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2009年11月9日 13:30

「セブンプレミアム」が顧客の声を商品開発に活用するために考えたこと

■先進的な「プレミアムライフ向上委員会」の取組み
10月16日にグランドオープンした、セブン&アイ・ホールディングスが展開する PB「セブンプレミアム」の顧客参加型商品開発コミュニティ「プレミアムライフ向上委員会」は、会員数を順調に伸ばして早くも1万人に近づいており(11月8日 現在8,700名)、既存商品の改善や新商品アイディアなどの会員の投稿も多く寄せられている(11月8日現在1,537件)。

顧客の声をマーケティングに活用するためのサイトは、P&G、ユニリーバ、DELL など海外の企業では本格化しているが、日本企業ではまだ事例はそれほど多くない。そうした中で、同サイトは、セブン&アイ・ホールディングスという日本を代表する企業における先進的な取組みということができるだろう。

前回のコラムで、同サイトのペルソナについて述べたが、今回のコラムでは、ペルソナを具体的にどのように活用したかということについて述べたい。

■顧客参加型サイトが成立するには?
顧客参加型の企業サイトのすべてが成功しているわけではない。中にはウォールマートのように Flog(Fake Blog:やらせブログ)が発覚してサイトが閉鎖になるというケースもあるが、最も多い失敗は、顧客参加型サイトにおいて致命的な集客や活性化が十分でないということである。

顧客参加型サイトであるにもかかわらず、肝心な顧客のインセンティブ設計が十分に検討されていないということが意外と多いのだ。

もちろん企業にとっては市場調査や商品開発、販売促進などのマーケティングの目的があって行なうものであるが、顧客にとって、サイトに参加し、利用し続ける明確な目的がなければ顧客参加型サイトは絶対に成立しない。

顧客参加型サイトにおける企業と顧客の期待(執筆者作成)
顧客参加型サイトにおける企業と顧客の期待(執筆者作成)
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■「顧客の視点」を具体化する
顧客のインセンティブを設計するために、最も重要なことは「顧客の視点」で考えるということである。そのために「ペルソナ」を作るのであり、「ペルソナ」を作ることが目的ではなく、「ペルソナ」をどのように活用するかということが重要だ。

「ペルソナ」の利用による「顧客の視点」の具体化は、次のような方法で行なう。

(1)「ペルソナ」のこころのスイッチである「インサイト」を発見し、ニーズを理解する
(2)「ペルソナ」に対して提供する価値を明確にする
(3)「ペルソナ」が価値を知って理解し、体験し、共有する「シナリオ」をつくる
(4)「ペルソナ」にとって価値のあるデザイン、ユーザビリティ、コンテンツ、機能を構築する

■「インサイト」を発見しニーズを理解する
「プレミアムライフ向上委員会」は、ペルソナとして、(1)30代前半のビジネスマン、(2)30代半ばの子育てママ、(3)40代前半のスーパー主婦、(4)50代のマイペース主婦という4人を作った。

いずれの層においても、単に価格が安いから仕方なく PB を購入しているのではなく、価格と品質のバランスや安全性において PB を積極的に評価して購入し活用するという賢い生活スタイルを志向していることがわかった。

顧客にとっての目的は、自分達にとって、より良い「セブンプレミアム」が開発され、上手に利用できるようになることによって、自分達の生活が向上することなのである。ライフステージやライフスタイルは異なるものの、毎日の生活を向上させたいという共通のインサイトに基づいて PB を利用しているのだ。

しかしながら、何が、より良い「セブンプレミアム」なのかというニーズについては、ビジネスマンにとっては「健康」、子育てママにとっては「安全安心」、忙しいスーパー主婦にとっては「手軽で便利」、シニアにとっては「ちょうど良い量」といったように、ペルソナによる違いが見られた。

そこで、ペルソナに基づいて、「学生ライフ」、「自由人ライフ」、「OL ライフ」、「キャリアウーマンライフ」、「ビジネスマンライフ」、「子育てママライフ」、「スーパー主婦ライフ」、「マイペース奥様ライフ」、「アクティブシニアライフ」というチームをつくり、いずれかのチームメンバーとして参加してもらい、それぞれの「プレミアムライフ」の向上を目指せるようにしたのである。

「プレミアムライフ向上委員会」の会員登録画面
「プレミアムライフ向上委員会」の会員登録画面
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■提供する価値を明確化する
次に、より良い「セブンプレミアム」が開発され、上手に利用できるようになるためには、顧客参加型サイトとしてどのような価値を提供すれば良いのかを明確にする必要がある。

「プレミアムライフ向上委員会」では、次のような価値を提供することにした。

(1)様々な最新情報を知ることができる
(2)実際に使用した顧客の評価や使用方法を知ることができる
(3)既存商品についての意見や要望を知らせることができる
(4)新商品についてのアイディアを知らせることができる
(5)他の顧客が自分の意見をどのように思っているかを知ることができる
(6)セブン&ホールディングスと直接コミュニケーションすることができる
(7)商品開発のプロセスに参加することができる

このような情報提供、情報発信・交流、価値創造などの価値を顧客にどのように提供し、顧客にどのようになって欲しいかという「シナリオ」と、その「シナリオ」を実現する機能やコンテンツについては、次回説明することにしたい。


執筆:株式会社ワールド・カフェ 代表取締役 笠原 造
監修:株式会社ループス・コミュニケーションズ 代表取締役 斉藤 徹

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