授は、マーケティングが「販売」と同義だった第1ステージから、「4P」などのマーケティング理論導入の第2ステージ、顧客満足を最大化する長期的関係構築「CRM」の第3ステージを経て、企業が顧客とともに製品やサービスを創造する「顧客との共創」の第4ステージに進んでいるとし、次のように述べている。

「モノローグ(一人芝居)ではダメ。双方向のインターネットの登場によって、そういう時代は終わりを告げました。(中略)現代のマーケティングは、どれだけ顧客の深層心理に迫れるかの勝負です」

そして、不況期こそ好機到来と鼓舞し、次のように叱咤激励している。

「世界同時不況の荒波を乗り越えて生き残ることができるかどうかは、各企業のマーケティング力にかっかています。厳しいけれども、面白い時代になってきました」 (日経ビジネスマネジメント別冊 2008.12)

20世紀を支配した資本主義はマクロ面からもミクロ面からも見直しを迫られている。企業から生活者にパワーがシフトし、マーケティングの世界にも変革が訪れるている。短期的なマネーゲームの時代が終わり、本質的な生活者参加型マーケティングの時代が始まろうとしている。


執筆:株式会社ワールド・カフェ 代表取締役 笠原 造
監修:株式会社ループス・コミュニケーションズ 代表取締役 斉藤 徹

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