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マーケティング2009年7月27日 11:30
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顧客の無意識を解き明かす「ペルソナ」の作り方

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著者:株式会社ワールド・カフェ 代表取締役 笠原 造
国内internet.com発の記事
■「ペルソナ」とは何か?
前々回のコラムで、生活者と対話するマーケティングを実現するための第1条として「企業としての明確な目標を持つ」ということを述べた。

目的や戦略が不明確なプロジェクトは必ず失敗する。もうひとつの絶対に必要なこととして、今回は第2条「顧客の深層心理や潜在的な欲求を理解する」ということについて述べたい。

近年、マーケティングにおいて「ペルソナ」という手法が注目されている。「ペルソナ」という言葉は、元来古典劇において役者が用いた仮面のことだが、心理学者のユングが人間の外的側面をペルソナと呼んだことに由来し、マーケティングにおいては、「企業が提供する製品・サービスのもっとも重要で象徴的なユーザーモデル」の意味で使われるようになった。

「ペルソナ」は、年齢・性別などの定量的なデータだけではなく,その人の生い立ちから現在までの様子、人生のゴール、ライフスタイル、消費行動や情報収集行動などの定性的データを含めて、あたかも実在するかのような人物像をつくるものだ。

下表は、「日本酒天国.com」のサイトを構築する際に作ったペルソナの例である。

ペルソナの例(執筆者作成)
ペルソナの例(執筆者作成)
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■顧客より顧客のことを理解する「ペルソナ」
ハーバード・ビジネススクールのジェラルド・ザルトマン教授は、著書「心脳マーケティング 顧客の無意識を解き明かす」において、顧客調査とマーケティングに莫大な時間と費用が投じられているにもかかわらず、新製品の約8割が6か月以内に姿を消すか、収益予測を大きく下回る結果になっていると指摘する。

「心脳マーケティング  顧客の無意識を解き明かす」(ジェラルド・ザルトマン著、ダイヤモンド社)
「心脳マーケティング 顧客の無意識を解き明かす」
(ジェラルド・ザルトマン著、ダイヤモンド社)

これは「消費者が自分たちの世界について体験し考えていることと、その情報を集めるためにマーケティング担当者が使う手法とのあいだに大きなずれが存在している」ためとし、従来の市場調査やマーケティング活動の6つの誤りとして、以下のことをあげている。

(1)消費者の思考プロセスは筋の通った合理的なものである
(2)消費者は自らの思考プロセスと行動を容易に説明することができる
(3)消費者の心・脳・体、そしてそれを取り巻く文化や社会は、個々に 独立した事象として調査することが可能である
(4)消費者の記憶には彼らの経験が正確に表れる
(5)生活者は言葉で考える
(6)企業から生活者にメッセージを送りさえすれば、マーケッタの思うままに、これらのメッセージを解釈してくれる

私たち人間の脳は5%の意識的活動と、95%の無意識的活動に分かれるとし、消費行動も、意識よりも無意識が持つ領域が大きいため、一般的な定量調査やフォーカスグループインタビューで表面的な質問や誘導的な質問を用いても、5%の意識的活動の調査をしているに過ぎず、間違った認識と結論を持ってしまうと警笛を鳴らしている。

「顧客の深層心理や潜在的な欲求を理解する」ためには、顧客自身も気づいていない無意識を解き明かし、顧客より顧客のことを理解する必要があるのだ。そのための手法として、「ペルソナ」は最も有効なものと言えるだろう。

■誰も知らなかった「ペルソナ」の作り方
では、どうやって、ペルソナを作れば良いのだろか?日本においては、言葉やコンセプトが先行している感があり、まだ実際に作って、活用している例は少ないようだ。

ペルソナを作ることを「ペルソナデザイン」と言うが、その一般的なプロセスは以下のようなものである。

(1)セグメンテーション
POS や CRM などの販売データや過去のマーケティング調査結果をもとに、ターゲットのセグメントテーションをして、最も重要なコアターゲットを選び出し、「ペルソナ仮説」を策定する。

