![]() ![]() ![]() ![]() 驚異的なV字回復を果たした無印良品の秘密【続編】この記事のURLhttp://japan.internet.com/wmnews/20090316/8.html
著者:株式会社ワールド・カフェ 代表取締役 笠原 造
国内internet.com発の記事
■このご時世でも売れる「巣ごもり」、「節約」そして「新市場を開拓する新商品」
日本を代表するトヨタ自動車、ソニーなどが巨額の赤字に陥り、リストラを余儀なくされるような、このご時世においても好調に売れている商品がある。ネットブック、ユニクロ、ニトリ、Wii、カップめん等である。 また、100年に1度の金融危機の震源地アメリカにおいても、ネットブック、テレビゲーム、スマートフォン、パーソナルケア商品、ブロック玩具などが売れ続けている(フォーブス)。これらに共通するのは、「巣ごもり」、「節約」そして「新市場を開拓する新商品」ということだ。 前回のコラムで、2000年頃から、無印良品が低価格商品化開発でユニクロやダイソーなどに追い抜かれ、その存在意義を原点から問われる事態に陥ったということを述べた。その急激な凋落からV字回復した最大の打ち手が「新市場を開拓する新商品」の開発である。 ■「わけあって安い」だけではない「なるほど無印良品」 素材、工程、包装などを省略することで「わけあって安い」ことが顧客に支持されていた無印良品であったが、競合が矢継ぎ早に低価格商品を繰り出す中で、「シンプル」なことに安住し商品そのものの差別化が不足していたため、顧客ニーズとのギャップが急速に大きくなっていた。 危機に直面した無印良品は、従来のコンセプトの幅を拡げ、「機能を絞り込む」だけから「新機能を開拓する」商品開発へのシフトを余儀なくされた。生活者視点で、ありそうでなかった新機能のある「なるほど無印良品」を生み出す新たな商品開発が急務となったのである。 この新たな商品開発手法のヒントになったのが、多くの顧客から寄せられていた声であった。当時、9万件もの顧客の声が、はがき、メール、電話や店舗を通じて集積されていたが、ほとんどが未利用のままだったのである。こうした顧客の智恵を活用し、顧客に直接、開発プロセスに参加してもらうことで、従来とは一味違う顧客視点の商品を生み出そうと考えたのだ。 ■「みんなの声からのモノづくり家具・家電」プロジェクト 2001年9月25日、インターネットを活用し顧客と「声のキャッチボール」をしながら商品開発を行なう「モノづくりコミュニティ」を開設し、「みんなの声からのモノづくり家具・家電」プロジェクトが始動した。 同プロジェクトで最も高い売上を実現した「体にフィットするソファ」をケーススタディとして、顧客参加型の開発手法をみてみよう。 「体にフィットするソファ」は、一見、大型クッションのようだが、帆布素材を上にする縦置きと、ストレッチ素材を上にする横置きの2通りの使い方がある。縦置きで座ると、ソファ全体が広がって全身を包みこみ、横置きで座ると、体が適度に支えられ思いのままの姿勢でくつろげるという優れものだ。 ■「体にフィットするソファ」の開発ステップ 「体にフィットするソファ」の開発ステップは次のようなものであった。 (1)ものづくりコミュニティへの参加登録と掲示板への書込み プロジェクトに参加する顧客は、メンバー登録をし、掲示板に書き込みを行なう。 (2)商品開発テーマの抽出 顧客の書込みから、キラリと光るアイディアを開発テーマとして抽出する。最終的に「すわる生活」というテーマか選定され、ネットで発表された。 (3)テーマにそった商品アイディアの投稿から商品コンセプトを決定 「すわる生活」というテーマについて、さまざまな商品アイディアを顧客に自由に投稿してもらう。その内容を吟味し、商品コンセプト候補(「体をあずける大型クッション」、「背もたれしっかりのフロアーソファ」、「寝ころびながらリラックスできるクッションマット」など)を決定した。 (4)商品コンセプトに投票 顧客の智恵の集約である複数の顧客コンセプトに対して、顧客が投票する。ここでトップになったのが「体をあずける大型クッション」であった。 (5)デザイン案の作成と投票による選定 一番人気「体をあずける大型クッション」のデザイン案を数点作成し、また顧客投票を行う。 (6)商品スペックの確定とサンプル作成 一番人気のデザイン案に対して、素材、サイズなどの仕様の詳細を決定し、サンプルを作成(6種類)する。さらに販売価格や商品化ロットなどを確定していく。 (7)購入予約→商品を決定 → 販売開始 確定された商品案に対して購入予約を募り、その数が予定ロットを超えた場合にはじめて商品化が決定する。商品は購入予定者への販売完了後、ネットに加えて、実店舗での販売も開始される。 (8)商品レビュー募集と改善 販売後、購入者からのコメントを募集し、その情報を商品の修正・改善や新規開発に継続的に反映させていく。 ■大ヒット、ロングセラー商品に このような顧客との共創プロセスを経て開発された「体にフィットするソファ」は、発売後1年半で6万2,288個、10億5,900万円を売り上げることになる。この商品は非常に息が長く、現在でも年商8億円、生活雑貨部門全体の売上高第5位の大ロングセラーとなった。 「みんなの声からモノづくり家具・家電」プロジェクトからは、「体にフィットするソファ」以外にも、「持ち運びのできるあかり」、「壁棚」など、次々とヒット作が生み出された。生活者ならではの視点によるアイディアと無印良品の商品開発力が結びついて、従来、既存市場になかった「新市場を開拓する新商品」が生み出されたのである。 このプロジェクトにおいて、(1)実際の顧客が真剣に参加するコミュニティの構築、(2)信頼できるコメントからのテーマの抽出、(3)顧客からのアイディアの募集、(4)人気投票によるスクリーニング、(5)購入予約による販売予測、(6)顧客レビューの活用といった「集合知の活用」のノウハウが確立されていく。 無印良品は、「モノづくりコミュニティ」をより本格的に運営、活用することにより、生活者の力を活かして商品力を復活させ、V字回復を確かなものにすることができたのである。 【参考文献】 ・論文「ユーザー起動法とブランド・コミュニティ:良品計画の事例」(2005年 神戸大学 小川進氏) ・論文「消費者参加型のクリック&モルタル・ビジネスモデル -ムジ・ネットを手がかりに-」(2003年 神戸大学 西川英彦氏) 執筆:株式会社ワールド・カフェ 代表取締役 笠原 造 監修:株式会社ループス・コミュニケーションズ 代表取締役 斉藤 徹
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