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新たなクルマの楽しみを、生活者と共に創る -- 「TOYOTA SOCIAL APP AWARD」が目指したものとは
「クルマと生活者の新しい関係づくり」をテーマに2011年2月から5月まで実施したソーシャルアプリケーションの企画コンテスト『TOYOTA SOCIAL APP AWARD』。寄せられた多くのアイデアの中から生まれた2つのスマートフォン向けアプリが4月25日に公開され、1年を掛けて取り組んできたこのプロジェクトはひとつの大きな成果を挙げた。このアウォードを通じて、トヨタは生活者とどのような関係を築こうと考えたのか。アウォードの"仕掛け人"である株式会社トヨタマーケティングジャパン ネクストマーケティング担当 エグゼクティブクリエイティブディレクターの喜馬 克治氏にお話を伺った。
● クルマへの関心を高めるためには、ドライブに"繋がりと波及"が必要だ
まずは、『TOYOTA SOCIAL APP AWARD』(以下、アウォード)の開催背景について伺った。喜馬氏によると、同社はクルマの将来についての大きな課題として、"生活者のクルマへの関心低下"をどのように打破するかを考える必要性を感じていたという。「娯楽や価値観が多様化する中、ドライブの楽しみを知らない人たちに"気づき"を与え、クルマに対する関心を高めることは重要な課題だ。自動車のセールスとは完全に切り離し、生活者の"関心喚起"だけに狙いを絞った施策が必要だった」と喜馬氏は振り返る。
では、その課題を解決するものとして、なぜ"ソーシャルアプリ"なのか。喜馬氏は、「ドライブは少人数で楽しむ"個空間"が魅力だが、"人と人の繋がりと波及"をもたらすものではなかった。一方、ソーシャルコミュニケーションは、ドライブではできない "繋がりと波及"を実現し、大きな可能性を秘めている。"クルマ"と"ソーシャル"を結びつけると、どんな新しい世界が待っているのかという点に強い関心があった」と語る。つまり、ドライブの楽しみをソーシャルの中から生み出し、またその楽しみが更にソーシャルに波及する世界を思い描いたとき、その手段としてソーシャルアプリを最適なものと考えていたのだ。
また、アイデアを競い合う"アウォード"という形の企画にした点については、同社がまず"クルマの関心を高めるソーシャルアプリ"を考案して生活者に提案するという考えはなかったという。「アプリの作り方もソーシャルにしようと考えた。みんなで課題に対するアイデアを出し合い、語り合う場として"アウォード"という企画を用意した。」(喜馬氏)。つまり、企業が作ったものを一方的に生活者に提案するのではなく、生活者がアイデアの考案に参加することで、より世の中のニーズに即したものを作り出すという「企業と生活者の共創関係」を生み出そうと考えた。アウォードのスローガンとして掲げられた『SAVE THE CAR(クルマの未来を救ってください)』には、生活者と共にクルマの未来を考えていきたいという強いメッセージが込められていたのだ。
● 「ドライブを楽しんでみたい!」という気持ちを生み出す2つのアプリ
こうして実施されたアウォードには1,255件ものアイデアが寄せられ、その中から11の受賞アイデアが選ばれた。喜馬氏によると、どの受賞アイデアも生活者の"クルマに対する無関心"という状況をポジティブに分析し、"どうすれば生活者の心を掴めるか"という点に対する示唆に優れたアイデアばかりだったという。そして、受賞アイデアの中から生まれたアプリ『開運パワーロード』と『OKINAWA DRIVE LABEL』は、アウォードの課題に対してユニークかつ的確なアイデアで応えたものとなっている。また、ドライブでの利用だけでなく、日常的にどこでも楽しむことができるアプリなのが特徴だ。
『開運パワーロード』は、ドライブに「占い」「パワースポット」といった要素を取り入れた iPhone 向けドライブアプリで、ユーザーの生年月日とその日の"星の位置"から運気が上がるドライブの方角を教えてくれる「パワー方位」や、Facebook で繋がる友人の中から"その日最も運気が上がるドライブのパートナー"を選んでくれる「パワーフレンド」、ドライブデートを楽しくする「ふたりだけのパワー方位」などを提供する。
このアイデアでは、「人々は物理的なものだけではなく、スピリチュアルなものに強い関心を持つ」と分析しており、アプリではそれを「運勢」というユニークなコンセプトで具現化した。喜馬氏は中でも「パワーフレンド」という機能にこれからのクルマの楽しみ方を見ているという。「これからのクルマは、"人と人の繋がり"の中で更に楽しいものでなければならない。ドライブの相手を見つけることで運気が更に上がるという『パワーフレンド』のコンセプトは、アプリに強いソーシャル性をもたらした」(喜馬氏)。
