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2009年3月30日 12:00
急成長の秘密は、「体験」と「コミュニケーション」のデザイン。映画ファンのための巨大 SNS“Flixster”■もうひとつのキーワード「体験」
前回のコラムで、“Flixster”が映画ファンのための専門特化型 SNS であるにもかかわらず、急成長して巨大サイトとなったことを述べた。 その理由として、「もうくだらない映画を見て失敗したくない」という映画ファンのインサイト(深層心理の願望)を的確に捉え、その実現をサポートするための豊富なコンテンツを揃えていること。また、自分と同じような趣味嗜好の映画ファンを見つけ出したり、評価者と自分の趣味嗜好の近似度を測れる指標があることを挙げた。 映画ファンのための「情報」と「交流」のコンテンツが豊富で、その質も非常に高い“Flixster”だが、それだけでは、これほどの急成長をすることはできなかったであろう。もうひとつの重要なキーワードがある。 それは「体験」ということだ。 ■コミュニティで映画を見ながら簡単にチャットを楽しめる Flixster は、YouTube や HULU の動画サイトを利用して、映画のビデオクリップを見ることができる。そして、“Chat while you watch”という機能を利用して、友人をオンラインで招待して一緒に見たり、見ている間にチャットを楽しむこともできる。 2008年10月には、任意の Web サイトにインスタントメッセージ風のチャット機能を付加する“Meebo Community IM”を導入し、Flixster のコンテンツを楽しみながら、気軽にチャットを楽しめるようにした。
また、Twitter も使えるようになっており、映画を見ながら「つぶやく」体験もできる。 映画の情報をチェックする、友人を招く、映画について話し合う、「ちょっと見てみようか?」と PC でビデオクリップを見る、ビデオクリップを見ながら友人とのおしゃべりを楽しむ、というように、あたかもリアルで映画好きの友人を家に招いて楽しんでいるかのような体験をできるわけだ。 動画を見ながら画面上でコメントを書き込んで「コミュニケーション」することによって、インターネット上で「感情」を共有することができるニコニコ動画は、登録者数1,165万人(2009年3月17日現在)で、1日の PV が6,500万、ユニークユーザーが230万人と凄いことになっている。 Flixster も同様に、インターネット上で映画を見るという「体験」と「コミュニケーション」が一体となり、「感情」を共有できる場となっているということが、ユーザーにとっての価値を高め、他の映画サイトとの大きな差別化になっている。 ■iTunes のオンデマンドや iPhone アプリによる「体験」 2008年8月、Flixster は、大学2年生の Jeffrey Grossman 氏が開発した人気の iPhone アプリ、Movies.app を買収した。おそらく、iPhone アプリが買収された最初のケースとのことだ。 このアプリは、映画の予告編や、地元の映画館の上演時間、地図などを表示させることができる。Flixster はこのアプリを改良して、10万件以上の情報を蓄積している、自らの映画データベースにもアクセスできるようにした。ユーザーはレンタルショップの店頭で映画の情報をよく調べてから、DVD を借りるということができるわけだ。
このように、「情報」や「交流」のみではなく、劇場や DVD のレンタルや購入といった「体験」に繋げているが、サイト上で映画について会話したり、ビデオクリップを見たりして、映画に関心を持ったら、iTunes のオンデマンドを利用して、すぐに映画を見るという「体験」もできる。 SNS と EC が融合したサイトを「ソーシャルコマース」というが、Flixster は、SNS と EC を取って付けたように繋げるのではなく、リアルな映画ファンの行動に基づいた「情報」、「交流」、「体験」をシームレスにサポートする、極めて優れた「ソーシャルコマース」である。 ■オープン ID も利用可能で、充実するユーザーの「体験」 さらに、MySpace のオープン ID にもいち早く対応しており、ログインやプロフィール情報の共有に利用することができる。 Meebo、Twiiter、iTunes、iPhone、MySpace を利用でき、Facebook、Bebo などのアプリとしても人気の Flixster は、自社サイトを中心とするのではなく、映画ファンのユーザーを中心とした「コミュニケーション」をデザインし、映画ファンの様々なコンタクトポイントを捉え、彼等のライフスタイルにおいて、シームレスに楽しめる「体験」と「コミュニケーション」を実現している。 “Watch movies. Tell friends.” これが Flixster のコピーである。 Flixster は、この極めてシンプルなコピーを実現するために、ユーザー中心の「体験」を徹底的にサポートするべく、日々改善を継続し、最先端を走り続けているのだ。莫大なユーザー数は、決して金に糸目をつけないパワーマーケティングや特別なマジックを使って実現したわけではないのである。 執筆:株式会社ワールド・カフェ 代表取締役 笠原 造 監修:株式会社ループス・コミュニケーションズ 代表取締役 斉藤 徹 関連記事
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