(2)デプスインタビュー
「ペルソナ仮説」に基づいて、コアターゲットの顧客自身が自覚していないニーズ・深層心理を明らかにするためにデプスインタビュー(1対1で時間をかけて話しながら行なう深層面接で、 対象者の購買行動や購買欲求など、個人属性も含めて明らかにする方法)を実施する。

(3)グルーピング
複数のインタビュー結果から、ターゲットの行動や発言の「事実」のグループ分けをして、共通パターンを見つけ出す。

(4)ストーリー化
生い立ちから現在までの様子、人生のゴール、ライフスタイル、消費行動や情報収集行動などの内容について物語調で記述する。

■ペルソナ作りの問題点
しかし、ここでいくつか問題がある。

ひとつは、セグメンテーションだ。単なる結果としての購買データによる顧客属性で、「30代主婦」、「40代ビジネスマン」などのようなセグメントをしても意味が無い。

深層心理や潜在的欲求、企業やブランドに対するロイヤリティなどを含めてセグメンテーションをしなければ、ザルトマン教授の指摘する「6つの誤り」に陥ってしまう。そして、この「ペルソナ仮説」が間違うと、その後のすべてが無駄になる取り返しのつかない失敗となってしまうのだ。

2番目の問題は、デプスインタビューの内容だ。デプスインタビューは、多くの対象者に実施し定量的な分析をするものではなく、通常10人程度に絞り込み、じっくりと深層心理を引き出すものである。限られた人数と時間の制約の中で、どのようにポイントを抑えて、適格な質問をするかが勝負所となる。

そして、実際に「ペルソナ」を作る時の現場の最大の問題点は、「ペルソナ」の納得感を上司や他部署にいかに共有してもらうかということだ。そもそも「ペルソナ」は、定性的なものであるし、インタビューも10人位と数が限られているので、担当者の思い込みや恣意的な意図で作ったのでないかと疑われかねない。

「ペルソナ」を作る目的の1つが、プロジェクトメンバー全員の目線合わせにあるので、この納得感の欠如は致命傷になってしまう。

■クチコミの「見える化」によって「ペルソナ仮説」をつくる
これらの問題点を解決して適格な「ペルソナ」をつくるために、ネット上のクチコミ(Blog や SNS 等での会話)を収集してテキストマイニングを実施することをお薦めする。

クチコミの「見える化」によって、定性的な情報を収集して、「ペルソナ仮説」を立て、デプスインタビューのポイントを決めるとともに、「ペルソナ仮説」をつくるプロセスをプロジェクトメンバー全員と共有することができるのだ。

日本は世界一の Blog 大国である。自社や競合他社のブランドや商品についてのクチコミがネット上に溢れているのだ。これを利用しない手は無い。ネット上のクチコミを活用すれば、多くの普通の人の普段の生活の本音を短期間、低コストで収集することができる。また、テキストマイニングシステムを利用すれば、膨大なクチコミ情報を瞬時に「見える化」して、分析、活用することができる。

下表は、「日本酒天国.com」のペルソナを作る際に利用した「日本酒」に関する Blog のプロフィールを分析したものである。

「日本酒」に関わる Blog のプロフィール分析(「見える化エンジン」を利用して執筆者作成)
「日本酒」に関わる Blog のプロフィール分析
(「見える化エンジン」を利用して執筆者作成)

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従来、日本酒の主要ターゲットは50代以上の男性であったが、ネット上では、20〜30代の女性が興味を持ち、日本酒に関する Blog を多く書いているということがわかる。実は、試飲会などのイベント時もこの層の女性が多いという事実とも一致している。こうしたことから、新しい日本酒ファンを開拓する上での「ペルソナ」候補として20〜30代の女性に注目した。

次回、「ペルソナ」作りの詳細について、具体的な事例で、ご紹介することにしたい。


執筆:株式会社ワールド・カフェ 代表取締役 笠原 造
監修:株式会社ループス・コミュニケーションズ 代表取締役 斉藤 徹
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