一方、『OKINAWA DRIVE LABEL』は、沖縄民謡や沖縄出身のアーティストによる約140曲をストリーミング配信する iPhone/Android 向けアプリで、沖縄のお勧めドライブコースに合わせたプレイリストを収録しているほか、全ての収録曲の中からシャッフルで再生したり、お気に入りの曲でオリジナルのプレイリストを作ることもできる。また、ドライブコースには写真が投稿できるようになっており、沖縄の人たちが地元の良さを伝えることができるアプリでもある。
このアプリは、普段はなかなか難しい"クルマの中に地域性をもたらす"ことを実現したアプリだ。アイデアは「人々は地域との結びつきを大切にしている」という分析のもと、最もクルマ移動する可能性が高い沖縄に着目し、沖縄をドライブするときだけでなく、どこにいても沖縄を感じることができるアプリに仕上がった。喜馬氏は、既に多くの人が毎日長時間利用し、沖縄からの写真の投稿も1,000件を超えていることを紹介したうえで、「地域と地域を結びつける場が生まれ、その中でクルマ・ドライブが見直されれば。アプリを体験した人が"沖縄に行ってドライブしてみたい"という気持ちになれば最高だ」と期待を寄せた。
いずれのアプリも、公開期間は6か月という期限を設けて展開している。期限が近づけばアプリの提供終了をお知らせすることを前提に運用しているが、ユーザーからの反響が高ければ継続して提供する可能性もあるという。「ユーザーから"もっと楽しみたい"という声が多く挙がれば。生活者のアイデアから生まれたアプリなので、生活者が盛り上げ、育てて欲しい」(喜馬氏)。ちなみに、7月頃にはアウォードから第3弾となる"ヒッチハイク"をテーマにしたアプリをリリースする予定だという。
● ソーシャルは、人と人を繋げて新しい価値を生み出す力を持っている
最後に、『TOYOTA SOCIAL APP AWARD』の今後の展開について伺った。喜馬氏によると、アウォードで最も重要なカギとなったのは、アイデアを生活者と一緒に作り上げる「共創」だけでなく、アイデアを考案した生活者がアプリの開発工程にも参加し、生活者とトヨタが一緒にひとつのものを作りあげるという「共創」だという。今回生まれたアプリを多くの人々に提供しながら、様々な形でこの「企業と生活者の共創関係」を発展させていきたい考えだ。
「ソーシャルコミュニケーションは人と人を繋げて新しい価値を生み出す力を持っている。ソーシャルアプリとして新たなアイデアを形にするだけでなく、更に先には商品開発などにも還元できるスキームにしていきたい。もし技術的なイノベーションがなかったとしても、ユーザーのインサイトからイノベーションは起きると確信している」(喜馬氏)。
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| 株式会社トヨタマーケティングジャパン ネクストマーケティング担当 エグゼクティブクリエイティブディレクター 喜馬 克治氏 |
● クルマへの関心を高めるためには、ドライブに"繋がりと波及"が必要だ
まずは、『TOYOTA SOCIAL APP AWARD』(以下、アウォード)の開催背景について伺った。喜馬氏によると、同社はクルマの将来についての大きな課題として、"生活者のクルマへの関心低下"をどのように打破するかを考える必要性を感じていたという。「娯楽や価値観が多様化する中、ドライブの楽しみを知らない人たちに"気づき"を与え、クルマに対する関心を高めることは重要な課題だ。自動車のセールスとは完全に切り離し、生活者の"関心喚起"だけに狙いを絞った施策が必要だった」と喜馬氏は振り返る。
では、その課題を解決するものとして、なぜ"ソーシャルアプリ"なのか。喜馬氏は、「ドライブは少人数で楽しむ"個空間"が魅力だが、"人と人の繋がりと波及"をもたらすものではなかった。一方、ソーシャルコミュニケーションは、ドライブではできない "繋がりと波及"を実現し、大きな可能性を秘めている。"クルマ"と"ソーシャル"を結びつけると、どんな新しい世界が待っているのかという点に強い関心があった」と語る。つまり、ドライブの楽しみをソーシャルの中から生み出し、またその楽しみが更にソーシャルに波及する世界を思い描いたとき、その手段としてソーシャルアプリを最適なものと考えていたのだ。
また、アイデアを競い合う"アウォード"という形の企画にした点については、同社がまず"クルマの関心を高めるソーシャルアプリ"を考案して生活者に提案するという考えはなかったという。「アプリの作り方もソーシャルにしようと考えた。みんなで課題に対するアイデアを出し合い、語り合う場として"アウォード"という企画を用意した。」(喜馬氏)。つまり、企業が作ったものを一方的に生活者に提案するのではなく、生活者がアイデアの考案に参加することで、より世の中のニーズに即したものを作り出すという「企業と生活者の共創関係」を生み出そうと考えた。アウォードのスローガンとして掲げられた『SAVE THE CAR(クルマの未来を救ってください)』には、生活者と共にクルマの未来を考えていきたいという強いメッセージが込められていたのだ。
● 「ドライブを楽しんでみたい!」という気持ちを生み出す2つのアプリ
