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あなたの夢を実現する魔法のツール? 本当の SWOT 分析の使い方■重要だとわかっていても、意外と難しい「明確な目的を持つ」ということ
人生の成功マニュアル的な本が数多く出版されているが、そこに必ず書いてあることがある。それは、「明確なビジョンや目標を持ちなさい」ということだ。しかし、それを読んだからと言って、誰もが「明確な目標を持つ」ことができるわけではない。 プロジェクトやサイトを構築する際も、「明確な目的を持つ」ことの重要性は、多くの人が指摘していることであるが、どうやって「明確な目的を持つ」かということについては、意外と説明されていない。 前回のコラムで、mixi や GREE などの「パブリック・コミュニティ」は、会員同士がコミュニケーションする場であるのに対し、「プライベート・コミュニティ」は、自然発生的なコミュニケーションを目的とするのではないことから、マーケティングやブランディングの「明確な目的」を持つことが重要であると述べた。 生活者と対話するマーケティングを実現するための第1条「明確な目標を持つ」ということを、どのようにすればできるのかについて、日本酒の新しいマーケティングを実現している「日本酒天国.com」の事例で述べたい。 ■やっかいな「プロジェクト」をどうやって成功させるか? 新しいプロジェクトというものは、やっかいなものである。ただでさえ、既存の業務で忙しいのに、成功するかどうかわからないプロジェクトに十分な人、時間、コストなどが割かれることは稀である。往々にして、他部署からは「お手並み拝見」的に見られたり、プロジェクトを担当する本人達も「実験だから」的な逃げ道を作りがちだ。 しかし、「プロジェクトX」の例を思い起こせばすぐわかることだが、成功するプロジェクトは、必ずプロジェクトの「必然性」と担当者の熱い「想い」があり、それを理解して一丸となったチームや周りの協力があって、はじめて実現するものである。 これは、たとえプロジェクトの推進者が経営トップであっても同じことだ。プロジェクトの成功は、チームビルディング無しにはありえない。「想い」がひとりよがりと思われることなく、「社長がやれと言っているから」ではなく「必然性」を周りにも理解してもらって進めるには、一見遠回りだが、企業としての「ミッション」や経営方針に基づいた、プロジェクトの「グランドデザイン」を描くことが不可欠だ。 プロジェクトというものは、スタートしてからも横やりや揺り戻しなどがあることが多い。そのような時でも、「ミッション」や経営方針と合致した「グランドデザイン」を「錦の御旗」にし、羅針盤とすれば、本質的にはぶれない。 また、プロジェクトは、絶えず、「品質」と「投下資源」と「期限」の狭間で判断に苦しむものだが、そのような時も、この「グランドデザイン」があれば、緊急度と重要度において優先順位をつけて、トレードオフや解決策を生み出すことができるだろう。 ■本当の「SWOT 分析」の使い方は? 「グランドデザイン」について、「日本酒天国.com」のケーススタディで見てみよう。 「日本酒天国.com」を運営している「日本名門酒会」のスローガンは「良き酒を佳き人に」である。「日本酒を通じて、人々の生活に潤を与え心を豊かにする『生活と文化』を提案する」ということが「ミッション」だ。「日本酒の新しい需要を作り出し、お客様に日本のお酒の多彩さと旨さ、そして、楽しさ、すばらしさをお伝えする」ということが方針である。 「日本酒天国.com」は、顔が見えにくくなっている顧客の声を「見える化」して、新たなマーケティングを行なうために企画されたものだが、より具体的に、どんな顧客の、どのような声を「見える化」して、どのように活用するかということを明確にしなければならない。「ミッション」や「想い」をより具体的な「グランドデザイン」に落とし込むことが必要となったのである。 そのために、ツールとして、経営戦略やマーケティング戦略を構築する際に利用されることが多い「SWOT 分析」を利用した。「SWOT 分析」については、ご存知の方も多いので、詳しい説明は割愛するが、戦略を構築するために、自社の内部および自社を取り巻く外部の環境分析を行なうものだ。 「強み」(Strength)、「弱み」(Weakness)、「機会」(Opportunity)、「脅威」(Threat)を、マトリックスとして整理するもので、その頭文字を取って SWOT 分析という。しかし、SWOT 分析は、一般的な業界の環境について、ただ並べただけのものであることが多い。SWOT 分析をすること自体が目的化してしまっていることもある。 SWOT 分析をする際に、最も大切なことは、「何を実現するための環境分析か?」ということである。つまり単なる一般的な現状認識ではなく、「想い」や意志を持って、それを実現するにあたっての「強み」「弱み」「機会」「脅威」を再認識する SWOT 分析を行なわなければ、意味が無いのである。 下図のように、「想い」を実現するにあたっての内部環境として、「強み」は、『今後、さらに強化すべき強み』、「弱み」は、『今後、改善、改革すべき弱み』であり、外部環境として、「機会」は、『打ち手によって、成長を実現できそうな機会』、「脅威」は、『打ち手を打たないと、問題になりそうな脅威』を整理するのである。 ■あなたの人生にも活用できる「SWOT 分析」 「日本酒天国.com」が、「日本酒の新しい需要を作り出し、お客様に日本のお酒の多彩さと旨さ、そして、楽しさ、すばらしさをお伝えする」という「想い」を実現するために行なった SWOT 分析は下図のようなものだ。 この表を見ていただければ気づかれると思うが、「強み」と「弱み」、「機会」と「脅威」は表裏一体であることが多い。例えば顧客層の変化は、「脅威」としては、「従来のコアユーザーである60代以上層の消費減」として捉えられるが、一方で「機会」として「新しい日本酒ファン層(女性、40〜50代)の兆し」と捉えることもできる。 そして、このようなマトリックスで整理した SWOT 分析をじっくり見て、「機会」や「強み」を活かし、「脅威」や「弱み」が大きな問題とならないような重点課題と戦略を考えるのだ。 「日本酒天国.com」においては、次のような課題と戦略を構築した。 <重点課題> ・新しい日本酒ファン層の開拓と定着化 ・新しい需要の開発と定着化 ・新商品の開発と定着化 ・酒販店における顧客接点の拡大 <戦略> ・消費構造の変化をチャンスとして捉える 日本酒の5W1H(誰が、いつ、どこで、何のために、何を、どのように飲む)が従来と違ってきているが、この変化をチャンスとして捉え、需要開発、商品開発、販促、販売を革新する ・購買行動・流通構造の変化をチャンスとして捉える 専門店としてきめ細かいライフスタイル提案をして、他との差別化を明確にする ・顧客参加のプラットフォームをつくり「対話マーケティング」を展開する 蔵元、名門酒会本部、卸、酒販店の全員が参加して顧客と対話するプラットフォームをつくり、マーケティングの仮設・実践・検証・修正サイクルを構築、リアルイベントとも連動して、日本酒ファンの輪を広げる ・ライフスタイルとしての楽しみ方を顧客とともに作り、拡げる 顧客の声を「見える化」し、新商品やテーマの開発、イベント、スクールなどを実施し、新しく多彩な日本酒の楽しみ方を顧客とともに作り、拡げていく これが、「想い」を実現するために、SWOT 分析を活用して構築した「グランドデザイン」である。 夢を実現するためには、「想い」の再確認と正しい SWOT 分析を活用した「グランドデザイン」は欠くことができないだろう。企業のプロジェクトのみではなく、個人の人生を考える際にも、自分の SWOT 分析を活用されては如何だろうか? 執筆:株式会社ワールド・カフェ 代表取締役 笠原 造 監修:株式会社ループス・コミュニケーションズ 代表取締役 斉藤 徹 関連記事
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