![]() ![]() ![]() ![]() 「Microsoft Office 2010」のマーケティング戦略とは?【パート1】―サイコス青葉氏が訊くこの記事のURLhttp://japan.internet.com/wmnews/20100705/5.html
著者:japan.internet.com 編集部
国内internet.com発の記事
2010年6月17日、待望の「Microsoft Office 2010」が一般向けに発売となった。マイクロソフト在籍時にはトップセールスの記録を持ち、マーケティング部のプロダクトマネージャだった青葉哲郎氏(サイコス株式会社)とともに、通常聞くことのできない「Microsoft Office 2010」のマーケティング戦略についてお話をうかがった。本日から3日連続でその内容を紹介しよう。
答えてくださったのは、マイクロソフト株式会社 インフォメーションワーカービジネス本部 業務執行役員 本部長(役職は取材当時。7月1日より業務執行役員 コミュニケーションズ・セクター担当)の横井伸好氏。青葉氏とは、マイクロソフトで一緒に働いていたこともある15年来の旧知の仲だ。
まず青葉氏は、今や個人にも法人にも市場に浸透し、成熟期に入っている Office 製品に関して、今回のマーケティング戦略や手法は、非常にチャレンジングで興味深いものだと話す。青葉氏が注目しているのは以下の3点。 1.大胆なフリー戦略(今回 Office 2010のリリースに合わせ「Office Web Apps」「Office IME 2010」は無料公開された) 2.一部の製品を約30%以上値下げ(基幹商品であるにもかかわらず大幅値下げをするのはかなり珍しい) 3.顧客志向の製品づくり(この規模の製品マーケティングは、様々な顧客と要望が存在するため非常に難しい) 巨大企業であるマイクロソフトが、どのようにしてマーケティング戦略を立案し実行するか、尋ねてみた。 横井氏によると、Office の開発チームは5,000人、ワールドワイドでの研究開発予算は約1兆円(年間95億ドル2009年度、Office製品に限らず、マイクロソフトの総研究開発予算)にも上る。黎明期のバージョンから開発に携わってきたエンジニア「オフィスの匠」も多数、Office 2010 の開発に参加しているという。 青葉氏「今回の Office 2010 は、無料化戦略や大幅な値下げなどマーケティング上、注目する点があります。今のマイクロソフトにとって、今回の Office 2010はどのような位置づけなのですか?また、マーケティング戦略上のチャレンジについても、お話をうかがわせてください」 横井氏「膨大なユーザーを持つ Office はもはや単なる製品ではなく、パソコンを利用する全ての人にとっての大きなインフラです。そこには膨大なユーザーにその価値を提供し続ける社会的責任があり、その上でユーザーに新しいエクスペリエンスを提供できるかが製品開発上の大きな課題なのです」 青葉氏の話す「マーケティング上の大きなチャレンジ」に対して、横井氏は Microsoft Office は世界で5億人、日本では数千万人が使っているソフトウェアであるため「イノベーションを続けるとともに、資産継承や互換性を維持すること、そのバランスの見極めが非常に重要だ」と話す。 つまり、過去のOffice シリーズで作成された文書はバーションアップで閲覧・編集できなくなるという事態は許されず、再現性も含めてユーザーのパソコンに眠る膨大な Office ドキュメントは全て新しい Office でも利用できなくてはならない。 しかし、資産を守るだけではバージョンアップをする動機にはならない。そこで、新しい使いやすさや革新的な機能を盛り込み、しかも過去のバーションを利用している5億人のユーザーにも違和感なく受け入れてもらわなくてはならないのだ。 「大きなユーザビリティの変化はユーザーの反発を招き、保守的になると生産性向上を犠牲にしてしまうし、ユーザーの関心を引けない」(横井氏)そのジレンマは相当なものだろう。 そのひとつの事例が前バージョンの Office 2007 で実装された新 UI(ユーザーインターフェイス)の「リボン」だ。メニューバーの大幅な UI 変更にとまどったユーザーもいたそうだが、Office 2010 ではその「リボン」を更に使いやすくし、あまり使われていなかった「Office ボタン」を廃止、「ファイル」メニューをあえて復活させるなど、Office 2003 以前のバージョンのユーザーが直感的に操作できる UI を意識したそうだ。 ● どの環境でも、自分が作ったドキュメントが開けるように 今回、Office 2010 がもたらすイノベーションのひとつは「リッチクライアント版の Office をブラウザやスマートフォンでも動くように」すること。つまり、どのような環境においても Office 文書を自在に扱えるようにすることだ。 そのひとつの答えとして、マイクロソフトは「Office Web Apps」を発表し、機能に違いはあるとはいえ、ドル箱商品である Office 製品の無償化・クラウド化を実現した。「これをやらないとリッチクライアントは生きてこない」(横井氏)。つまり、Web Apps は Office 製品を通じて提供されるエクスペリエンスのひとつにすぎず、PC(リッチクライアント)、クラウド、モバイルが連動して、いつ、どこにいても同じ文書にアクセスできることがこれからの Office 製品を通じた生産性向上になくてはならないものなのだ。 また、モバイルにおいては隠れた大きな変化がある。それは、今回アップデートされた Office Mobile 2010 では、PC版 Office の開発チームが開発を担当するようになった。(従来、Windows Mobile を搭載したスマートフォンで利用できる Office Mobile は Windows Mobile のチームが開発を行っていた) これは、全世界のOffice ユーザーのフィードバックを元に開発を行っている Office チームがそのノウハウを元にブラウザ版・モバイル版それぞれに合せてユーザビリティを最適化することができ、フィードバックも集約できるなどの利点がある。そしてユーザーがよりシームレスに Office 製品を活用できるようになるのだ。 次回は、マイクロソフトのプロダクトマーケティングへの考え方や、デジタルデバイスの発展によるワークスタイルの変化などについてお話を伺う。
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