こうして実施されたアウォードには1,255件ものアイデアが寄せられ、その中から11の受賞アイデアが選ばれた。喜馬氏によると、どの受賞アイデアも生活者の"クルマに対する無関心"という状況をポジティブに分析し、"どうすれば生活者の心を掴めるか"という点に対する示唆に優れたアイデアばかりだったという。そして、受賞アイデアの中から生まれたアプリ『開運パワーロード』と『OKINAWA DRIVE LABEL』は、アウォードの課題に対してユニークかつ的確なアイデアで応えたものとなっている。また、ドライブでの利用だけでなく、日常的にどこでも楽しむことができるアプリなのが特徴だ。
『開運パワーロード』は、ドライブに「占い」「パワースポット」といった要素を取り入れた iPhone 向けドライブアプリで、ユーザーの生年月日とその日の"星の位置"から運気が上がるドライブの方角を教えてくれる「パワー方位」や、Facebook で繋がる友人の中から"その日最も運気が上がるドライブのパートナー"を選んでくれる「パワーフレンド」、ドライブデートを楽しくする「ふたりだけのパワー方位」などを提供する。
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| 運気の上がるドライブの方角を教えてくれる『開運パワーロード』 |
このアイデアでは、「人々は物理的なものだけではなく、スピリチュアルなものに強い関心を持つ」と分析しており、アプリではそれを「運勢」というユニークなコンセプトで具現化した。喜馬氏は中でも「パワーフレンド」という機能にこれからのクルマの楽しみ方を見ているという。「これからのクルマは、"人と人の繋がり"の中で更に楽しいものでなければならない。ドライブの相手を見つけることで運気が更に上がるという『パワーフレンド』のコンセプトは、アプリに強いソーシャル性をもたらした」(喜馬氏)。
一方、『OKINAWA DRIVE LABEL』は、沖縄民謡や沖縄出身のアーティストによる約140曲をストリーミング配信する iPhone/Android 向けアプリで、沖縄のお勧めドライブコースに合わせたプレイリストを収録しているほか、全ての収録曲の中からシャッフルで再生したり、お気に入りの曲でオリジナルのプレイリストを作ることもできる。また、ドライブコースには写真が投稿できるようになっており、沖縄の人たちが地元の良さを伝えることができるアプリでもある。
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| 沖縄音楽を約140曲ストリーミング配信する『OKINAWA DRIVE LABEL』 |
このアプリは、普段はなかなか難しい"クルマの中に地域性をもたらす"ことを実現したアプリだ。アイデアは「人々は地域との結びつきを大切にしている」という分析のもと、最もクルマ移動する可能性が高い沖縄に着目し、沖縄をドライブするときだけでなく、どこにいても沖縄を感じることができるアプリに仕上がった。喜馬氏は、既に多くの人が毎日長時間利用し、沖縄からの写真の投稿も1,000件を超えていることを紹介したうえで、「地域と地域を結びつける場が生まれ、その中でクルマ・ドライブが見直されれば。アプリを体験した人が"沖縄に行ってドライブしてみたい"という気持ちになれば最高だ」と期待を寄せた。
いずれのアプリも、公開期間は6か月という期限を設けて展開している。期限が近づけばアプリの提供終了をお知らせすることを前提に運用しているが、ユーザーからの反響が高ければ継続して提供する可能性もあるという。「ユーザーから"もっと楽しみたい"という声が多く挙がれば。生活者のアイデアから生まれたアプリなので、生活者が盛り上げ、育てて欲しい」(喜馬氏)。ちなみに、7月頃にはアウォードから第3弾となる"ヒッチハイク"をテーマにしたアプリをリリースする予定だという。
● ソーシャルは、人と人を繋げて新しい価値を生み出す力を持っている
最後に、『TOYOTA SOCIAL APP AWARD』の今後の展開について伺った。喜馬氏によると、アウォードで最も重要なカギとなったのは、アイデアを生活者と一緒に作り上げる「共創」だけでなく、アイデアを考案した生活者がアプリの開発工程にも参加し、生活者とトヨタが一緒にひとつのものを作りあげるという「共創」だという。今回生まれたアプリを多くの人々に提供しながら、様々な形でこの「企業と生活者の共創関係」を発展させていきたい考えだ。
「ソーシャルコミュニケーションは人と人を繋げて新しい価値を生み出す力を持っている。ソーシャルアプリとして新たなアイデアを形にするだけでなく、更に先には商品開発などにも還元できるスキームにしていきたい。もし技術的なイノベーションがなかったとしても、ユーザーのインサイトからイノベーションは起きると確信している」(喜馬氏)。
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| 「企業と生活者の共創関係」のこれからを語る喜馬氏 |
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